『登山大名』(上・下)|諸田玲子|日本経済新聞出版
2025年10月1日から10月末日の間に、単行本(ソフトカバー含む)で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2025年10月の新刊(単行本)」を公開しました。
今月の注目作は、諸田玲子さんによる歴史長編小説『登山大名』(上・下)(日本経済新聞出版)です。最近、出版事情から上下巻での発行が少なくなっているので、長編好きとして、二分冊はなんとなくうれしいです。
あらすじ
時は四代将軍・家綱の世。天下をゆるがした島原の乱の余燼がくすぶり、幕藩体制が盤石ではなかた時代。公儀の執拗な締め付けに苦しむ豊後・岡藩の第三代藩主となったっ中川久清が、山中で不思議な娘と出逢う。行方をくらませた娘を探し求めるうちに「中川の誇りを貫いてくれ」と言い残して逝った先代が秘してきた切支丹庇護の痕跡が次々と露わになり、祈りの場に娘の姿を見つけた時、久清の運命は大きく変わり始める。やがて自らの出生にまつわる壮大な秘密も明らかになっていき――なぜ大名はくじゅうの山に登ったのか? 見えない敵と戦ってきた大名が目指した理想郷とは?(『登山大名』(上・下)Amazon内容紹介より抜粋・編集)
ここに注目!
本書の主人公の豊後国岡藩三代藩主・中川久清の事績については、本書に出合うまで全くその事績を知りませんでした。
Wikipediaなどによると、久清の祖父は豊後国岡藩の初代藩主で、父久盛は二代藩主。織田信長に従った摂津の小領主で、武勇に優れた鬼瀬兵衛と呼ばれ、賤ヶ岳の合戦で戦死した中川清秀(その妹は古田織部の正室)を曾祖父に持っていました。
岡藩は、現在の大分県竹田市に藩庁を置き「竹田藩」とも呼ばれています。
赤神諒さんの『はぐれ鴉』の舞台にもなっています。
さて、本書では、幕藩体制が盤石ではなく、島原の乱を経て統治体制を整備するべく、幕府によるさまざまな統制が厳しくなり、大名家の改易が頻繁に起こっていた時代を背景にしています。
久清は、なぜ山を愛して、晩年になるまで何度も繰り返し登山をしたのでしょうか?
秘密は、キリシタンにあるようですが、どのように久清はかかわっていくのか、物語への興趣がつきません。

今回取り上げた本









