『尚、赫々たれ 立花宗茂残照』|羽鳥好之|ハヤカワ文庫JA
2025年11月11日から11月20日に刊行予定の文庫新刊情報として、「2025年11月中旬の新刊(文庫)」を公開いたしました。
今回、特に注目したいのは、羽鳥好之(はとり・よしゆき)さんによる戦国時代小説『尚、赫々(かくかく)たれ 立花宗茂残照』(ハヤカワ文庫JA)です。
著者について
著者の羽鳥好之さんは、株式会社文藝春秋に入社し、「オール讀物」編集長や文藝書籍部長、文藝局長などを歴任され、直木賞選考会の司会も務められた、小説編集・制作畑のエキスパートです。
文藝春秋退社後は、金沢学院大学文学部で教授として、文芸書籍編集や小説執筆について教鞭をとられています。
本書は、2022年10月に早川書房より刊行され、翌2023年の第12回日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞しました。著書には、ほかに『遊びをせんとや 古田織部断簡記』(早川書房)があります。
あらすじ
神君家康がいかにして「関ケ原」を勝ち抜いたのか、考えを聞かせてほしい――。
寛永八年、三代将軍家光に伺候した立花宗茂は、剣呑な諮問を受けます。その真意はどこにあるのか。新たな大名取り潰しの意図が潜んでいるのではないかと、宗茂は不安を募らせます。答え如何によっては家光の勘気に触れるおそれもある。だが――先代秀忠の病が篤くなり、親政への意欲を高める家光が待つ御座の間で、宗茂はある決意をもって語り始めます。
やがて解き明かされる天下を分けた決戦の不可解さ、家康の深謀と西軍敗走の真相。勝敗の鍵を握った大名が召し出され、決戦前夜の深い闇が、いま明らかになろうとしていました――。(『尚、赫々たれ 立花宗茂残照』カバー袖の説明文より抜粋・編集)
ここに注目!
戦国最強の驍将(きょうしょう)といわれる立花宗茂の晩年を描いた、中編3編を収録した時代小説集です。
立花宗茂は人気の高い武将で、数多くの小説に描かれています。しかしながら、第一線を退いた晩年の日々を丹念に活写した作品はあまり多くありません。
宗茂は、関ケ原の戦い(1600年)では西軍に属し、柳川城を守備しましたが、石田三成らの敗北後も東軍(徳川方)に抵抗したため、戦後処理で改易され、浪人となりました。
浪人時代、宗茂は家臣を見捨てず、百数十名の旧臣の生活を支援し続けたと伝わります。その誠実で律義な性格を、徳川家康も高く評価したといわれています。
1604年には家康から千石の旗本として召し抱えられ、その後1620年には旧領・筑後柳川十万九千石への復帰を果たしました。
この「旧領復帰」は極めて異例で、徳川政権下では宗茂ただ一人です。
本書では、晩年に至ってもなお名将としての風格と胆力を失わなかった立花宗茂の姿に光を当てるとともに、知られざる「関ケ原の戦い」の真実に迫ります。
関ケ原の謎に挑む「関ケ原の闇」のほか、天樹院と鎌倉の駆け込み寺・東慶寺を訪れることになった宗茂を描く「鎌倉の雪」、さらに、関ケ原の戦い後に死の淵に進む宗茂に誠意をもって降伏を勧めた加藤清正家を襲った変事を描く「江戸の火花」の3編を収録しています。
単行本のレビュー


今回ご紹介した本







