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山形を舞台に面白さが増す、居眠り磐音

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佐伯泰英さんの『紅花ノ邨(べにばなのむら)』を読む。「居眠り磐音 江戸双紙」シリーズの第二十六弾。神保小路の直心影流尚武館佐々木道場に養子に入り、名字が坂崎から佐々木に変わってから、主人公としての重厚感が加わった磐音。物語も青春小説の要素が薄れて、より政治的な色合いが出てきたように思う。

紅花ノ邨 ─ 居眠り磐音江戸双紙 26 (双葉文庫)

紅花ノ邨 ─ 居眠り磐音江戸双紙 26 (双葉文庫)

かつての許婚の奈緒が嫁いだ紅花大尽・前田屋内蔵助が身代ごと乗っ取られそうな騒ぎが山形で起こり、番頭の一人が吉原に奇禍を知らせたことから、吉原会所の若い衆とともに山形に助けに向かうことになった…。元の許婚の幸せを守るために山形を訪れる磐音、その活躍ぶりが今回の最大の見もの。地方を舞台にしサスペンスに満ちた、奈緒絡みの物語ということもあり、初期のころの「居眠り磐音」シリーズに合い通じる面白さがある。

同じ山形県を舞台にした、藤沢周平さんの名作『蝉しぐれ』(こちらの舞台は鶴岡をモデルにした海坂藩)と読み比べるのも一興かもしれない。

蝉しぐれ (文春文庫)

蝉しぐれ (文春文庫)