迷い熊、名門道場玄武館で伝説の剣士と立ち合う

長屋道場騒動記(二) 迷い熊衛る芝村凉也(しばむらりょうや)さんの文庫書き下ろし時代小説、『長屋道場騒動記(二) 迷い熊衛る(まよいぐままもる)』(双葉文庫)を紹介します。

1巻では、間野生馬(まのいくま)が、十年に及ぶ長き武者修行から江戸へ戻ってきたら、主なき道場は五世帯が暮らす長屋と化していました。

江戸を出る時は初々しい少年だった生馬が、図抜けた巨体で顔の下半分をすっぽりと髭で覆った姿に変貌し、幼馴染みで菓子舗の一人娘お君からも偽者と疑われます。

夜鴉一味を巡る一連の騒動を通じて、お君の疑いが晴れて、惠比壽屋の離れに居候することになった生馬は、道場を失って途方に暮れる様子と名前をもじって「迷い熊」とあだ名されます。

本書は、武者修行で信抜流や鞍馬流など古流の剣術を会得した「迷い熊」生馬が悪を討つ、痛快時代小説シリーズの第2巻です。

夜鴉一味を巡る一連の騒動の余波で、父与惣兵衛から禁足を命じられていた惠比壽屋の一人娘お君。生馬が警固につくことを条件にようやく外出が許されるものの、久々の市中でやくざ者とひと悶着起こしてしまう。生馬の活躍でその場は事なきを得るが、この出来事が、江戸屈指の名門道場、北辰一刀流玄武館を巻き込む大騒動に発展するのだった――。心優しき巨躯の剣士「迷い熊」が悪を討つ!
(本書カバー裏の紹介文より)

今回の読みどころの一つは、旗本の不良息子の企みから、伝説の名剣士・千葉周作の興した北辰一刀流玄武館に招かれて、門弟と立ち合うところ。師範代として周作の次男で、千葉の小天狗と呼ばれる栄次郎も登場します。

長刀を右肩から柄が出るように背負った生馬に対して、居合が得意の門弟は柄は左肩から出るように背負うのが正しいのではないかと問います。理にかなっていながら相手を翻弄する生馬の答えにスカッとします。
この場面は表紙装画にも描かれています。

本シリーズは、剣による立ち合いシーンの臨場感もあって、痛快な剣豪小説としても楽しめます。
現在発売中の『長屋道場騒動記(三) 迷い熊阻む』も続けて読みたくなりました。

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『長屋道場騒動記(一) 迷い熊帰る』(芝村凉也・双葉文庫)(第1作)
『長屋道場騒動記(二) 迷い熊衛る』(芝村凉也・双葉文庫)(第2作)
『長屋道場騒動記(三) 迷い熊阻む』(芝村凉也・双葉文庫)(第3作)