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大奥と寺社の蜜月ぶり

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歴史学者の安藤優一郎さんとお会いした。安藤さんといえば、ちょうど今日あたりから、最新刊の『江戸城・大奥の秘密』が書店に並んだところ。『江戸城・大奥の秘密』は、時代劇などで描かれることが多い、女の園、大奥の知られざる実像に迫る読み物。来年の大河ドラマも『天璋院篤姫』(宮尾登美子原作)ということで、秋以降注目を集めそうなテーマである。

江戸城・大奥の秘密 (文春新書)

江戸城・大奥の秘密 (文春新書)

新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)

新装版 天璋院篤姫(上) (講談社文庫)

『江戸城・大奥の秘密』では、とくに江戸後期から幕末の大奥を取り上げている。大奥女中たちがエリート官僚集団として強力な政治力を持っていて、かつ、待遇面でいかに優遇されていたかを紹介している。その強すぎる影響力や莫大な大奥の経費が幕府の土台を揺り動かす力となったという著者の示唆は興味深い。

また、安藤さんは『観光都市 江戸の誕生』で成田山、『徳川将軍家の演出力』で川崎大師などの寺社の隆盛の秘密を明らかにしてきたが、今回は大奥女中と寺社との蜜月ぶりを紹介している。

観光都市 江戸の誕生 (新潮新書)

観光都市 江戸の誕生 (新潮新書)

徳川将軍家の演出力 (新潮新書)

徳川将軍家の演出力 (新潮新書)

今回の本で面白かったのは、将軍家御典医(奥医師)を務める桂川家の長女で大奥に入り、十六歳の若さで悲劇の死を遂げた桂川てやに関する記述だった。本書に掲載されたてやの絵姿を見ると、とても十六歳にはみえない大人っぽさというか凛とした美しさを感じる。父は桂川家六代目の甫賢、兄は七代目となる甫周(ちなみに『居眠り磐音』シリーズに登場する甫周のほうは四代目である)。

探梅ノ家 ─ 居眠り磐音江戸双紙 12 (双葉文庫)

探梅ノ家 ─ 居眠り磐音江戸双紙 12 (双葉文庫)

日本橋本石町の金沢三右衛門(丹後)や日本橋の大久保主水、深川佐賀町の長谷川織江、凮月堂などが登場する、江戸城の菓子御用達を巡る話も面白かった。