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「御宿かわせみ」の第二世代

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平岩弓枝さんの『鬼女の花摘み 御宿かわせみ30』を読了。久々に読んだこともあるが、自分と同じように、登場人物たちも年を重ねたんだなあとしみじみと思った。

るいや東吾、畝源三郎、麻生宗太郎らの子どもたちが、ただ成長したばかりでなく、立派に主役を張れるようになってきている。表題作の「鬼女の花摘み」では、神林麻太郎(東吾の兄・神林通之進の嫡男)と畝源太郎(畝源三郎の嫡男)が、お腹をすかした幼い姉弟を目にして、たまらず大福餅を東吾に買ってもらい、姉弟にすすめたことから、物語が始まる。

「招き猫」では、火事を心配して、本所の田螺稲荷へ火防せの護符をもらいに行きたいという千春(るいの娘)と、一緒について行く麻太郎と源太郎。三人は田螺稲荷の境内で招き猫を売る少女と猿回しの猿のように胴を紐でくくられた幼い男の子と出会う。千春は、少女と男の子の関係に疑念を抱く…。

子どもの目線からの描写が加わることで作品の幅が広がった。麻太郎、源太郎、千春の言動や立ち振る舞いが、それぞれ幼き日の東吾、源三郎、るいを想起させて、「かわせみ」に新たな楽しみが加わった感じがする。どの子も、まっすぐにいい子のままで頼もしく成長していて、先行きが楽しみである。どうしたらこんな子に育つのかな? 親の育て方がいいのかな?

御宿かわせみ (30) 鬼女の花摘み (文春文庫)

御宿かわせみ (30) 鬼女の花摘み (文春文庫)