このコーナーでは、新しく書棚に加わった本を中心に、少しずつご紹介していきます。
『明治維新と日本の城』|安藤優一郎|彩図社
あらすじ
明治維新によって、時代の表舞台から退いたかに見える「城」。しかし、その“お城のその後”には、想像をはるかに超えるスリリングなドラマが待っていました。 本書は、維新後の全国各地で繰り広げられた、城の存続をめぐる知られざる攻防戦を描き出す歴史読み物です。
版籍奉還、廃藩置県を経て、城は新政府の管理下に置かれました。軍事施設として利用される城もあれば、不要とみなされ破却の危機にさらされる城もありました。行政と旧藩主家、あるいは地元の有力者たちのあいだで、建物や跡地をめぐる争奪戦が勃発します。城は単なる建築物ではなく、権威と歴史の象徴でもあったのです。
一方で、あわや取り壊しという瀬戸際に立たされた城を守ろうと、旧藩士や地元住民が立ち上がります。資金を集め、嘆願書を提出し、粘り強く保存運動を展開しました。その執念が実を結び、奇跡的に存続を果たした城も少なくありません。また、皇室の城となることで破却を免れた例もあり、近代国家形成の陰で展開されたもう一つの物語が浮かび上がります。
本書は、第一章「お城争奪戦」、第二章「執念の保存運動」、第三章「皇室の城になる」、第四章「お殿様、城を取り戻す」という構成で、維新後の城をめぐる多彩なドラマを丁寧に追っていきます。
(『明治維新と日本の城』カバー裏の内容紹介より抜粋・編集)
ここに注目!
明治維新後、軍事施設としての意義を失った多くの城は破却されました。明治に入ると、近代化を目指す流れのなかで城郭は旧時代の象徴とみなされ、解体が進みます。維持管理の負担が重かったことから、旧藩側が自ら解体に踏み切った事例も見られました。
明治六年(1873)には「全国城郭存続ノ処分並兵営地等撰定方(いわゆる廃城令)」が布告され、各城を取り巻くさまざまな要素が複雑に絡み合いながら、城をめぐる運命は大きく変わっていきます。
本書では、明治維新後に数奇な運命をたどった城を四つのテーマに分類し、「その後」という切り口から日本の近代史を読み解いていきます。
失われたもの、守られたもの。その背景にあった人々の思惑と情熱に光を当て、日本近代史の意外な側面を明らかにします。
戦国の籠城や攻城戦を経て、徳川幕府の命により多くの城が破却されるなかを生き残り、江戸時代には藩政の中心として君臨してきた城にとって、明治維新こそが最大の攻防戦だったのかもしれません。
天守や石垣の美しさの裏側に、これほどまでに熱い攻防があったのか――。城を愛する方はもちろん、明治維新という激動の時代を新たな角度から知りたい方にもおすすめの一冊です。
今回取り上げた本
書誌情報
『明治維新と日本の城』
安藤優一郎
彩図社
2026年2月18日 第1刷
イラスト 伊野孝行
目次
はじめに
本書で取り上げる主な城
第一章 お城争奪戦
姫路城――城の用地を手にするために姫路城たとった奇策
和歌山城――城の下賜をめぐる旧紀州藩士と和歌山市の争い
高崎城――高崎と前橋で県庁争奪戦が勃発
福岡城――知事の皇族に気を使ったことで所管が曖昧に
三原城――戦国の海城を軍港として目を付ける海軍省
宇和島城――借地税をとられて不満を募らせる士族たち
萩城――士族の怒りを抑えるために城跡を整備
熊本城――破却予定だった名城を救ったのは藩内の権力闘争
第二章 執念の保存運動
松本城――破却が決まるも地元有力者が天守保存に動き出す。
刈谷城――一〇年越しで保存を実現させた旧藩士の執念
館林城――買い戻しに奔走する旧藩士とお殿様
大垣城――旧藩士による無償での下げ渡し計画
弘前城――弘前公園誕生に尽力した旧藩主津軽家
金沢城――兼六園の景観改善に県が力を注いだ切実な理由
上田城――本丸跡地の神社が物語る旧藩士たちの願い
首里城――保存と修復の問題を一気に解決した建築家の妙案
第三章 皇室の城になる
名古屋城――宮内省のバックアップによる取り壊しを回避
彦根城――明治天皇の特旨により保存への道がはじまる
二条城――京都振興のため離宮に変身した城
江戸城――将軍の城が天皇の城になるまでの紆余曲折
小田原城――御用邸が置かれて皇族が静養する城に
広島城――明治天皇が大本営を置いて注目を浴びる
第四章 お殿様、城を取り戻す
会津若松城――戦場となった城跡を日本の公園の父が整備
高田城――多額の借金を抱えながらも士族の育英・福祉事業を展開
福井城――城内に農場を開設した旧藩主の越前松平家
高松城――城跡をおもてなし空間に変貌させた高松松平家
徳島城――莫大な予算によって進められた戦勝記念事業
本文239ページ

今回取り上げた本
書誌情報
『明治維新と日本の城』
安藤優一郎
彩図社
2026年2月18日 第1刷
イラスト 伊野孝行
目次
はじめに
本書で取り上げる主な城
第一章 お城争奪戦
姫路城――城の用地を手にするために姫路城たとった奇策
和歌山城――城の下賜をめぐる旧紀州藩士と和歌山市の争い
高崎城――高崎と前橋で県庁争奪戦が勃発
福岡城――知事の皇族に気を使ったことで所管が曖昧に
三原城――戦国の海城を軍港として目を付ける海軍省
宇和島城――借地税をとられて不満を募らせる士族たち
萩城――士族の怒りを抑えるために城跡を整備
熊本城――破却予定だった名城を救ったのは藩内の権力闘争
第二章 執念の保存運動
松本城――破却が決まるも地元有力者が天守保存に動き出す。
刈谷城――一〇年越しで保存を実現させた旧藩士の執念
館林城――買い戻しに奔走する旧藩士とお殿様
大垣城――旧藩士による無償での下げ渡し計画
弘前城――弘前公園誕生に尽力した旧藩主津軽家
金沢城――兼六園の景観改善に県が力を注いだ切実な理由
上田城――本丸跡地の神社が物語る旧藩士たちの願い
首里城――保存と修復の問題を一気に解決した建築家の妙案
第三章 皇室の城になる
名古屋城――宮内省のバックアップによる取り壊しを回避
彦根城――明治天皇の特旨により保存への道がはじまる
二条城――京都振興のため離宮に変身した城
江戸城――将軍の城が天皇の城になるまでの紆余曲折
小田原城――御用邸が置かれて皇族が静養する城に
広島城――明治天皇が大本営を置いて注目を浴びる
第四章 お殿様、城を取り戻す
会津若松城――戦場となった城跡を日本の公園の父が整備
高田城――多額の借金を抱えながらも士族の育英・福祉事業を展開
福井城――城内に農場を開設した旧藩主の越前松平家
高松城――城跡をおもてなし空間に変貌させた高松松平家
徳島城――莫大な予算によって進められた戦勝記念事業
本文239ページ





