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時代小説 2006年7月・文月の巻 |
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十六夜華泥棒 鍵屋お仙見立絵解き (いざよいはなどろぼう・かぎやおせんみたてえほどき)
山内美樹子
カバー写真:NORIKAZU KATSUI /A.Collection /amana |
♪鈴木春信の美人画に描かれて人気者となった、笠森稲荷の茶汲娘・お仙を探偵役とした捕物帳。著者の山内さんは、山村正夫小説講座の出身で、本書で第三回北区内田康夫ミステリー文学賞審査員特別賞を受賞する。「曲水の宴」「流星菊寿七変化」「五月雨琴の音遊び」「十六夜華泥棒」の連作4編を収録している。いずれの話でもお仙に匹敵するような美女たちが登場する。しかも、お仙と同様に浮世絵師、鈴木春信とその弟子光信の絵のモデルを務めている。何とも華やかな作品で、読み味もよい。 お仙を助けるのが、幼なじみの歌舞伎役者瀬川菊之丞、絵師の春信、目明しの富蔵、飴売りの土平、下座見(辻売り絵草子のネタ取り役)の忠公らの面々。 笠森稲荷は、谷中の感応寺の西裏門際にあり、徳川吉宗が創設した御庭番十七家の一つ、倉地家が勧請、創建したもの。笠森は、瘡森とも書き、享保から明和年間に流行した民間信仰で、できものや皮膚病、梅毒などにご利益があると信じられていた。
ブログ◆ 物語●「曲水の宴」鈴木春信の絵に描かれた本郷菊坂の糸屋の娘お縫が急死したという。お縫には十八になる姉のお町がいて、お町は店の看板娘だった。お客に頼まれれば針に糸を通してあげた。糸を舐めたときに、ほんのりと紅の色がつくというので、若い男たちも、適当な理由をつけて買いに来る……。「流星菊寿七変化」お仙は絵師の春信、歌舞伎役者の二代目・瀬川菊之丞とともに、花火師の鍵屋の花火船に招かれてた。花火見物でにぎわう大川で女の死体を見つけた……。「五月雨琴の音遊び」十軒店の羽子板屋・汐屋の美人姉妹の妹のほうのお夕の声が突然でなくなった。姉のお朝から思いもよらぬことを聞いたお仙は心配するお朝を元気付けたが……。「十六夜華泥棒」笠森稲荷の境内にある腰掛け茶屋の鍵屋のお仙のもとに、ひとりの若い尼の信如尼が訪れて、お華の十六年の生涯について聞いてほしいと言った……。 目次■曲水の宴|流星菊寿七変化|五月雨琴の音遊び|十六夜華泥棒|解説 森村誠一 ここから始まる本のリンク▼『恋ぐるい』(諸田玲子著・新潮文庫) |