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運命を変えた一日を描く傑作

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諸田玲子さんの『其の一日』を読み始める。第二十四回吉川英治文学新人賞(平成十五年度)受賞作品である。

同賞の受賞者で時代小説系の作家には、宇江佐真理さん(第二十一回『深川恋物語』)、東郷隆さん(第十五回『大砲松』)、宮部みゆきさん(第十三回『本所深川ふしぎ草紙』)、澤田ふじ子さん(第三回『寂野』『陸奥甲冑記』)、南原幹雄さん(第二回『闇と影の百年戦争』)がいる。

『其の一日』は、歴史上の人物・事件の関係者の運命を変えた重大な一日を描いた4つの短篇で構成される。元禄時代に小判の改鋳を行った元勘定奉行荻原重秀(彦次郎)を描いた「立つ鳥」、吉原の遊女綾衣と心中した四千石の旗本藤枝外記の妻弥津を描いた「蛙」など、歴史上でちょっとだけ知られている人たちの、それぞれにとっての特別の一日が興味深い。

荻原近江守重秀は、『破斬―勘定吟味役異聞』などの元禄を描いた時代小説では、小判を改鋳して将軍家の財政を潤した反面、悪貨を鋳造して私服を肥やしたと悪評も高く、悪役として描かれることが多いだけに、この作品での描かれ方は新鮮だった。

其の一日 (講談社文庫)

其の一日 (講談社文庫)

深川恋物語 (集英社文庫)

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大砲松 (講談社文庫)

大砲松 (講談社文庫)

本所深川ふしぎ草紙 (新潮文庫)

本所深川ふしぎ草紙 (新潮文庫)

寂野 (徳間文庫)

寂野 (徳間文庫)

陸奥甲冑記 (中公文庫)

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破斬―勘定吟味役異聞 (光文社時代小説文庫)

破斬―勘定吟味役異聞 (光文社時代小説文庫)