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京極小説の時代小説性

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京極夏彦さんの『邪魅の雫』を読み始めた。京極堂シリーズの待望の新作である。新書判サイズで文字が二段組で800ページに及ぶ大長篇。今回もインパクトのあるブロック本スタイル。組版レイアウトも作者の京極さんが担当されている。

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

物語に描かれているのが昭和二十八年の夏なので現代小説とはいえないし、時代小説のジャンルに含めることは難しい。しかし、時代小説っぽい手法を駆使した作品に感じられる。

時代小説っぽい手法とは、以下のような点だ。

1.作者の実体験に基づく物語ではなく、イマジネーションに基づいている

2.時代考証部分が重要(当時のような言葉・漢字遣いで雰囲気を醸し出している)

3.その時代でなければ成立しない物語を描いている

京極さんは、『巷説百物語』や『嗤う伊右衛門』のような面白い小説を書かれていて、時代小説はもともと得意なジャンルといえよう。

巷説百物語 (角川文庫)

巷説百物語 (角川文庫)

嗤う伊右衛門 (中公文庫)

嗤う伊右衛門 (中公文庫)

ともかく、京極さんの新作にしばらくは読書タイムを充てることになるだろう。