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馬庭念流の刺客は珍しい?

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『四神跳梁』を読んでいる。シリーズ第三弾にあたる本作品で、主人公の鷹森真九郎の直心影流の剣はますます冴えを見せる。江戸を震撼させる謎の集団、闇が送る刺客たちを次々と倒していき、ある種のカタルシスを感じる。

諏訪大膳という刺客が、柳河藩下屋敷から日本堀へ向かう真九郎の前に立ちはだかる。諏訪は馬庭念流(まにわねんりゅう)の遣い手だった。

念流を創始したのは、南北朝時代の人、念阿弥慈恩(ねんあみじおん)、俗名相馬四郎義元である。馬庭念流の流祖・樋口又七郎定次は、念流宗家七世の友松清三氏宗に学び、念流八世として、上州高崎近くの多胡郡馬庭村の道場で教え始める。

馬庭念流の剣は防御に主眼を置いている。あごを前に出し、半身で腰を引き気味に後ろ足に重心をかける。流麗さとは程遠い土臭い構えである。剣の特徴は、その構えのほかに、“切り割る”という上段からの斬撃と、“続飯付け(そくいづけ)”と呼ばれる飯粒を練って作った糊のように刀を貼り付ける技があげられる。

守りの剣であり、泥臭い印象があるせいか、馬庭念流を遣う主人公は少ない。「祇園社神灯事件簿」シリーズの神灯目付役・植松頼助と、『無用庵日乗 上野不忍無縁坂』の田代十兵衛ぐらいしか思いつかない。主人公ばかりか、敵役や刺客として登場することが珍しいのも、そんな剣の特徴からだろうか。

四神跳梁―闇を斬る (徳間文庫)

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上野不忍無縁坂―無用庵日乗 (双葉文庫)

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