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永代橋崩落に題材をとった捕物小説

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千野隆司さんの『永代橋の女 へっぴり木兵衛聞書帖』を読んだ。文化4年(1807)8月19日に起こった永代橋崩落に題材をとった、連作捕物小説。主人公の土橋木兵衛は、家禄五十石の無役の御家人で、達筆を買われて、看板書きの内職に精を出していた。四年前までは、御天主番衆だったが、妻の珠江が何者かに殺された事件で、お役を罷免されて家禄を半減させられ、青山から本所へ屋敷替えの沙汰を受けた。

十二年ぶりの祭礼で見物客が殺到し、崩落事故の起こった永代橋で、木兵衛は商家の主人が男に突き落とされる一部始終を目撃した。非道の振る舞いに腹の底から怒りのこみ上げた木兵衛は、犯人の男探しに乗り出す…。

木兵衛は、剣術がまるっきしダメで、刀を構えてもへっぴり腰になってしまうことから、「へっぴり木兵衛」と呼ばれていたが、正義感は強く情に篤かった。第一話「永代橋情けの仇討」、第二話「もらい子」、第三話「残された女」、いずれも永代橋崩落で、運命が変わってしまった人たちを描いている。

永代橋落橋事件を描いた時代小説に杉本苑子さんの『永代橋崩落』がある。中公文庫から出ていたものは絶版になっているようだが、読んでみたい。

永代橋の女―へっぴり木兵衛聞書帖 (学研M文庫)

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