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ハプスブルク研究の泰斗が語る、“貴賤婚の禁”をめぐる悲喜劇

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超説ハプスブルク家 貴賤百態大公戯ドイツ・オーストリア文化史専攻の明治大学理工学部教授、菊池良生(きくちよしお)さんの歴史読み物、『超説ハプスブルク家 貴賤百態大公戯(きせんひゃくたいたいこうのたわむれ)』がH&I(エイチアンドアイ)より刊行されました。

エイチアンドアイは、ユニークな視点で書籍を編集発行する出版社です。時代小説の分野でも、安部龍太郎さんの『葉隠物語』や東郷隆さんの『肥満 梟雄 安禄山の生涯』など、時代小説とはひと味違う魅力あふれる、面白い作品を刊行しています。

ヨーロッパの中心で、20世紀まで700年余り君臨し続けたハプスブルク王朝。「神に選ばれし王家」において、1918年の滅亡まで厳守された陋習“貴賤婚の禁”が巻き起こした、悲喜劇全七幕を噺家ばりの名調子で語りつくす。

ハプスブルク家が厳守し続けた貴賤婚の貴とは王族のことだけを指します。他はすべて、たとえ伯爵家であっても、賤の括られてしまいます。著者によると、この鉄の掟は、「何もしない王朝」ハプスブルク家が700年余の長きにわたり君臨してきた最大の武器といえるようです。

本書では、この非人間的な鉄の掟に、命を賭けて抗った大公や大公女たちもいて、その人間ドラマを、独特の語り口で展開させた「超説」が楽しめます。あわせて、それぞれの事件の背景に控える近代ヨーロッパの複雑怪奇な事情も解き明かします。

著者の菊池先生は、『戦うハプスブルク家』(講談社現代新書)や『ハプスブルク帝国の情報メディア革命―近代郵便制度の誕生』(集英社新書)など多数の著書をもつ、ハプスブルク研究の泰斗です。時代小説読みの相当な猛者でもあるそうです。

歴史読み物とはひと味もふた味も違う、この「超説」で、苦手なヨーロッパの近代史に親しみたいと思います。

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『超説ハプスブルク家 貴賤百態大公戯』
『戦うハプスブルク家』
『ハプスブルク帝国の情報メディア革命―近代郵便制度の誕生』

エイチアンドアイ|書籍