2023年時代小説SHOWベスト10、発表!

2006-01

戦国

木曾の桟と石川貞清

『時代小説 読切御免第四巻』に、火坂雅志さんの「命、一千枚」が収録されていた。この短篇小説は、天正十八年に信州木曾谷が豊臣家の直轄地になったところから始まる。木曾の美林に目をつけた秀吉が、領主の木曾義昌を下総国網戸に移し、代わりに自らの息の...
武家

藤沢周平作品と犬

新潮文庫から出ている『時代小説―読切御免〈第4巻〉』を読み始めた。今を代表する人気時代小説作家の短篇7編を収録したアンソロジーだ。1巻~3巻同様にラインナップが豪華で気に入っている。今回も藤沢周平さん、北方謙三さん、鈴木輝一郎さん、火坂雅志...
剣豪

『真剣』はあとがき、解説まで会心作

『真剣 新陰流を創った男、上泉伊勢守信綱』を読了する。ほとんどが通勤時間を利用しての読書だったために、少しずつ咀嚼するようにゆっくりと時間をかけて読んだ。そのせいもあり、毎日ワクワクしながら物語の展開を楽しめた。 新陰流の流祖で剣聖と呼ばれ...
捕物

女房の家出と三行半

佐藤雅美さんの『疑惑 半次捕物控』を読了。またしてもやられたという感じで、作者のストーリーテリングの妙にはまった。今回も、岡っ引きの半次は事件ばかりでなく、周囲の人物にも翻弄される。金の匂いを嗅ぎつけて半次にまとわりつく浪人・蟋蟀小三郎。何...
捕物

拝領屋敷と地守

佐藤雅美さんの本を読んでいると、江戸に関する知識がついてためになる。たとえば、『疑惑 半次捕物控』では、拝領屋敷のことが物語に登場し、テーマになった捕物話が載っている。 「吉兵衛が浜松屋茂左衛門の下谷御成街道の、家質に入っていて流れた間口十...