江戸で「買うての幸い、売っての幸せ」を。五鈴屋の商売繁盛記

あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇高田郁(たかだかおる)さんの文庫書き下ろし時代小説、『あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇』(ハルキ文庫)を入手しました。

前作『あきない世傳 金と銀(六) 本流篇』で、「買うての幸い、売っての幸せ」の店是に、この国一の店を目指し、待望の江戸進出を実現した、呉服商「五鈴屋(いすずや)」。女主・幸のもとで、江戸店は順風満帆に商売を広げていけるのか、注目のシリーズ第七弾です。

大坂天満の呉服商「五鈴屋」の七代目店主となった幸は、亡夫との約束でもあった江戸に念願の店を出した。商いを確かなものにするために必要なのは、身近なものをよく観察し、小さな機会を逃さない「蟻の眼」。そして、大きな時代の流れを読み解き、商いに繋げる「鶚(みさご)の眼」。それを胸に刻み、懸命に知恵を絞る幸と奉公人たちだが――。ものの考え方も、着物に対する好みも大坂とはまるで異なる江戸で、果たして幸たちは「買うての幸い、売っての幸せ」を実現できるのか。待望のシリーズ第七弾!
(本書カバー裏の紹介文より)

前作に続き、作品の舞台は江戸。本来の読み方とは違うかもしれませんが、五鈴屋江戸店の出店準備を描いた第六弾は江戸ビジネス小説としても出色での出来です。本書では、無事開店した江戸店がどのようにして商いを幅を広げていくか、その過程、試行錯誤の人情劇に注目です。

 ――大きな時代の流れを読み取る豪気と、日々の営みに目ぇ光らせる細心
 ――蟻の眼ぇだけやと、目先の勝ち負けにこだわるだけで終わってしまう。鶚の眼ぇだけやと、地に足が着かんさかい取りこぼしも多いし、周囲に不満も増える
(『あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇』P.94より)

「五鈴屋の要石」と呼ばれた、もと番頭治兵衛が江戸へ進出する幸に餞として贈った言葉です。幸は、「蟻の眼」で様々な工夫を重ねていく中で、今の江戸店で必要なのは「鶚の眼」であることを痛感します……。

「蟻の眼」と「鶚の眼」は、現在ビジネスでも「虫の眼」と「鳥の眼」に言葉を置き換えられ、「魚の眼」を加えて使われます。仕事でお世話になったある人に、要諦として教えていただいたことがあります。

「魚の眼」とは、「潮の流れを読む」、つまり時代やマーケットの流れ(トレンド)を読むことです。

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『あきない世傳 金と銀(七) 碧流篇』(高田郁・ハルキ文庫)
『あきない世傳 金と銀(六) 本流篇』(高田郁・ハルキ文庫)