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夢裡庵先生捕物帳 からくり富

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夢裡庵先生捕物帳 からくり富夢裡庵先生捕物帳 からくり富
(むりあんせんせいとりものちょう・からくりとみ)
泡坂妻夫
(あわさかつまお)
[捕物]
★★★★☆

『びいどろの筆』(徳間文庫)に続く、シリーズ第2弾。泡坂さんらしい、ストーリーにからくりと、ディテールに仕掛けを盛り込んだユーモア捕物帳。連作形式で、一話一話それぞれ狂言回し役と探偵役がロンド(輪舞)形式で変っていくのが見事。

『からくり東海道』(光文社文庫)の解説によると、このシリーズは、年1話ずつ発表される、貴重な作品集らしい。次回の作品集の文庫化は7年後ぐらいだろうか。待ち遠しい。
泡坂作品の大ファンらしい鷲津浩子(アメリカ文学者)の解説も楽しい。泡坂作品を読んでいると、都筑道夫さんを思い出してしまう。お二人とも江戸っ子らしい、粋な形で頭を刺激する作品を発表されるからだろうか。シリーズの主人公である、八丁堀同心・富士宇衛門こと、夢裡庵の裁きも粋だ。

物語●「もひとつ観音」頓鈍が仕掛けた、浅草で三つの乳房を持った生身の観音様が大評判になっていた…。「小判祭」読売の貞次は神田明神の祭で番付を売っていると、愛染明王の彫物をした酔っ払いにからまれた…。「新道の女」嵯峨山流の踊りの師匠白蝶のもとに、美人の新造の弟子が通っていた…。「猿曳駒」道具屋与七は、納豆を買った際に、珍しい古銭を入手した…。「手相拝見」占師車道は、いなせな大工を占うと、地沢臨という卦が出た…。「天正かるた」洲崎で初日の出を拝んだ絵師の聞滋らは人の指を見つけた…。「からくり富」岡っ引・青馬の俵助の地元にある蛤弁天で富突きが行われることになった…。

目次■もひとつ観音|小判祭|新道の女|猿曳駒|手相拝見|天正かるた|からくり富|解説 鷲津浩子

カバーイラスト:藤山晶子
解説:鷲津浩子
時代:明記されず
場所:浅草奥山、神田伏町、役者新道、霊岸島町、須田町、洲崎弁財天、平野町、蛤町
(徳間文庫・533円・99/07/15第1刷・318P)
購入日:99/07/06
読破日:99/08/21

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