葉室麟さんが、明治の外相・陸奥宗光に託した思いとは?

暁天の星葉室麟さんの長編近代時代小説、『暁天の星』(PHP研究所)を入手しました。

本書は、2017年12月に逝去された葉室麟さんが、病と闘いながら『文蔵』(PHP研究所刊)誌に執筆を続けた、未完の長編小説です。

明治新政府で外務大臣として、日本の尊厳をかけて不平等条約の改正に尽力し、欧米列強に挑んだ陸奥宗光(むつむねみつ)の半生を描いています。

本書は故・葉室麟が最期に書きたかった「近代」に挑んだ作品。「これだけは書いておきたい」と願い、病と闘いながら書き続けた物語である。
明治新政府で外務大臣として欧米列強と対峙し、不平等条約の改正に尽力した陸奥宗光――。日本の尊厳を賭けて強国に挑んだ陸奥の気概は、どこで育まれたものなのだろう。
陸奥が生まれたのは幕末の紀州。坂本龍馬に愛され、海援隊で頭角を現し、明治新政府では県知事などを務めたが、政府転覆を企てたとして投獄されてしまう。
そんな不遇の時代を経て、伊藤博文内閣のもとで外交官として、その才能を花開かせる。外務大臣となった陸奥は、日本を欧米に伍する国家にすべく奔走するのだが……。
本書は残念ながら未完。しかしながら葉室麟の溢れる想いが感じ取れる貴重な作品でもある。
陸奥宗光のその後は、解説の細谷正充氏が、連載中の想いは長女の涼子氏が紹介。坂本龍馬の姉を描いた短篇「乙女がゆく」を特別収録。
(Amazonの内容紹介より)

長女の涼子さんの「刊行に寄せて」によると、「明治維新から150年」に当たる2018年に向けて、『日本の近代化とは何だったのか』を総括し、日本と日本人を明らかにしていこういう強い意志を持って、明治維新を問う作品に積極的に取り組んでいたそうです。

西郷隆盛の若き日を描いた『大獄 西郷青嵐賦』、松平春嶽の視点から幕末維新を描く『天翔ける』、明治時代の女性たちの新しい生き方に光を当てた『蝶のゆくへ』、そして、本書。

不世出の時代小説家が遺した作品を通じて、著者が描こうと挑んだ、明治という時代、そして日本の近代化に目を向けていこうと思います。

■Amazon.co.jp
『暁天の星』(葉室麟・PHP研究所)

『大獄 西郷青嵐賦』(葉室麟・文藝春秋)
『天翔ける』(葉室麟・KADOKAWA)
『蝶のゆくへ』(葉室麟・集英社)