妖怪が起こす事件を算法得意の新妻が解決、痛快ミステリ

『彩菊あやかし算法帖 からくり寺の怪』

彩菊あやかし算法帖 からくり寺の怪青柳碧人(あおやぎあいと)さんの時代小説、『彩菊あやかし算法帖 からくり寺の怪』(実業之日本社文庫)を入手しました。

2020年の本屋大賞にノミネートされミステリー、『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の著者・青柳碧人さんの最新文庫です。

第1作、『彩菊あやかし算法帖』の数学×妖怪×時代ミステリの組み合わせが期待に違わず面白くて、お代わりという感じで第2作『彩菊あやかし算法帖 からくり寺の怪』を賞味します。

下級武士の娘・車井彩菊は、おしゃれが大好きな17歳。ひょんな縁で、水戸の高那家の三男・半三郎のもとに嫁ぐことになった。水戸に来て早々。からくりの張り巡らされた寺に潜入してほしいという依頼が――(第四之怪)。ベストセラー『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の著者が描く新感覚時代×数学ミステリー!
(本書カバー裏の紹介文より)

主人公の車井彩菊(くるまいあやぎく)は、当年十七歳。常陸国の小藩・牛敷藩の下級武士の娘でしたが、ひょんなことから水戸藩士の高那泰次の三男・半三郎に先月嫁ぎ、水戸で暮らしていました。

ある日、御城から帰ってきた夫の半三郎が不機嫌で、訳を聞くと、郡奉行が用心棒を欲しがっており、その試験で奇怪な問いを出されて、半三郎を含む集まった三十人ばかりの者が誰も答えをだすことができなかった。

「今ここに、蓋のついた木箱が三つある」
 それは、白黒の碁石と三つの箱を使った、奇怪な問いであった。
『蓋には小さな丸い穴がついているが、中は見えない。それぞれの箱には、【白】、【黒】、【白黒】と書かれている。
 三つの箱には、“白の碁石のみ百個”、“黒の碁石のみ百個”、“白黒の碁石五十ずつ計百個”の、いずれかが入っている。しかし、箱に書かれている文字と中身は一致しない。
 さて、すべての箱は、傾けると、穴から一つだけ中身の石が出てくる。すべての箱の中身を確実に知るために出す碁石の、最も少ない数はいくつか』
 
(『彩菊あやかし算法帖 からくり寺の怪』「第一之怪 彩菊と雷獣針供養」P.18より)

算法が得意な彩菊から答えを聞いた半三郎は彩菊の手を引いて、御城に向かいました。
彩菊は、問いを答えてその実力を認めた、郡奉行の小宮山楓軒から、ある村の神社に棲みつき、村人たちの命を奪う雷獣を退治するように依頼されました……。

物語に登場する、小宮山楓軒(こみやまふうけん)は、実在の人物です。
天明三年(1783)、水戸の史料編纂所である彰考館に入り、「大日本史」の編纂に携わり、その後、郡奉行に抜擢されて民政にあたりました。
物語に描かれた時代は、寛政11年(1799)以降と思われます。

江戸時代の算法好きの少女が、化け物を相手に、その時代に日本にはなかったはずの数学を用いて立ち回るという、コンセプトが楽しくてクセになります。

彩菊あやかし算法帖 からくり寺の怪

青柳碧人
実業之日本社 実業之日本社文庫
2020年8月15日発行

単行本『彩菊あやかし算法帖 からくり寺の怪』(2017年8月、実業之日本社刊)を文庫化したもの。

カバーデザイン:大岡喜直(next door design)
装画:友風子

●目次
第一之怪 彩菊と雷獣針供養
第二之怪 彩菊と夜桜人形
第三之怪 彩菊と鮟鱇七道具神
第四之怪 彩菊とからくり寺
第五之怪 彩菊と夢幻コロボックル
第六之怪 彩菊と虚ろ舟
跋文(エピローグ)
あとがき

本文348ページ

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『彩菊あやかし算法帖 からくり寺の怪』(青柳碧人・実業之日本社文庫)
『彩菊あやかし算法帖 からくり寺の怪 からくり寺の怪』(青柳碧人・実業之日本社文庫)
『むかしむかしあるところに、死体がありました。』(青柳碧人・双葉社)

青柳碧人|時代小説ガイド
青柳碧人|あおやぎあいと|作家 1980年、千葉県生まれ。早稲田大学卒業。 2009年、『浜村渚の計算ノート』で第3回「講談社Birth」小説部門を受賞しデビュー。 2020年、『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が本屋...