江戸っ子でいるのも大変だな

荒俣宏さんの『男に生まれて 江戸鰹節商い始末』を読んでいる。当初は、「にんべん」こと伊勢屋伊兵衛の、江戸っ子の口舌を再現したつぶやきと、きっぷのいい言動に戸惑いを覚えたが、物語に引き込まれていくうちに、この文体がいちばん適したものであることに気付いた。

幕末、旗本や御家人といった幕臣ばかりでなく、商人も、江戸っ子の気概をもって生き抜くことは、大変だったんだなあとあらためて思う。とくに、伊兵衛の仲間が命を落とすシーンではウルウルと目頭が熱くなった。

物語では、「にんべん」ばかりでなく、「榮太樓」や「山本山」「山本海苔店」「西川」などの日本橋の商人たちが登場する。また、小栗上野介や、山岡鉄太郎、益満休之助など、幕末の著名人も登場するのが楽しい。