このコーナーでは、新しく書棚に加わった本を中心に、少しずつご紹介していきます。
豊臣兄弟を知るための読み物と、秀吉の名参謀を描く歴史巨編
1月4日より、2026年の大河ドラマ「豊臣兄弟!」の放送が始まりました。
現代的な感性を反映した、新しい藤吉郎(秀吉)像、小一郎(秀長)像に注目したいところです。
さて、今回ご紹介するのは、
朝日新聞出版から刊行された河合敦(かわい・あつし)さんの歴史読み物
『豊臣一族 秀吉・秀長の天下統一を支えた人々』(朝日新書)と、
火坂雅志(ひさか・まさし)さんの歴史小説
『全宗 秀吉の侍医にして名参謀』(朝日文庫)の2冊です。
『豊臣一族 秀吉・秀長の天下統一を支えた人々』|河合敦|朝日新書
豊臣秀吉は、織田信長の後を継いで天下統一を成し遂げた英傑として知られていますが、その弟・秀長については、一次史料が少なく、いまだ謎に包まれた部分も多く残されています。
本書は、テレビ番組「歴史探偵」などで活躍し、数々の著作を通して分かりやすく歴史を解説してきた歴史家・河合敦さんが、戦国随一の「仲良し兄弟」とも言われる秀吉・秀長を中心に、豊臣(羽柴)一族の全体像を丁寧にひもといていきます。
一時は秀吉の後継者と目された秀長は、天正十九年正月、五十一歳で亡くなりました。
「秀長が健在であれば、徳川幕府は成立しなかった」とまで言われるのは、なぜなのでしょうか。
一次史料が少ないということは、それだけ想像力を働かせる余地が大きいということでもあります。
その点においても、大河ドラマ「豊臣兄弟!」への期待が高まります。
内容紹介
豊臣秀長に関する一次史料は非常に少なく、軍記物語でも詳しく記されていません。
しかし実際には、秀長は政治・軍事の両面で卓越した手腕を発揮し、兄・秀吉の天下統一に最も貢献した人物でした。
本書では、豊臣兄弟の歩みを時系列で追いながら、二人を支えた豊臣(羽柴)一族との関係を深く掘り下げていきます。
(『豊臣一族 秀吉・秀長の天下統一を支えた人々』表紙カバー折り返しより抜粋・編集)
今回取り上げた本
書誌情報
『豊臣一族 秀吉・秀長の天下統一を支えた人々』
河合敦
朝日新聞出版・朝日新書
2025年12月30日 第1刷発行
カバーデザイン:アンスガー・フォルマー/田嶋佳子
目次
はじめに
第一章 城主に成り上がった百姓の子・木下藤吉郎秀吉
第二章 羽柴秀吉の巧みな中国平定と本能寺の変
第三章 豊臣秀長、兄・秀吉を天下人にする
第四章 豊臣秀吉の天下統一と補佐役秀長の退場
第五章 豊臣秀長を失って暴走する天下人・秀吉
第六章 天下人・豊臣秀吉の死と豊臣政権の落日
第七章 大坂の陣と豊臣家の滅亡
本文335ページ
書き下ろし

『全宗 秀吉の侍医にして名参謀』|火坂雅志|朝日文庫
2015年に歴史小説家・火坂雅志さんが逝去されてから、10年の歳月が流れました。
1988年、歌枕を訪ねる漂泊の旅に出た西行を主人公とする伝奇時代小説『花月秘拳行』でデビューし、2007年刊行の『天地人』で第13回中山義秀文学賞を受賞。同作は2009年の大河ドラマ原作としても知られています。
本作の主人公・施薬院全宗(やくいん・ぜんそう)は、延暦寺に属する僧であり、薬に通じ、信者の求めに応じて薬種を調合して施していました。
元亀二年(1571年)、比叡山は織田信長軍の焼き討ちに遭い、全宗は命からがら逃げ延びます。
薬方に秀でた全宗は還俗し、徳運軒と名乗り、侍医になることを志します。
竹中半兵衛の仲立ちによって京都奉行・秀吉に面会を求め、曲直瀬道三の医学舎・啓廸院(けいてきいん)で学ぶことを勧められます。曲直瀬道三は、将軍・足利義輝の病を治したことで知られる当代随一の名医でした。
本作では全宗は、甲賀に生まれ、忍びを父に持ち、自身も忍びの特殊な技能を身につけた、野心あふれる人物として描かれます。
忍びと医術という二つの異能を武器に、自らを秀吉に売り込み、時には師を踏み台にするしたたかさで戦国の世を渡っていく姿は、強烈なヒール像として描かれ、読む者を強く引き込みます。
あらすじ
甲賀に生まれた延暦寺の僧・全宗。
比叡山焼き討ち後、施薬の師である曲直瀬道三を踏み台に、豊臣政権の中枢へと入り込み辣腕を振るいます。
秀吉の筆頭侍医として、そして間諜として――歴史の陰で暗躍した名参謀の生涯を、壮大なスケールで描いた傑作歴史長編です。
(『全宗 秀吉の侍医にして名参謀』表紙カバー折り返しより抜粋・編集)
今回取り上げた本
書誌情報
『全宗 秀吉の侍医にして名参謀』
河合敦
朝日新聞出版・朝日文庫
2025年12月30日第1刷発行
カバー装幀:柳沼博雅(GOAT)
目次
はじめに
第一章 比叡山炎上
第二章 秀吉
第三章 啓廸院
第四章 秘命
第五章 信玄の隠し湯
第六章 波乱
第七章 湖国の風
第八章 帷幄の臣
第九章 密謀
第十章 天下人の侍医
第十一章 施薬院
第十二章 九州攻め
第十三章 帰去来
あとがき
解説 菊池仁
本文604ページ
『全宗』(小学館、2002年6月刊行)を改題したもの





























