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時代小説 2006年1月・睦月の巻
居眠り磐音 江戸双紙 驟雨ノ町 by 佐伯泰英 |
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疑惑 半次捕物控 (ぎわく・はんじとりものひかえ)
佐藤雅美
カバー装画:横塚繁 |
♪岡っ引きの材木町の半次が活躍する捕物小説「半次捕物控」シリーズの第四弾。前作『命みょうが』で登場した、元越前丸岡藩藩士(有馬家)の蟋蟀小三郎(こおろぎこさぶろう)こと、国見小三郎が再び登場するのが見どころの一つ。蟋蟀小三郎は、藩の世継ぎ争いがもとで藩を放逐され、藩の重役を恫喝したり、喧嘩で牢獄につながれたり、茶坊主を恐喝したりと横紙破りで、儲け話には目がなく喧嘩や人殺しも辞さずで、半次を悩ますトラブルメーカーである。その反面、半次の女房の志摩や娘のお美代には受けがいいという男性にとっては厄介なキャラクター。 佐藤雅美さんの『疑惑 半次捕物控』を読了。またしてもやられたという感じで、作者のストーリーテリングの妙にはまった。今回も、岡っ引きの半次は事件ばかりでなく、周囲の人物にも翻弄される。金の匂いを嗅ぎつけて半次にまとわりつく浪人・蟋蟀小三郎。何かと事件の探索を持ち込む北町奉行所定廻り同心岡田伝兵衛。そして、女房の志摩。 今回は半次と志摩の夫婦関係にもスポットが当たる。シリーズ第2作の『揚羽の蝶』で、岡山藩に絡む事件で、備中宮内の親分の娘・志摩と一緒になる。面倒見がよくて行動的、思い込んだら一途なところがある志摩。その志摩が朝帰りを繰り返した末に、家を出る。小三郎との仲を疑いながらも、問い質せず悶々とする半次。しかも、一緒になるときに、半次は志摩に三行半を渡していた……。ピンチ! 同類として「がんばれ、半次」と思わず応援してしまう。捕物事件の結末とともに、夫婦の行く末が気になってしまう。次回作が楽しみな捕物シリーズである。 物語●「第一話 芭蕉が取り持つ復縁」半次のもとに、荻花の俳号をもつ唐物屋の隠居を芭蕉庵の旧跡に顕彰碑建てたいので口添えをという相談があった…。「第二話 疑惑」蟋蟀小三郎から半次に拝領屋敷をめぐる儲け話があった…。「第三話 小三郎のいつもの手」大店の小間物問屋の番頭が、は組の頭に万引きの疑いをかけたことからトラブルになり、半次に取り成しを依頼にきたが…。「第四話 迷子札を見る女」半次のもとに迷い子の男の子が連れてこられたが、引き取りがなく迷子札を出すことに…。「第五話 浜御殿沖慮外法外の報い」浅草駒形あたりの裏長屋の面々と家持が船に乗って酒盛りした末に、浜御殿沖で慮外法外な馬鹿騒ぎを演じてしまった…。「第六話 小三郎の放心」野州佐野の小前百姓の甚兵衛が半次のもとに相談にやってきた。江戸に葉たばこ作りを売りに来て煙草問屋に騙されたという…。「第七話 働き者の女なかの悩み」半次は、引合茶屋高麗屋の女主人すみに亭主と別れたいという小料理屋の女・なかに力を貸してくれと頼まれたが…。「第八話 一難去ってまた一難」半次は蟋蟀小三郎から飲み屋に呼び出されるが、行ってみると小三郎が暴れ者の丹後田辺藩士の一人を殺害し、もう一人の腕を斬り落としていた。正当防衛か、過剰防衛か…。 目次■第一話 芭蕉が取り持つ復縁/第二話 疑惑/第三話 小三郎のいつもの手/第四話 迷子札を見る女/第五話 浜御殿沖慮外法外の報い/第六話 小三郎の放心/第七話 働き者の女なかの悩み/第八話 一難去ってまた一難/解説 清原康正 ここから始まる本のリンク▼『百助嘘八百物語』(佐藤雅美著・講談社文庫) |
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道場破り 鎌倉河岸捕物控 (どうじょうやぶり・かまくらがしとりものひかえ)
佐伯泰英
装画:浅野隆広 |
♪鎌倉河岸の名代の酒問屋豊島屋に集う、政次、亮吉、彦四郎、しほの四人の青春群像を描く捕物小説シリーズの第9弾。豊島屋は、「山なれば富士、白酒ならば豊島屋」で広く江戸の人々に知られた老舗酒問屋。白酒が名物だが、「鎌倉河岸捕物控」では、上質の下り酒と田楽が売り物の一杯飲み屋を併設していたという設定だ。ちなみに豊島屋(本店)は現在も千代田区猿楽町で営業を続けられていて、「江戸の草分け白酒」、清酒「金婚」、「天上味醂」などが名物である。 『道場破り』のタイトルどおり、今回は政次が通う赤坂田町の直心影流神谷丈右衛門道場に、道場破りが訪問する。乳飲み子を背にした女武芸者永塚小夜である。ショッキングな形で登場した新キャラクターを迎えて、シリーズは新たな展開を見せる。 物語●「第一話 初午と臍の緒」烏森稲荷の初午の見物に来ていた手先の亮吉は、突然年増女に抱きつかれた…。「第二話 女武芸者」金座裏の若親分の政次が通う赤坂田町の神谷道場に、乳飲み子を負った女武芸者永塚小夜が現れた…。「第三話 金座裏の赤子」永塚小夜と赤ん坊の小太郎は、ひとまず金座裏の宗五郎親分の家に引き取られることになった…。「第四話 深川色里川端楼」筆頭与力新堂宇左衛門の嫡男で見習に出ている孝一郎に不審な点があり、宗五郎と政次の二人で密かに探ることになった…。「第五話 渡り髪結文蔵」町役人の役目も負っている髪結床の夫婦と住み込みの見習い職人が殺され、一人娘の行方がわからなくなるという事件が起きた…。 目次■序章/第一話 初午と臍の緒/第二話 女武芸者/第三話 金座裏の赤子/第四話 深川色里川端楼/第五話 渡り髪結文蔵 ここから始まる本のリンク▼『命みょうが』(佐藤雅美著・講談社文庫) |
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はやぶさ新八御用旅 二 中仙道六十九次 (はやぶさしんぱちごようたび2・なかせんどうろくじゅうきゅうつぎ)
平岩弓枝
カバーデザイン・装画:西のぼる |
♪東海道編が面白く、家族も楽しんで読んでいたので、今度は中仙道編をゲット! 京が物語の発端で、雅な雰囲気がして、正月に読む本にピッタリといったところ。主人公の南町奉行所内与力の隼新八郎は、絵に描いたような美丈夫(好い男)のせいか、とにかくモテる。 本編の「御用帳」シリーズでは、妻の郁江、お奉行付きの女中お鯉、湯島の踊りの師匠・小かんに恋心をもたれているが、『中仙道六十九次』でも、女性たちにモテモテである。鷹司家の遠縁の姫で御所仕えの女官・雪路、禁裡付同心の寡婦小篠、医師岡本元斎の娘で医学を学ぶみゆきに思いを寄せられる。ほかにも想定外の人から恋われることになる。 日常生活とは違う旅を通じて、人の気持ちはどうなるのか? 旅先の風物とともに、登場人物たちの言動が楽しめるのが道中ものの面白いところ。時代小説では、これに悪漢や謎の人物が入り混じってチャンバラ劇(剣難)が繰り広げられるのが定番。『はやぶさ新八御用旅』でもそんな見せ場が用意されていて、最後まで大いに楽しめる。 東海道はいろいろな作品に描かれることが多いが、中仙道はそれほど多くないので、道中をたどるだけでも興味深い。昨年夏に訪れた、松本、諏訪湖もチラッと出てきて、旅情もあって、快い読了感が残った。 物語●江戸町奉行根岸肥前守鎮衛の命で、東海道五十三次を上り、京にやってきた、内与力を務める隼新八郎。根岸肥前守と昵懇の関白太政大臣鷹司輔平の用人、細川幸大夫に喜寿の祝物を届けた後、京都所司代酒井讃岐守の依頼で、御所役人の不正の探索を、御所女官の雪路の協力を得て行うことに……。 目次■第一話 京の夢/第二話 近江路にて/第三話 美濃路を行く/第四話 木曾路の秋/第五話 信濃路追分節/第六話 新八郎女難 ここから始まる本のリンク▼『はやぶさ新八御用旅 一 東海道五十三次』(平岩弓枝著・講談社文庫) |
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居眠り磐音 江戸双紙 驟雨ノ町 (いねむりいわね・えどそうし・しゅううのまち)
佐伯泰英
カバーイラストレーション:蓬田やすひろ |
♪深川六間堀の金兵衛長屋に住む浪人・坂崎磐音が活躍する『居眠り磐音 江戸双紙』シリーズの第15弾。今回は磐音の父、坂崎正睦が江戸に出てきて事件に巻き込まれるのがポイント。この主人公にして、この父ありという感じで正睦の存在感がバツグン。江戸家老福坂利高との抗争、暗躍する刺客との対決、そして磐音とおこんの恋への理解。次のステージへ向けて物語が展開していく。 その合間に、例によって磐音はいろいろな事件に巻き込まれる。深川生活の師匠である鰻採りの名人・幸吉少年の奉公先からの失踪、甲斐国市川陣屋で召し取られた盗賊鰍沢の満ヱ門を江戸まで護送する仕事の依頼、直心影流佐々木道場の面々との捕物劇など、見せ場に事欠かない。 物語●将軍家の日光社参の無事を祝う猿楽が城中で催され、大名や高禄の旗本に混じって、豊後関前藩の国家老坂崎正睦も呼ばれた。後日、正睦に下屋敷に、今津屋吉右衛門、老分番頭由蔵らと招かれた磐音は、父から予期せぬことを明かされた……。一方、鰻屋宮戸川で奉公している幸吉は、鰻の割き方の覚えが悪いと叱られ、夜のうちに店を出奔する……。 目次■第一章 暗殺の夜/第二章 暑念仏/第三章 鰍沢の満ヱ門/第四章 富士川乱れ打ち/第五章 螢と鈴虫 ここから始まる本のリンク▼『酔いどれ小籐次留書 寄残花恋』(佐伯泰英著・幻冬舎文庫) |