血路―南稜七ツ家秘録(2)

長谷川卓さんの『血路―南稜七ツ家秘録 (時代小説文庫)』を読了した。山の南側に七軒の家を建てて暮らすことから、南稜七ツ家と呼ばれる山の民。戦国乱世の中で、人質や捕らわれ人を敵城から落とす仕事を請け負うようになり、「落としの七ツ」の異名をもつようになる。この特殊な集団の存在がたまらなく面白くて、この作品の魅力の一つだ。

主人公喜久丸は、甲斐と信濃の国境近くにある龍神岳城城主・芦田虎満の嫡男で十四歳の少年。信濃を狙う武田晴信(後の信玄)に唆された叔父の裏切りで、両親と姉を殺され、自身も窮地に陥ったところを、南稜七ツ家に助けられる。

山の民として成長する喜久丸の物語と、南稜七ツ家と武田の忍者集団「かまきり」の異能者同士の闘いの物語が、平行しながら進行する。両者は、物語の後半で巧みにシンクロして、ノンストップ時代アクションとして展開していく。作者の想像力の極みともいうべき、その壮絶なる死闘は、山田風太郎さんの『甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)』に匹敵する。期待に違わぬ傑作伝奇時代小説の誕生だ。

甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)

甲賀忍法帖 山田風太郎忍法帖(1) (講談社文庫)