『らんたん』|柚木麻子|新潮文庫
2025年7月21日から7月31日に刊行予定の文庫新刊情報として、「2025年7月下旬の新刊(文庫)」を公開いたしました。
今回、特に注目したいのは、柚木麻子(ゆずき・あさこ)さんによる長編小説『らんたん』(新潮文庫)です。
ここに注目!
本書は、東京・恵泉女学園の創立者であり、明治・大正・昭和という激動の時代を生き抜き、女子教育に情熱のすべてを注いだ教育者・河井道(かわい・みち)の生涯を、三部構成で描いた長編小説です。
本作を読んで、「シスターフッド(Sisterhood)」という言葉の意味を改めて知ることができました。
シスターフッドとは、血縁にとらわれない女性同士の絆、イエス・キリストのもとに集う“姉妹”としての精神を意味し、無条件の助け合いや分かち合いを表します。
津田梅子や新渡戸稲造をはじめ、有島武郎、広岡浅子、徳冨蘆花、村岡花子、柳原白蓮、野口英世、太宰治など、同時代を生きた数々の著名人たちも登場し、明治後期から昭和にかけての女子教育の歴史を俯瞰することができます。
著者の柚木麻子さんは、恵泉女学園の卒業生でもあります。
解説は、『赤毛のアン』の翻訳者として知られる村岡花子さんのお孫さん、村岡恵理さんが執筆されています。
↓単行本のレビュー

あらすじ
らんたんの灯を絶やさないで。それは「教育」という名の希望なのだから――。 伊勢に生まれた河井道は、札幌で新渡戸稲造に学び、アメリカのブリンマー大学に留学。帰国後は、津田梅子が創設した女子英学塾で教鞭をとります。 良妻賢母ではなく、一人の人間として生きるための女学校をつくろうと、道は教え子の渡辺ゆりとともに奔走します。 明治・大正・昭和を通して女子教育を築いた〈魂の姉妹〉を描く、輝きに満ちた大河小説です。
(『らんたん』(新潮文庫)Amazon紹介文より抜粋・編集)

今回ご紹介した本
