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上方落語の祖、米沢彦八の笑いに懸けた波瀾の一代記

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天下一の軽口男木下昌輝さんの長編時代小説、『天下一の軽口男』(幻冬舎時代小説文庫)を入手しました。

本書は、江戸中期(元禄~正徳)に上方で活躍した伝説の落語家・米沢彦八(よねざわひこはち)の波瀾の生涯を描いた、500ページを超える長編時代小説です。

大坂の生國魂神社に笑いの神様がいる――。その名は米沢彦八。まだ笑いが商売になっていない江戸中期に、大名の物真似で権力に歯向かい、滑稽話で聴衆の心を掴んだ男。仲間の裏切りや盗作騒動など、多くの挫折を味わいながらも自分の笑いを追求していく彦八。笑いで人を救い、笑いの為に一生をなげうった愛すべきぼんくら男、波瀾万丈の一代記。
(本書カバー裏紹介より)

名前ぐらいしか知らない、上方落語の祖ともいわれる落語家の一代記ですが、太閤秀吉の時代に活躍した笑話の名人安楽庵策伝のもとに、虎丸という少年が訪れて弟子入りを請う場面から物語が始まります。

安楽庵策伝は、『醒酔笑(せいすいしょう)』という本邦初の笑話集を著した人物で、虎丸は全八巻からなる同書を全文暗誦できるほど深く感銘を受けていました。

彦八が生きた時代とは異なる話ながら、どのように繋がっていくのか気になりながらも、お笑いの世界に引き込まれていきます。

巻末には、著者と、2019年2月に舞台「天下一の軽口男 笑いの神さん 米沢彦八」(大阪松竹座)で主演をした、俳優の駿河太郎さん(落語家笑福亭鶴瓶さんの息子さん)との特別対談も掲載されています。

同世代の関西人同士のトークから、創作の裏側が垣間見ることができて興味深かったでした。木下さんは『宇喜多の捨て嫁』など戦国時代小説のイメージが強かっただけに、別の顔も見ることができました。

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『天下一の軽口男』(木下昌輝・幻冬舎時代小説文庫)