このコーナーでは、新しく書棚に加わった本を中心に、少しずつご紹介していきます。
佐伯泰英の書き下ろし長編、稲葉稔の新シリーズ、時代劇のノベライズも
『一文字助真』|佐伯泰英|光文社文庫
九州の小藩を出て江戸にやってきた若き剣術家が、愛刀「一文字助真(いちもんじすけざね)」とともに未来を切り開いていく青春時代小説です。文庫書き下ろし長編となります。
ここに注目!
10巻以上続く大長編シリーズはもう書かないと宣言された著者による、本作は1巻読み切りの書き下ろし長編です。
本書の主人公・猪俣小次郎(いのまた・こじろう)は、豊後国の小藩・日出(ひじ)藩で、叔父の猪俣亘穐(つねあき)が道場主を務める剣術道場に通う若者です。18歳のとき、三人の道場破りが現れ、小次郎はそのうちの一人と、五十両と愛刀・一文字助真を賭けて立ち合うことになります。その結果、小次郎は十年ほどの武者修行の旅に出ることになりました。
それから六年が経った文政七年(1824)春。小次郎は甲州道中・日野宿にいました。三日前、初狩宿近くで出会った娘・薫子と連れ立って旅をしていたのです。薫子は、江戸・山谷で奉公をしているという姉を訪ねる途中でした。
吉原を目指す二人の前に、大きな危難が立ちはだかります……。
佐伯さんらしい、ドラマチックで痛快なストーリーが存分に楽しめます。しかも1巻読み切りのため、場面展開も早く、一気読みできる一冊です。
あらすじ
豊後国日出藩に生を享け、厳しい剣の修行に明け暮れて生きる若侍、猪俣小次郎。道場破りがもたらした思いがけない死をきっかけに、愛刀・一文字助真を携え、孤独な剣術修行の旅に出た。 道中で出会った、姉を捜す少女・薫子とともに、小次郎は江戸・吉原に辿り着くが――。若者たちが己の力で試練を乗り越え、未来を切り開こうとする。その先に見出される二人の「夢」の形とは。
(『一文字助真』カバー裏の内容紹介より抜粋・編集)
今回取り上げた本
書誌情報
『一文字助真』
佐伯泰英
光文社文庫
2026年1月20日 初版1刷発行
カバーデザイン:髙林昭太
目次
第一章 道場破り
第二章 江戸ぐらし
第三章 ござんなれ
第四章 誘い
第五章 勝負あり
終章 ふたりの夢
本文318ページ
文庫書き下ろし

『転身 伝次郎人情捕物控』|稲葉稔|光文社文庫
文庫書き下ろし時代小説の名手・稲葉稔さんによる、新たなシリーズが『転身』から始まりました。「剣客船頭」シリーズ全20巻、その続編である「隠密船頭」シリーズ全15巻に続く、沢村伝次郎ものの第3シーズンにあたります。
ここに注目!
南町奉行・筒井政憲が西丸留守居役へ異動したことに伴い、奉行直属の「隠密」を卒業した沢村伝次郎。妻・千草と二人、八丁堀近くの川口町から、神田川に面した湯島横町へと引っ越し、新たな生活を始めます。
ところが、引っ越し先で知り合った呉服問屋・信濃屋の小僧・新吉が、六年前、目の前で母を斬殺されるという悲劇に遭っていたことを知ります。伝次郎は、いまだ捕まっていない下手人を探すことになります……。
これまで隠密として、与茂七や粂吉を手足のように使って探索を進めてきた伝次郎ですが、隠密という身分を失った新シリーズでは、以前のように人を使うことができません。己ひとりの力で、すべてを探り出さなければならない点が、本作の大きな読みどころの一つとなっています。
しかし、思いがけない助けが現れ……。
読み始めたら止まらない、ノンストップのアクション時代小説です。自分と同じような悲劇を背負う新吉に、深く心を寄せる伝次郎の優しさにも、胸を打たれます。
あらすじ
南町奉行所の「隠密」として数々の難事件を解決してきた沢村伝次郎は、奉行所を辞め、浪人となった。八丁堀を離れ、新天地での暮らしを始めたが、事件は伝次郎を放ってはおかない。引っ越し早々、関わりを持った少年の過去の悲劇を知り、心優しい伝次郎は、単身で殺しの下手人探しに乗り出すことになる……。好評「船頭」シリーズの後を受け、稲葉稔渾身の新シリーズ、ここに開幕。
(『転身 伝次郎人情捕物控』カバー裏の内容紹介より抜粋・編集)
今回取り上げた本
書誌情報
『転身 伝次郎人情捕物控』
稲葉稔
光文社文庫
2026年1月20日 初版1刷発行
カバーデザイン:片岡忠彦
目次
序章 六年前の雪
第一章 信濃屋
第二章 仇
第三章 雨
第四章 聞き込み
第五章 脅迫
第六章 襲撃
本文304ページ
文庫書き下ろし

『小説 丹下左膳』|黒木久勝|光文社文庫
2025年12月29日に、NHK-BS特集時代劇「丹下左膳~大岡越前外伝~」として放送されたテレビ時代劇のノベライズ作品です。
ここに注目!
ドラマの原作は、林不忘さんの『丹下左膳(一) 乾雲坤竜の巻』で、これまで何度も映画やテレビ時代劇として制作されてきました。ドラマの脚本は、「まっつぐ〜鎌倉河岸捕物控〜」(2010年)や「鳴門秘帖」(2018年)など、NHK時代劇の脚本も担当した尾西兼一さん。
本書は、時代劇の脚本をもとにノベライズした時代小説。著者は、脚本家で、「香木屋おりん」シリーズ、「恋がらす事件帖」シリーズなどの文庫書き下ろし時代小説も発表している黒木久勝(くろき・ひさかつ)さんです。
美濃の名工、二代目孫六兼元が「大は乾雲丸、小は坤竜丸と名づける。天にある雲は竜を呼び、地を這う竜は雲を望む。二つが引き裂かれれば、血が血を呼び、世は殺戮に染まる」と言い、決して外に出してはならないとも。ある夜、二刀は何者かによって盗まれ、人から人へ渡り歩き、今、その乾雲・坤竜は、根津権現裏の小野塚鉄斎の道場にありました。
そして、丹下左膳(左馬之助)を中心に、二刀を巡る争奪戦が繰り広げられていきます
「丹下左膳(たんげさぜん)」は、昭和4年(1927)から「東京日日新聞」「大阪毎日新聞」夕刊に連載を始めた『新版大岡政談・鈴川源十郎の巻』の登場人物の一人。100年の歴史を経て、時代劇に精通した著者により、令和の時代に蘇ったのがうれしい。
あらすじ
神変夢想流の道場主・小野塚鉄斎が所持する乾雲丸と坤竜丸。二刀を奪取せんと男が乱入した。隻眼の怪剣士・丹下左馬之介。激闘の末、右腕の代償として乾雲丸を手にするが、坤竜丸は小野塚道場に残る。二刀の行方は……。NHK-BSで「特集時代劇 丹下左膳~大岡越前外伝~」として放送され好評を博したドラマの脚本を元に仕上げた、令和版の新たな傑作時代小説。
(『小説 丹下左膳』カバー裏の内容紹介より抜粋・編集)
今回取り上げた本
書誌情報
『小説 丹下左膳』
黒木久勝
原作:林不忘
脚本:尾西兼一
光文社文庫
2026年1月20日 初版1刷発行
カバーデザイン:髙林昭太
カバー絵:狩野芳崖「雲に双龍図」(部分/1885年/フィラデルフィア美術館蔵)
目次
序章
第一章 相馬家の命運
第二章 大岡越前
第三章 櫛巻きのお藤
第四章 血涙の結末
本文304ページ
文庫書き下ろし













