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若草姫で面白さアップの「湯守り日記」

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高橋義夫さんの『若草姫』を読んだ。やむを得ない私闘を咎められ勘当同然に肘折温泉の湯守りとなった新庄藩士(正しくは次男で部屋住み)の花輪大八を主人公にした「花輪大八湯守り日記」シリーズ第2弾。雪深い湯治宿にやってきた姫君の持つ草子『若草ものかたり』に隠された秘密とは。そして、城下での道場破り騒動と、突然の兄の蟄居との関わりは? 新庄藩を揺るがす暗闘、奔走する大八は、兄と「若草姫」を救えるか?

前作よりも魅力的な登場人物が増えて、面白さもパワーアップした。湯治宿という閉じられた空間が舞台なので、新しい宿泊客がやってくることで、事件が起きて新展開が期待できて、ページを繰るのが楽しくなる。設定を聞いただけでも読者を惹きつけてしまう「若草姫」の存在。そして、剣術遣いの牟田小四郎が狂言回しのように物語をかき回す。前作からのファンには、憎みきれない敵役の目明しの合海の伝兵衛が大八に見せる友情が何とも微笑ましいところ。