【今日の書棚】文庫書き下ろし時代小説ファンの心を射止める

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このコーナーでは、新しく書棚に加わった本を中心に、少しずつご紹介していきます。

レーベルはないのに時代小説に力を入れる、ありがたい出版社

文庫書き下ろし時代小説には、強い向かい風が吹いていると言われる昨今ですが、そうした状況の中でも、質・量ともに充実した時代小説を刊行し続けている出版社があります。

「時代小説文庫」「時代文庫」などと名付け、「時代小説」であることを明示した文庫レーベルを展開している出版社はいくつかありますが、双葉文庫は、毎月のように時代小説ファンの心を射止める作品を送り出しながらも、あくまで「双葉文庫」という表記のみを用いています。
時代小説文庫編集部という部署があり、専任の編集者もいらっしゃるにもかかわらず、です。

発売中の『本の雑誌増刊 おすすめ文庫王国2026』(本の雑誌社)を読むと、2026年も魅力的なラインナップが控えており、来年以降も大いに期待できそうです。

さて、少し前置きが長くなりましたが、12月の新刊をご紹介します。今月も、推しの時代小説ばかりです。

『三河雑兵心得17 関ケ原仁義(下)』|井原忠政|双葉文庫

三河雑兵心得17 関ケ原仁義(下)井原忠政さんのベストセラーシリーズ「三河雑兵心得」は、ついに天下分け目の関ヶ原合戦、そのクライマックスへと突入しました。

『関ケ原仁義』(上)(中)(下)の三巻が完結したことで、徳川家康の関ケ原戦略の全貌が明らかになり、我らが主人公・茂兵衛も大活躍を見せます。
シリーズ未読の方は、この『関ケ原仁義(上)』から読み始めても十分に楽しめるでしょう。

『三河雑兵心得』 井原忠政 | 双葉社
戦国時代の三河を舞台に、村を飛び出した17歳の茂兵衛が松平家康の家臣に拾われ、足軽稼業に身を投じるところから始まる物語。ひょんなことがきっかけで、武士人生のスタートから立身出世どころか謀反人になってしまった「新米足軽」の運命やいかに!?

また、茂兵衛と主君・家康、そして元上司の本多平八郎との掛け合いは、ますます磨きのかかった可笑しさを見せ、この戦国足軽出世物語に絶妙なスパイスを加えています。

「三河雑兵心得」シリーズ、「北近江合戦心得」シリーズ(小学館文庫)に加え、「真田武士心得」シリーズ(文春文庫)も誕生し、「戦国心得三部作」がついに出揃いました。
“三本の矢”が揃ったことで、井原ワールドはますます痛快無比に広がりを見せています。このまま戦国の世を縦横無尽に駆け抜けてほしいと願わずにはいられません。


今回取り上げた本




書誌情報

『三河雑兵心得17 関ケ原仁義(下)』
井原忠政

双葉文庫
2025年12月13日第1刷発行

カバーデザイン:高柳雅人
カバーイラストレーション:井筒啓之

目次
序章 総大将、着陣ス
第一章 前夜祭
第二章 桃配山の本陣
第三章 開戦――福島正則、吼える
第四章 問鉄砲
終章 最後の男――島津義弘

本文269ページ
文庫書き下ろし

井原忠政|時代小説ガイド
井原忠政|いはらただまさ(経塚丸雄)|時代小説・作家神奈川県出身、神奈川県鎌倉市在住。会社勤務を経て文筆業に入る。2016年、経塚丸雄のペンネームで『旗本金融道(一) 銭が情けの新次郎』で時代小説デビュー。2017年、同作で、第6回歴史時代...

『おれは一万石 武門の商船』|千野隆司|双葉文庫

おれは一万石 武門の商船千野隆司(ちの・たかし)さんによる、累計100万部突破の人気シリーズ最新刊です。

本シリーズの魅力は、一石でも禄高が減れば旗本に格下げされてしまう“ギリギリ一万石”の小藩下総高岡藩を舞台に、莫大な借金、一揆、疫病、世継ぎ問題など、次々と襲いかかる藩の存亡の危機を、若き藩主・井上正紀と藩士たちが一丸となって乗り越えていく点にあります。
まさに、ハラハラドキドキの痛快時代小説です。

著者は、よくぞこれほどまでに多様な危機や困難を高岡藩に与えるものだと、感心してしまうほどです。

シリーズ第35巻となる本書では、下総高岡藩井上家が金策に追われる末、船を借りて荷の輸送を行う廻船に目を付けます。しかし、商いを始めて早々、荷船が積み荷もろとも姿を消すという、絶体絶命の事態が発生します。

果たして正紀は、この試練をいかにして乗り越えるのでしょうか。
ある意味でパターン化された物語ではありますが、その安定した痛快な読み味に、本作も大いに癒やされます。



今回取り上げた本


書誌情報

『おれは一万石 武門の商船』
千野隆司

双葉文庫
2025年12月13日第1刷発行

カバーデザイン:重原隆
カバーイラストレーション:松山ゆう

目次
前章 年貢米出荷
第一章 消えた荷船
第二章 疫病の薬材
第三章 新たな荷船
第四章 激流利根川
第五章 米のにおい

本文246ページ
文庫書き下ろし

千野隆司|時代小説ガイド
千野隆司|ちのたかし|時代小説・作家1951年、東京生まれ。國學院大學文学部文学科卒、出版社勤務を経て作家デビュー。1990年、「夜の道行」で第12回小説推理新人賞受賞。2018年、「おれは一万石」シリーズと「長谷川平蔵人足寄場」シリーズで...

『針ざむらい』|横山起也|双葉文庫

針ざむらい2023年、『編み物ざむらい』(角川文庫)第12回日本歴史時代作家協会賞文庫書き下ろし新人賞を受賞した横山起也(よこやま・たつや)さんが、双葉文庫に初登場です。

『編み物ざむらい』『お茶漬けざむらい』に続く「ざむらい」シリーズ第3弾となる本作の主人公・糸原佐武郎は、元広島藩徒目付。ある事件をきっかけに脱藩し、現在は江戸・神田鍛冶町で「針研ぎ かぐら」を営む浪人です。

針をよすがに己を磨き、敵に立ち向かう――。
これまでの優しさにあふれる作風から一転し、生きるか死ぬかの緊迫感に満ちた、手に汗握る胸熱の新感覚サスペンス時代活劇が誕生しました。


今回取り上げた本



書誌情報

『針ざむらい』
横山起也

双葉文庫
2025年12月13日第1刷発行

カバーデザイン:アルビレオ
カバーイラストレーション:スカイエマ

目次
序章 鉄砲目付 糸原佐武郎
第一章 針研ぎ かぐら
第二章 襲撃
第三章 呪いとまじないについて
第四章 依頼
第五章 人さらい
第六章 三囲稲荷の戦い
第七章 運命の拍子

本文264ページ
文庫書き下ろし

横山起也|時代小説ガイド
横山起也|よこやまたつや|編み物作家、小説家編み物作家、文筆家。株式会社日本ヴォーグ社「編み物チャンネル」顧問/ナビゲーター。2022年、『編み物ざむらい』で時代小説デビュー。2023年、『編み物ざむらい』で第12回日本歴史時代作家協会賞文...