「密命」読本(1)

ようやく『「密命」読本 (祥伝社文庫)』を入手した。シリーズが完結する前にこのようなファンブックが刊行されるのは時期尚早な気もしていたが、文庫にしては豪華なコンテンツで、手にとってみたら十分満足いくものだった。

密命関連江戸地図が何点かあり、主要な地点の位置関係がよくわかった。また、『密命』番外編として、若き日の金杉惣三郎を描いた短編「虚けの龍」が楽しめる。江戸出奔前の豊後相良時代がわかる。闘牛カメラマンから時代小説家に転身した佐伯泰英さんへのインタビュー(聞き手は文芸評論家の細谷正充さん)も興味深いところだ。

そして何よりも圧巻なのは、物語を彩る登場人物の紹介から、作品の舞台を歩くルポ、作品別の解説、『密命』年表まで、作品の世界が堪能できて、シリーズの次回作を読むのがますます楽しみになった。イラストや写真をふんだんに配置してわかりやすく、江戸に関するコラムや用語解説も親切についているので、時代小説の入門者のガイドにも適している。