『エレガンス』|石川智健|河出書房新社
『かぶきもん』|米原信|文藝春秋
『真田武士心得(一) 右近純情』|井原忠政|文春文庫
2025年12月27日(土)の東京新聞(中日新聞では12月28日)朝刊・読書面の「推し時代小説」のコーナーで、本の紹介をいたしました。
「推し時代小説」は、書評家の細谷正充さん、文芸ジャーナリストの内藤麻里子さん、文芸評論家の木村行伸さん、そして私・理流が週替わりで、おすすめの歴史・時代小説を取り上げる連載企画です。
今回は年内最後の読書会ということで、2025年を代表する3冊をご紹介しました。
今年は昭和100年、そして戦後80年という節目の年です。日本人の戦争の記憶が次第に風化していく中で、改めて戦争を描いた小説に強い関心を抱きました。
石川智健(いしかわ・ともたけ)さんの『エレガンス』(河出書房新社)は、終戦8か月前から相次いで起きた洋装女性連続不審死の謎を描く、戦時ミステリーの傑作です。
戦争によって明日をも知れない究極の精神状態の中で、あえて美しくありたい、エレガンスに生きることを選んだ女性たちの姿が描かれ、強く胸を打たれました。人びとの思いも生活も、すべてを焼き尽くす空爆の描写は圧巻で、その残酷さと壮絶さに、息をするのも忘れて読み進めました。
また、新しい作家の登場にも注目しました。オール讀物新人賞を受賞してデビューし、日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞した米原信(まいばら・しん)さんは、大学在学中の学生作家です。江戸歌舞伎の全盛期を活写したエンターテインメント性あふれる時代小説『かぶきもん』(文藝春秋)に、心躍らされました。芸道小説ではなく、芝居小屋のわちゃわちゃとした楽しさが見事に再現された一作です。
最後の一冊は、文庫書き下ろし時代小説から。井原忠政さんの『真田武士心得(一) 右近純情』(文春文庫)を推しました。「三河雑兵心得」「北近江合戦心得」シリーズに続く、「戦国心得」シリーズの第3弾にあたります。徳川家康と豊臣秀吉の狭間で、お家存続をかけた綱渡りを演じる真田家の視点から、戦国乱世が描かれていきます。
今回取り上げた本
「ほんまる」で「東京新聞・推し時代小説」特集 開催中

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