「時代小説●2025年12月上旬の新刊情報(文庫)」を公開

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『針ざむらい』|横山起也|双葉文庫

針ざむらい(双葉文庫)
2025年12月1日から12月10日に刊行予定の文庫新刊情報として、「2025年12月上旬の新刊(文庫)」を公開いたしました。

今回、特に注目したいのは、横山起也(よこやま・たつや)さんによる文庫書き下ろし時代小説『針ざむらい』(双葉文庫)です。
著者は、2023年に『編み物ざむらい』(角川文庫)で第12回日本歴史時代作家協会賞文庫書き下ろし新人賞を受賞された実力派であり、本作はその最新作となります。
かつて、文芸評論家の菊池仁(きくち・めぐみ)さんより、「文庫書き下ろし作家は3カ月に1冊出さないと忘れられる」という言葉を、間違えて2カ月に1冊と覚えてしまい、来年4月まで、2カ月に1冊というハイペースで作品を執筆されているそうです。


あらすじ

神田鍛冶町で「針研ぎ かぐら」を営む浪人・糸原佐武郎。その研ぎの技は他に類を見ないほど精妙で、いまでは小間物問屋の大店からも研ぎの注文が常に入るほどになっています。 実は佐武郎は、江戸に出る前、広島藩の徒目付としてたたら場に入り浸り、鉄の扱いに精通していました。しかし、無二の親友である黒部新右衛門から“あるもの”を預かったことをきっかけに、佐武郎の運命は奔流へと巻き込まれていきます。 針をよすがとして己を磨き、敵へと立ち向かう――血沸き肉躍る新感覚時代活劇の誕生です。

(『針ざむらい』(双葉文庫)Amazonの紹介文より抜粋・編集)

ここに注目!

2025年10月24日に開催された第14回日本歴史時代作家協会賞授賞式&受賞パーティーで、横山さんのゲストスピーチを伺い、大いに感銘を受けました。ここでは、その内容を少し紹介させていただきます。

著者は小説執筆のほかに「編み物」の世界でも活動されており、近年の編み物事情についてお話しされました。

数年前まで、編み物の世界は50代以上が中心で、20〜40代のユーザーは少数派でした。しかし、この1〜2年で若い世代を中心に人気が急上昇しているそうです。
原宿にはアイドルがプロデュースする毛糸店がオープンし、世界的デザイナーがラフォーレ原宿で編み物の個展を開くなど、“若くておしゃれな世代”の間で編み物がトレンドになり、関連商品の売上も伸びているとのことでした。

横山さんは、19世紀初頭のイギリスの織物工業地帯で起こった「ラッダイト運動(Luddite movement)」を引き合いに出して説明されました。
産業革命による機械導入に反発した労働者が、仕事を奪われる不安から機械を打ち壊した運動で、最終的には政府軍に鎮圧されています。

現代においても、AIや自動化技術の進展により雇用が奪われることへの懸念から「ネオ・ラッダイト」と呼ばれる現象が語られています。
そうした中で、かつて効率化の犠牲となった織物職人の“手仕事”である編み物が、現代に再び注目を集めているのは象徴的だと感じます。
スマホやPCから少し距離を置き、自分の時間を大切にする動きが広がっているのも、とても興味深い点です。

さらに横山さんは、「近代化以前の知恵や物語が求められる時代が来ている」とおっしゃり、時代小説から得られる知識が、今後ますます必要とされるのではないかと語られたのが印象的でした。

さて話を戻しますが、本作は『編み物ざむらい』『お茶漬けざむらい』(光文社文庫)に続く“○○ざむらいシリーズ”の第3弾です。

主人公は、針研ぎの浪人・糸原佐武郎。
「針」といっても、著者が使う編み針や縫い針ではなく、箸ほどの長さがある長い針で、革や畳といった厚く硬いものを突き通すための道具です。
「必殺仕掛人」で使われるような長い針も、イメージとしては近いかもしれません。

どのような物語が展開していくのか、今から楽しみでなりません。

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横山起也|よこやまたつや|編み物作家、小説家編み物作家、文筆家。株式会社日本ヴォーグ社「編み物チャンネル」顧問/ナビゲーター。2022年、『編み物ざむらい』で時代小説デビュー。2023年、『編み物ざむらい』で第12回日本歴史時代作家協会賞文...