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ずっと読んでいたい!「取次屋栄三」シリーズ完結

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忘れ形見 取次屋栄三岡本さとるさんの文庫書き下ろし時代小説、『忘れ形見 取次屋栄三』(祥伝社文庫)を入手しました。

町人と武家の間を取り次いで、厄介ごとを解決する取次屋を生業にする秋月栄三郎が活躍する、痛快時代小説シリーズ。2010年12月に第1巻『取次屋栄三郎』が刊行されてから、9年近い歳月が流れ、20巻目にあたる本書『忘れ形見』で完結します。

秋月栄三郎は気楽流岸裏道場の稽古に釘付けとなっている若者が気になっていた。取次屋の好奇心から調べてみて仰天した。彼の父は、松田新兵衛が好敵手と認めた、神道無念流の達人だったのだ。その後、騙し討ちに遭い命を絶たれたという。息子は道場を継がず医学を志すが、父を冒涜する父の元弟子を成敗するため、なんと新兵衛に弟子入りを望み……。感涙の最終話。
(本書カバー裏の紹介文より)

本シリーズは、主人公の栄三郎をはじめ、彼を取り巻く周囲の人物たちも成長をしていき、落ち着くところに落ち着いてきて、最近、安定感や居心地の良さを感じています。一方で、荒削りの魅力が薄れて物足りなさを感じ始めていました。

 栗山丑之助は、神道無念流にあって、天才と謳われた剣客であった。
 戸賀崎熊太郎に学んだが、熊太郎が高弟・岡田十松に弟子を託し、武州清久村に帰郷した後、丑之助は独立して神田四軒町に己が道場を開いた。
 それからは、撃剣館の岡田十松と並び称される実力をみせた。
 歳は、秋月栄三郎、松田新兵衛の二つ上で、まだ岸裏伝兵衛が本所に道場を構えていた頃に内弟子として暮らした二人には、実に眩しい存在であった。
(『忘れ形見 取次屋栄三郎』P.21より)

栄三郎は、気楽流の岸裏道場の稽古場を覗きに来ていた若者が気になり、取次屋の番頭の又平に素性を調べさせたところ、町医者の孫で今は医者になるために医術を学んでいるが、父親は高名な剣客だったといいます。

若者は栗山壮之介という名で、岸裏道場の師範代松田新兵衛の好敵手だった剣客栗山丑之助の忘れ形見だとわかります。

本書では、医術を学ぶかたわら、剣術の道を進む栗山壮之介が登場し、物語に爽快感を与えます。
シリーズを彩った登場人物たちが勢ぞろい、栄三郎の身の周りにも大きな変化が……。最後のページまで目が離せない展開が続きます。シリーズ最終巻を堪能したいと思います。

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『忘れ形見 取次屋栄三』(岡本さとる・祥伝社文庫)
『取次屋栄三』(岡本さとる・祥伝社文庫)(第1巻)