新相棒は、はみだし一匹狼。極秘任務は危険度MAX

脳科学捜査官 真田夏希 クライシス・レッド鳴神響一(なるかみきょういち)さんの文庫書き下ろし小説、『脳科学捜査官 真田夏希 クライシス・レッド』(角川文庫)を入手しました。

本書は、神奈川県警で心理職特別捜査官をつとめる、真田夏希が活躍する警察小説の第4弾。時代小説で活躍する作者が手掛ける現代ミステリーです。
(時には警察小説でモードを変えてみようと思います)

本シリーズは、「影の火盗犯科帳」「多田文治郎推理帖」「おいらん若君 徳川竜之進」など、時代小説シリーズで活躍する作家の鳴神さんの警察小説。アクションシーン満載で、現代の神奈川県内を舞台にした、時代小説では描けない今どきの話が楽しめます。

主人公をはじめ、登場人物たちの姓がみな戦国武将から取られたネーミングになっていて時代小説ファンも楽しめます。上杉、大友、堀尾、古田、最上……、今回初めて登場する人物たちも。

神奈川県警の心理職特別捜査官の真田夏希は、警察官僚の織田信和とのドライブで湘南にやってきた。だが二人きりの甘いムードを吹き飛ばすかのように、織田が発したのは、極秘任務への推薦だった――。
厚生労働省の若手官僚が三浦市の海岸で銃殺された事件の極秘操作のため、夏希は、根岸分室への出向を命じられたのだ。だが、分室にいたのは、警察組織からはみだした一匹狼の上杉警視だった……。
(本書カバー裏紹介より)

本作品のヒロインの真田夏希は、函館出身の三十二歳で婚活中という設定。
婚活の相手として、友達の紹介で初めて会った、七つ年上の織田信和に好感を持ち、ちょっと憧れを抱いていました。その後、神奈川県警の科捜研に勤める心理分析官として殺人事件の捜査本部に参加したときに、警察庁の理事官として現れた織田と再会しました。(第1巻『脳科学捜査官 真田夏希』)

織田は東京大学法学部を卒業し、エリート街道をまっしぐらに進んできた警察官僚。その後も何度か捜査本部で顔を合わせるうちに、どこか得体の知れない男という感覚が強くなっていました。

夏希は、織田からドライブデートに誘われて、今日こそ二人の距離を縮めるチャンスと胸を弾ませますが……。

織田からは、若手官僚が射殺された事件の極秘任務に、夏希を推薦したことを告げられます。被害者は、外資系製薬会社との関係で不適切な関係の疑いがあり、多国籍製薬マフィアに始末された可能性もあるといわれています。

 ――陰悪も又天誅不遁事(いんあくもまたてんちゅうのがれざること)

 夏希にはその一文の意味がよくわからなかった。
「これは江戸時代の旗本で南町奉行までつとめた根岸肥前守が、巷間の珍談や奇談を集めた『耳嚢』という書物の巻之四にあるエピソードのタイトルだ」
「みみぶくろですか……」
 漢文は読めないし、こうした歴史的なことも夏希はあまり得意ではない。
(『脳科学捜査官 真田夏希 クライシス・レッド』P.48より)

犯行直前に、若手官僚のメールアドレス宛に、「陰悪も又天誅不遁事」というメッセージが届き、極秘任務を命じる警察庁の参事官より、メッセージの意味を説明されます。

エピソードは、辻駕籠に乗った客が忘れた二、三十両の金をネコババした駕籠かきが、最後に落ちぶれてしまう話。「天網恢恢疎にして漏らさず」に通じる、天罰の意味がある言葉のようです。

さて、物語はカバー帯のキャッチフレーズ「極秘任務は、危険度MAX」の文字に偽りなく、聞き込みあり、銃撃シーンあり、カーチェイスあり、犯人との対峙ありと、心理捜査官としては異例の体当たりの活躍を見せます。

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『脳科学捜査官 真田夏希 クライシス・レッド』(鳴神響一・角川文庫)(第4弾)
『脳科学捜査官 真田夏希』(鳴神響一・角川文庫)(第1弾)