遊び人はじめました、「遠山の金さん」の推理が冴える捕物小説

遠山の金さん(上巻)山手樹一郎(やまてきいちろう)さんの懐かしの時代小説をオンデマンド印刷で復刊した、『遠山の金さん(上巻)』(捕物出版)を入手しました。

本書は、1983年に春陽堂書店から刊行された『遠山の金さん 山手樹一郎長編時代小説全集十四』を底本にオンデマンド本として復刊したものです。

著者の山手樹一郎さんは、1899年栃木県生まれで、編集者を経て作家となり、1940年に発表した「桃太郎侍」で人気に。長谷川伸門下生で、1978年死去。長男の井口朝生(いぐちあさお)さんも時代小説で活躍されました。

本書は、天保期に北町奉行となった遠山金四郎の若き頃という設定で描かれた連作捕物小説です。昭和22年から25年にかけて執筆された短編11編を収録されています。

「花になる雨だ」
 金さんは通りかかった人家の軒下へ飛び込んで、春雨というには少しやけな降りだし方で、ざあっときた銀色の雨脚を見上げた。下馬のついた藍微塵のあわせのすそをきりっとはしょって、下は紺の腹掛けもも引き、つっかけ草履、豆しぼりの手ぬぐいをどろぼうかぶりにして、ちょいと鼻の先へひっかけている。どこから見ても、すらりとしたこいきな遊び人といった風体だ。
(『遠山の金さん(上巻)』P.1より)

冒頭で、訳あって遊び人となったばかりの、若々しい金さんが登場します。
ある事件がきっかけで、柳橋の船宿相模屋の居候となり、そこの一人娘のお玉に惚れられます。

遊び人を気取りながらも、持ち前の正義感と度胸と推理力で捕物にかかわっていく、金さんが魅力的です。

同じく若き日の放蕩生活を送っていたころを描いた、永井紗耶子さんの『絡繰り心中 部屋住み遠山金四郎』と読み比べてみるのもおすすめです。

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