【今日の書棚】双葉文庫の時代小説:2026年1月の新刊

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このコーナーでは、新しく書棚に加わった本を中心に、少しずつご紹介していきます。

2023年第1位「北の御番所 反骨日録」シリーズ、ついに最終巻!

関ヶ原の戦いから江戸幕府初期にかけて、長崎、マカオを舞台に繰り広げられるスペクタクル青春ロマン『青天の双帆』。
自身番を舞台に庶民の人間模様を描く大好評シリーズ「下谷稲荷町自身番日月抄」の第3弾。
さらに、最強の奥様姫様が活躍する痛快時代小説「奥様姫様捕物綴り」シリーズの第4弾など、今月の双葉文庫も注目作が目白押しです。

『北の御番所 反骨日録(十四) 別辞』|芝村凉也|双葉文庫

ここに注目!

北の御番所 反骨日録(十四) 別辞芝村凉也(しばむら・りょうや)さんの『北の御番所 反骨日録(十四) 別辞』は、2023年「時代小説SHOW」ベスト10【文庫書き下ろし部門】第1位に輝いたシリーズの最終巻です。

本書は、北町奉行所隠密廻り同心・裄沢(ゆきざわ)広二郎が、月番の出仕日に面番所で立番を務めるところから始まります。物語の発端となるのは、吉原の危難を描いた「吉原焼亡」です。

吉原で不審な男・儀助を追っていた広二郎は、同僚の隠密廻りである鳴海から、ある密命への協力を依頼されます。それは、大奥と懇意にしている谷中の延命院という寺に潜入し、内情を探るというものでした。

享和年間に実際に起きた「延命院事件」を題材にした一編であり、その事件に広二郎がどのように関わっていくのか、非常に興味深く描かれています。

二つの事件を経て、奉行の秘書官にあたる内与力から、広二郎にある辞令が内示されます。
やさぐれ同心と呼ばれた広二郎は、仕事と奉行所に対して何を思い、どのような決断を下すのでしょうか。

これまで、事件を神のごとき推理と洞察で解き明かしていく異能の同心・裄沢広二郎。しかし、剣術や力技は苦手で、潜入捜査や変装に秀でているわけもなく彼も万能ではありません。最終巻にして、奉行所という特異な組織の姿を描いた「奉行所小説」です。

本書をもってシリーズ完結となるのは、ファンとしては淋しい限りですが、こんな型破りな役人がいてもいいのではないか、とも思わされます。いつまでも記憶に残る主人公の一人であることは間違いありません。

あらすじ

己の借金の形に実の妹を遊女屋に売り飛ばした男・儀助が、普段なら持てるはずのない大金を手にして吉原に現れた。四郎兵衛会所の小頭・庄平らに儀助を見張るよう指示した裄沢広二郎だったが、同役の隠密廻りから呼び出しを受け、ある密命を追うことになってしまう。不審な動きを見せる儀助は何を企んでいるのか、そして裄沢は難しい密命を遂行できるのか!? さらに裄沢の身の上にも予期せぬ出来事が――!?
道理に合わなければ上役にも臆せず物申す、やさぐれ同心の活躍を描く大人気シリーズ、ここに堂々完結!

(『北の御番所 反骨日録(十四) 別辞』カバー裏の内容紹介より抜粋・編集)

今回取り上げた本

書誌情報

『北の御番所 反骨日録(十四) 別辞』
芝村凉也

双葉社・双葉文庫
2026年1月14日 第1刷発行

カバーデザイン・イラスト:遠藤拓人

目次
第一話 吉原焼亡
第二話 特命受領
第三話 延命院一件
第四話 別辞

本文342ページ
文庫書き下ろし

芝村凉也|時代小説ガイド
芝村凉也|しばむらりょうや|時代小説・作家1961年宮城県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。2011年、「返り忠兵衛 江戸見聞」シリーズにてデビュー。時代小説SHOW 投稿記事『迷い熊帰る 長屋道場騒動記(一)』|心優しき巨躯の剣士「迷い...

『青天の双帆』|大村友貴美|双葉文庫

ここに注目!

青天の双帆文庫化を望む声の多かった、大村友貴美(おおむら・ゆきみ)さんの『青天の双帆』が、ついに刊行されました。(単行本刊行時のタイトルは『南蛮の絆 多聞と龍之進』)

物語は、関ヶ原の合戦から始まります。
武士の子・龍之進と農民の子・多聞は、関ヶ原にほど近い村に暮らす、ともに12歳の幼なじみでした。戦を避けて避難する途中で、人買いに捕まってしまいます。

龍之進は長崎へ連れて行かれ、そこでポルトガル人商人のマヌエル・カルバジャルに買われます。父が武士だった龍之進は、その素養を認められ、敬意をもってマヌエルに家族の一員として迎え入れられました。
マヌエルの家族は、母を早くに病で亡くし、友人の娘で日本人の母を持つ12歳の沙羅と、8歳の息子ペドロがいます。

一方、パードレ(キリスト教の宣教師)に助けられた多聞は、長崎の小神学校で学んでいました。
そして半年後、二人は再会し、再び友情を育んでいきます。
ところが、その日々も長くは続かず、禁教令や陰謀に直面することになります。

差別や迫害に負けず、真摯に生き抜こうとする二人の若者の姿から、一瞬たりとも目が離せず、胸が熱くなっていきます。

背景に描かれる江戸幕府黎明期のキリシタンと南蛮貿易の描写も興味深く、知的好奇心を大いに刺激される一冊です。

★単行本刊行時のレビュー

徳川幕府黎明期のマカオ。二人の少年の数奇な運命を描く
『南蛮の絆 多聞と龍之進』|大村友貴美|双葉社大村友貴美(おおむらゆきみ)さんの長編歴史時代小説、『南蛮の絆 多聞と龍之進』(双葉社)を紹介します。著者は、2007年「首挽村の殺人」で第27回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビューした、推理作...
あらすじ

徳川時代の黎明期を駆け抜けた、親友二人の波乱の人生を壮大なスケールで描く人間ドラマ。幼なじみの多聞と龍之進は関ヶ原の戦場で人買いに捕まるが、片や宣教師に、片やポルトガル商人に拾われ、長崎で再会を果たす。禁教令や陰謀に直面し、それぞれ日本の地を離れた二人は、遠くマカオで再び巡り合う。互いに苦難を乗り越え、成長し活躍するも、突如オランダ軍がマカオに侵攻。守るべきもののため、二人は激戦の中へ――。
スペクタクル感動巨編、待望の文庫化。

(『青天の双帆』カバー裏の内容紹介より抜粋・編集)

今回取り上げた本
書誌情報

『青天の双帆』
大村友貴美

双葉社・双葉文庫
2026年1月14日 第1刷発行

カバーデザイン:高柳雅人
カバーイラストレーション:服部幸平
解説:小梛治宣

目次
序章
第一章
第二章
第三章
最終章
解説

本文316ページ

本書は、『南蛮の絆 多聞と龍之進』(双葉社、2022年5月刊)を文庫化するにあたり、加筆修正のうえ改題したものです。

大村友貴美|時代小説ガイド
大村友貴美|おおむらゆきみ|作家1965年、岩手県生まれ。中央大学文学部卒業。2007年、『首挽村の殺人』で第27回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。時代小説SHOW 投稿記事著者のホームページ・SNS→大村友貴美の本(Amazonよ...

『下谷稲荷町自身番日月抄(三) 薬味蕎麦』|小杉健治|双葉文庫

ここに注目!

下谷稲荷町自身番日月抄(三) 薬味蕎麦 自身番とは、江戸時代に江戸などの町人地に設けられた番所のことです。町内警備を主な役割とし、運営費用は各町が負担し、町人によって管理されていました。いわば、町内事務所と交番の機能を兼ね備えた施設です。

小杉健治さんの「下谷稲荷町自身番日月抄」シリーズでは、この自身番を舞台に物語が展開されます。自身番を取り仕切っているのは、四十七歳で大家でもある辻六。その下には、常番として元力士の朝松が控え、さらに一か月交代の月番として、町内の海苔問屋の手代である陣五郎と文吾が詰めています。
下谷稲荷町は、浅草と上野の間にあり、寺社が櫛比する町です。

この町で起こるさまざまな事件や騒動が、自身番に持ち込まれてきます。
表題作では、唯念寺門前に新たに居を構え、稲荷町を縄張りとする岡っ引きとなった龍太郎が、弟の龍次郎に「薬味蕎麦」という新しい蕎麦屋を開かせることになります。二人の父・龍右衛門は、堀留町で「薬味蕎麦」という蕎麦屋を営んでいました。

ところが稲荷町には、かつて同じ料理屋で修業していた兄弟子の虎蔵が、「しげ虎」という料理屋を出しており、二人の間には因縁があるようで……。

町内に揉め事を起こさぬよう、密かに動く辻六。
やがて龍右衛門の意外な過去が明らかになり……。
おろしたての山葵のように辛みが利き、それでいて後味は爽やかな人情話をご賞味ください。

あらすじ

日本橋堀留町にある蕎麦屋「薬味蕎麦」の主人・龍右衛門の倅が、下谷稲荷町で蕎麦屋を開きたいと、辻六に相談してきた。龍右衛門は地主の彦左衛門と旧知の仲だったため、この話はすんなりと認められ、唯念寺前に新たな蕎麦屋が建てられることになる。 しかし、稲荷町の料理屋「しげ虎」の主人・虎蔵と龍右衛門は、かつて兄弟弟子の間柄で、龍右衛門の独立をめぐってひと悶着あったという。大工の棟梁からその話を聞いた辻六は、二人が再び揉め事を起こさないかと不安を覚える。
自身番を舞台にした人情時代小説、待望の第三弾。

(『下谷稲荷町自身番日月抄(三) 薬味蕎麦』カバー裏の内容紹介より抜粋・編集)

今回取り上げた本


書誌情報

『下谷稲荷町自身番日月抄(三) 薬味蕎麦』
小杉健治

双葉社・双葉文庫
2026年1月14日 第1刷発行

カバーデザイン:重原隆
カバーイラストレーション:岡田航也

目次
第一話 薬味蕎麦
第二話 丙寅大火
第三話 筆まぐさ
第四話 紙の如し
第五話 お鷺竹城

本文246ページ
文庫書き下ろし

小杉健治|時代小説ガイド
小杉健治|こすぎけんじ|時代小説家・ミステリー作家1947年、東京生まれ。1983年、「原島弁護士の処置」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し作家デビュー。1988年、『絆』で第41回日本推理作家協会賞を受賞。1990年、『土俵を走る殺意』で...

『奥様姫様捕物綴り(四) 悪事も欲事も千里を走る』|山本巧次|双葉文庫

ここに注目!

奥様姫様捕物綴り(四) 悪事も欲事も千里を走る 昨年12月、時代小説の装画を担当されている7人のイラストレーターによる展覧会を見に行った際、田尻真弓さんのイラストも展示されており、本書の原画をひと足先に拝見することができました。まさに眼福でした。

山本巧次(やまもと・こうじ)さんの「奥様姫様捕物綴り」シリーズの装画は、毎巻、大名の奥様・彩智(さち)と、その娘・佳奈姫の衣装の華やかさが大きな見どころです。今回も、二人の着物や括り袴のきらびやかさに、思わず目を奪われます。

さて物語は、江戸と彩智ら牧瀬家の領地である美濃国御丈を行き来する飛脚問屋「茨木屋」の飛脚が、中山道で荷を奪われるという事件に遭うところから始まります。

奪われた荷の中には、正室・彩智が牧瀬内膳正忠基に宛てた書状も含まれており、事態は一気に深刻化します。そこで彩智と佳奈姫は、荷を奪った賊の正体を探ることに乗り出します。
ところが、事件の背後には、大物の影がちらつき……。

彩智と佳奈姫、母娘の競演が楽しめる捕物劇の第四弾は、さらにスケールアップし、見せ場たっぷりの痛快時代小説となっています。どうぞお楽しみに。

あらすじ

江戸と国元の美濃御丈を行き来する飛脚問屋「茨木屋」の飛脚が中山道で襲われ、荷を奪われる事件が起こる。奪われた品は、たいして値打ちのあるものではなかったが、この話を聞いた正室・彩智と佳奈姫は目を輝かせ、賊の正体を探ることにする。さっそく飛脚問屋で話を聞くと、このところ宿場で何者かに荷を探られることが度々あったという。佳奈姫は、事件の裏に黒幕がいるのではないかとにらむが……。 無敵の奥方様と姫様が、藩を揺るがす騒動に立ち向かう、絶好調の痛快時代小説第四弾。

(『奥様姫様捕物綴り(四) 悪事も欲事も千里を走る』カバー裏の内容紹介より抜粋・編集)

今回取り上げた本


書誌情報

『奥様姫様捕物綴り(四) 悪事も欲事も千里を走る』
山本巧次

双葉社・双葉文庫
2026年1月14日 第1刷発行

カバーデザイン:bookwall
カバーイラストレーション:田尻真弓

目次
なし

本文289ページ
文庫書き下ろし

山本巧次|時代小説ガイド
山本巧次|やまもとこうじ|時代小説・作家1960年、和歌山県生まれ。中央大学法学部卒業。鉄道好きで、長年鉄道会社に勤務した経歴を持つ。2015年、第13回「このミステリーがすごい!」大賞の隠し玉となった『大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう』でデ...