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蘭学者緒方洪庵が主人公の捕物小説がNHK土曜時代劇に

築山桂(つきやまけい)さんの『緒方洪庵 浪華の事件帳 禁書売り』を読んだ。江戸時代の大坂を舞台にした時代小説で注目される築山さんの初期の作品である。2001年4月に島影社から単行本で刊行され、長年探し求めていた作品が、双葉社から文庫化された。さらに、この作品を原作にNHK土曜時代劇で、1月10日より、「浪花の華 緒方洪庵事件帳」というタイトルで連続TVドラマ化されるという。時代小説ファンとしても喜ばしい限りだ。

物語の舞台は、文政十二年(1827)の大坂。主人公は思々斎塾で蘭学を学ぶ若者、緒方章(後の洪庵)。章は禁書になっていた蘭学書『八刺精要(やさすがりせいよう)』を入手するために、長堀にかかる問屋橋で、闇商いを手がける本屋加島屋と待ち合わせていた。しかし、加島屋に売り値を吊り上げられて、章は有り金を手付け代わりに巻き上げられて、三日間待ってもらうことで別れた。三日後、章は約束の場所、天満天神の茶店に行くが、一刻以上待っても加島屋は現れず、茶店の並びからやや離れた池の畔で加島屋は死体で発見される。そこで、章は若侍姿の麗人・東儀左近と出逢う…。

『禁書売り』は、主人公の若き日の緒方洪庵(章)の活躍よりも、颯爽とした左近の存在感が圧倒的。TVドラマでは栗山千明さんが演じられるようで、原作の雰囲気を伝えられそうで、こちらも楽しみである。ちなみに緒方章役は窪田正孝さんが配役されている。築山作品では、若い女性を主人公にしたものが多く、好奇心、正義感、一途さ、可憐さなど乙女心が楽しめる特徴が見られる。

また、その作品には江戸時代の大坂の町と文化を堪能でき、知的満足感が高いものが多い、本作品も例外ではない。オフィシャルサイトの自己紹介によると、築山さんは京都府生まれで、大阪大学大学院文学研究科博士課程を修了されていて、専攻は日本近世史で趣味は雅楽(笙)、現在は福井県に在住とのこと。大坂を舞台にした時代小説の書き手が少ない中で、築山さんの存在は貴重であり、注目していきたい。

おすすめ度:★★★★

築山桂オフィシャルサイト―つきやま楽所へようこそ

築山桂オフィシャルサイト つきやま楽所
小説家 築山桂オフィシャルサイト

NHK土曜時代劇「浪花の華 緒方洪庵事件帳」

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コメント

  1. 安田八十八 より:

    近世大坂が舞台の時代劇で時代考証が歴史博物館館長の脇田氏、風俗考証が今昔館学芸員の明珍氏がされていますし原作者が築山桂さん、プロフィールでは大坂近世を専攻されていたようですが、ドラマを見ていて風俗考証に?まずべか車ではなく大八車が出てきます、下引きの股引の色は紺(木戸番)白(四ヶ所長吏)こげ茶(四ヶ所小頭)が近世大坂の仕来りにもかかわらず何色か判らない姿で登場していて興醒めしてしまいました、同文をNHK掲示板に投稿いたしましたがおそらく【四ヶ所長吏】の文字が出てきたので削除されていました、ディテイルを軽視あるいは無視するならば考証など無意味なものであって原作者も不本意だと思うのですが、所詮テレビドラマであって重箱の隅を突付く様なことをしたくは無いのですが、、、近世大坂の姿を立体的に描くには文献歴史学だけではなく下層民の歴史を調査しなければ浮かび上がってこないと思います。