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イケメン与力の「本所の上さま」が巨悪を懲らしめる!

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隼人始末剣 最強の本所方与力誉田龍一(ほんだりゅういち)さんの文庫書き下ろし時代小説、『隼人始末剣 最強の本所方与力』がコスミック・時代文庫から刊行されました。

万治三年(1660年)から貞享二年(1685年)、元禄六年(1693年)から享保四年(1719)の間、大川以東の本所の民政・道路・橋・水路などを管理するために、本所奉行(ほんじょぶぎょう)が置かれていました。

その後、一般行政や住民に請負わせていた事業の管理は町奉行に設置された「本所方」(与力1名・同心2名)に移管され、道路・橋・水路の管理は勘定奉行に移管されて、本所奉行は廃止されました。

本書は、その本所方与力を主人公にした、文庫書き下ろし時代小説です。

本所方与力――大川以東の区域を取り締まる役目の与力であったが、かつてこの地を治めた本所奉行の代わりに置かれていた。よって屋敷を置く大名家ではいざという時に備え、奉行並の威信がある与力に袖の下を渡す者も多かった。そして今、この職に就いているのが上村隼人(うえむらはやと)である。
彼は庶民の暮らしを第一に考え、貰った紙包みは救い小屋に渡し、また公明正大で、大名家も畏れる存在であった。人びとは、その名をとって「上さま」と呼び、殿様よりも偉い上様(将軍)になぞらえたのだ。
そんな本所の上さまの耳に、炭の値が高騰しているという報せが入る。その陰には、とある藩の野心が蠢いていて……。

主人公の上村隼人は、颯爽と登場します。

 年の頃は三十前、ひとりの若い男がゆっくり歩いてきて、鉄扇を拾った。 こちらは着流しではなく、きちんと袴を着けている。
 しかし腰には紫房の十手がささっている。
 顔つきは、まるで役者かと見まがうような色白で彫りが深い。
 上背もあり、体つきは細く見えるが、ちらっと見えた腕は丸太のように太かった。
(『隼人始末剣 最強の本所方与力』P.15より)

イケメンの上に、津田助広二尺三寸五分の愛刀を手に剣の腕も冴え、知恵と行動力も兼ね備えた、本所の「上さま」の登場です。
庶民の味方として、大名家も絡む巨悪を懲らしめます。古き良き時代劇ヒーローぶりと肩の凝らない捕物ストーリーが楽しめます。

配下の同心、中野正三郎、五十嵐貴昌とのチームワーク、上司である南町奉行の大岡越前守忠相とのやり取り、本所方の詰所代わりに使っている船宿の女将・お雪との微妙な関係など、隼人を取り巻く人びとも描かれていて居心地のよい小説に仕上がっています。

「上さま」的なキャラクターを逆手にとって、やや強引で横紙破りスレスレの手法で事件を解決していくのが何とも快感です。
日常の憂さを忘れてスカッとしたい人におすすめの新シリーズです。

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『隼人始末剣 最強の本所方与力』