2020年3月1日から3月31日の間に、単行本(ソフトカバー含む)で刊行される時代小説の新刊情報リスト「2020年3月の新刊(単行本)」を掲載しました。
今月は、中央公論新社から刊行される、浅田次郎さんの『流人道中記(上・下)』を紹介します。
万延元年(1860年)。姦通の罪を犯したという旗本・青山玄蕃に、奉行所は青山家の所領安堵と引き替えに切腹を言い渡す。
だがこの男の答えは一つ。
「痛えからいやだ」。
玄蕃には蝦夷松前藩への流罪判決が下り、押送人に選ばれた一九歳の見習与力・石川乙次郎とともに、奥州街道を北へと歩む。
口も態度も悪いろくでなしの玄蕃だが、道中で行き会う抜き差しならぬ事情を抱えた人々は、その優しさに満ちた機転に救われてゆく。
この男、一体何者なのか。そして男が犯した本当の罪とは?
(上巻 Amazon内容紹介より)
奥州街道を北へと歩む罪人・青山玄蕃と、押送人・石川乙次郎は、道中の宿場で、二人は抜き差しならぬ事情を抱えた人々と行き会います。
彼らを救わんとする玄蕃の行動に触れるにつれ、乙次郎の心は揺らいでいきます。
参勤道中御供頭のお役目を仰せつかった主人公が、家伝の行軍録を唯一の手がかりに江戸へ向かう『一路』に続く、道中物語です。
『一路』が全編「笑い」に満ちたのに対して、本書は「泣かせる」時代小説のようです。
■Amazon.co.jp
『流人道中記(上)』(浅田次郎・中央公論新社)
『流人道中記(下)』(浅田次郎・中央公論新社)
『一路(上)』(浅田次郎・中公文庫)
浅田次郎|時代小説ガイド
浅田次郎|あさだじろう|作家 1951年、東京都生まれ。 1995年、『地下鉄に乗って』で吉川英治文学新人賞受賞。 1997年、『鉄道員』で直木賞受賞。 2000年、『壬生義士伝』で柴田錬三郎賞受賞。 2006年、『お腹召しませ』で中央公論...