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2005年4月・卯月の巻
銀のなえし 鎌倉河岸捕物控 by 佐伯泰英 |
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蒼龍 (そうりゅう)
山本一力
装画:木内達朗 |
♪オール讀物新人賞を受賞した表題作を収録した短編集。山本さんの原点に触れられる作品集。仕事や武家の対面、藩の危機、借金など、困難に立ち向かい、力強く生きる人たちを描いた珠玉の短編集。読み終えた後の気分が爽やかで、人としてちゃんと生きなきゃという思いにさせらる。 「のぼりうなぎ」畑違いの呉服屋に転職(出向のような形で)することになった指物職人の奮闘を描く、感動作。 「節分かれ」灘の下り酒問屋の主人である父と後継者である息子の、商売をめぐる価値観の対立と、家族愛がテーマ。経営とは何かを考えさせられた。 「菜の花かんざし」牧歌的な始まりの後に、ある一家を襲う悲劇。武家と町家の価値観の対立と家族愛を描く。 「長い串」土佐藩の参勤交代を描いた短編。東海道島田宿の川留めと川越の様子が描かれていて興味深い。 「蒼龍」作者自身をモデルにし、新人賞の公募をテーマにした作品。 物語●「のぼりうなぎ」指物職人の弥助は、出入りの材木問屋杢柾の主人柾之助の仲介で、日本橋の呉服大店近江屋に手代として働くことになった。弥助の仕事振りを眼にした、近江屋の主人九右衛門が奉公人たちの手本になってほしいと懇願したのだった…。「節分かれ」灘の下り酒問屋の大手稲取屋は、灘の酒の在庫薄になり、売ろうにも売る酒が足りず、得意先に頭を下げて詫びる日々が続いていた。ここ四年続きの凶作により、入荷量が半分以下に減ったのだ…。「菜の花かんざし」柚木乃は、十歳の真之介と六歳のかえでと一緒に、菜の花畑で遊んでいた。そのころ、勝山藩の国元で剣術指南を務める夫・堀晋作に江戸から凶報がもたらされた…。「長い串」土佐藩江戸留守居役森勘左衛門は、帰国する大名行列の責任者に、藩随一の背丈と顔の長さを誇る三十九歳の吉岡徹之介を抜擢した。沈着さとタフさを買ったのだった…。「蒼龍」大工の弦太郎はサイコロ博打の負けで五両、女房のおしのは回船問屋で手代をやっていた実の兄が店の金を持ち逃げしたために五十両と、夫婦で多額の借金を抱えた…。 目次■のぼりうなぎ|節分かれ|菜の花かんざし|長い串|蒼龍|あとがきにかえて|解説 縄田一男 ここから始まる本のリンク▼『損料屋喜八郎始末控え』(山本一力著・文春文庫) |
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利休遺偈 (りきゅうゆいげ)
井ノ部康之
カバー画:今井俊満 紅葉賀 |
♪作者は、千家三部作『千家再興』『千家奔流』『千家分流』(いずれも読売新聞社刊)で知られる、時代小説作家。茶道表千家七代目家元・如心斎が主人公ということで読むのがとても楽しみな一冊。「利休遺偈」とは、千利休が自害時に残した辞世の句を記した直筆の書。千家にとってはもっとも重要な家宝。以下のような内容。 人世七十 力囲希咄表千家六代目家元覚々斎とその三人の息子たちが、行方不明になった利休の辞世の書の行方を捜すところで、家族で力を合わせていくシーンで胸が熱くなった。端正な中にもドラマティックな場面があって、面白く読めた。 物語●六代目覚々斎の長男与太郎と次男政之助は、母の秋と三人で、賀茂川の河原に花摘みに出かけた。十歳の与太郎は、花摘みから戻ると、朝食の前に母と二人で利休遺偈を暗誦させられた。朝食後、与太郎は母と四歳下の弟政之助と一緒に、花遊びをした。秋は水をはった桶に三人で摘んできた花を全部入れ、竹籠花入と小刀を一本用意した。摘んできた花を、何でも自分の好きなように花入れに入れていく。次の人が花を差し替えて、草花の組み合わせの妙と品位を感じ取り、そのつど花の形や色彩に工夫をこらして生け変えていくのだ。茶花について関心が深く、繊細優美な才を発揮して、重要な茶事の際も、花のことをまかせられる秋が、遊びを通して子どもたちに、茶席の花について教えていたのだ…。 目次■一、花遊び/二、地口歌/三、茶碗の中の海/四、相次ぐ悲報/五、三本の茶杓/六、寒雲亭の桜/七、冬木屋の茶会/八、深夜の不審菴/九、居士衣の光/十、『天然』の円相/十一、七事式の制定/十二、男子誕生の朗報/十三、寸たらずの遺偈/十四、送り銅鑼の茶会/十五、檜扇の風/十六、利休遺偈披露茶会/十七、坂の上の寂光 ここから始まる本のリンク▼『おおとりは空に』(津本陽著・講談社文庫) |
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暴れ旗本八代目 けんか凧 (あばれはたもとはちだいめ・けんかだこ)
井川香四郎
カバーイラスト:安里英晴 |
♪『くらがり同心裁許帳』などで最近活躍が目立つ時代小説作家井川さんの新シリーズ。「銭形平次」や「暴れん坊将軍」「八丁堀の七人」などのTV時代劇の脚本家としても活躍されてきた方らしい。冒頭で、主人公の旗本で大目付の大河内政盛が、歯痛に悩まされるシーンが描かれていて、興味深かった。時代小説で虫歯を描いた作品はこれが初めてである。自分自身、2カ月前に歯肉炎で歯医者通いをしている身なので、政盛に同情してしまう。 江戸時代は、庶民の食文化が現在と違い、貧弱だったこともあり、虫歯の人がほとんどいなかったのだろうか? 一度、調べてみたいテーマである。作品のもう一人の主人公、政盛の一人息子の右京の方は凧揚げ狂いという設定。凧揚げは、冬の風物詩として描かれることが多い。佐江衆一さんの『江戸職人綺譚』では、凧師と呼ばれる凧つくり職人が描かれている。 主人公のひょうたん侍、大河内右京が悪の巣窟、鬼ヶ島に乗り込むところが、映画『どら平太』をホーフツさせて、わくわくさせる。政盛と右京の親子関係を翻弄する西蓮寺の住職の娘・綾音の存在がアクセントになっている。田沼意次が頼りなく描かれているのが、逆に新鮮かも。
物語●江戸城に登城する大目付・大河内讃岐守政盛は、歯痛に悩まされていた。大河内家は三河徳川以来の旗本で、融通の利かない無骨な武門として知られていた。政盛の目下の懸念は、汐留沖の埋立地が無法者の巣窟になっているにもかかわらず幕府は野放しの状態で、江戸町民が鬼ヶ島と呼んで恐れていることだった。“鬼ヶ島”のことは評定で既に何度も話題にしてきた懸案だが、田沼意次を中心とした幕閣重職たちはいつも結論を先延ばしにしてきた。 目次■第一話 吉原籠城/第二話 消えた密書/第三話 金座炎上/第四話 大江戸鬼ヶ島 |
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黒く塗れ 髪結い伊三次捕物余話 (くろくぬれ・かみゆいいさじとりものよわ)
宇江佐真理
装画:安里英晴 |
♪「髪結い伊三次捕物余話」シリーズの第五作。『君を乗せる舟』を入手するまで、うかつにもこの作品を読んでいなかったのに気づかなかった。慌てて追加発注。宇江佐さんはタイトルの付け方にたいそう力を入れておられるそうだが、気にして、各話のタイトルを見ていくと、どれも読みたい心をくすぐるようなものばかりだ。表題作もローリングストーンズの曲名みたいで、かっこいい。シリーズ第五作目は、伊三次とお文の間に赤ちゃんが生まれ、二人の間の愛情がいかに深まっていくかが最大の見どころ。周囲の人たちもそんな二人を温かく見守り、作品を読んでいて何とも心地良くほのぼのとした安らぎを覚える。お文の出産を描く、「月に霞はどでごんす」は圧巻。また、小さな幸せをさがす若い二人を描く、「慈雨」を読んでいて目頭が熱くなった。 「髪結い伊三次」シリーズは、捕物小説の形態を取っていているが、実は伊三次とお文を中心にした愛情や人情にスポットライトを当てた市井小説である。そのため、読後の幸福感・充実感が大きい。 ところで、本作品を読むまで、文化三年に北町奉行所が常盤橋御門内から呉服橋御門内に移転したことに気づかなかった。江戸の産科のことなど、宇江佐さんは、いろいろと江戸のことを調べて書かれているので、読んでいてためになることが多い。 物語●「蓮華往生」浅草・天啓寺で、境内に金箔を施した大蓮華を備え、この世に未練もなくひたすら極楽往生を願う老人などが深く帰依していた。隠密廻りの同心、緑川平八郎の妻、てやもその一人だった…。「畏れ入谷の」定町廻り同心、不破友之進と息子の龍之介は、西両国広小路で三人組の武士に殴られてる自棄を起こしている男を見かけた…。「夢おぼろ」伊三次は、新築の普請現場で「一生の不覚」が口癖の大工朝太郎と久々に再会した。朝太郎は、伊三次の死んだ父親と半年ばかり一緒に仕事をしたことがあった…。「月に霞はどでごんす」伊三次は、不破の指図で、渡りの太鼓(幇間)の桜川笑助を人斬り請け負いの一味に噛んでいるのではないかと疑い、探っていた…。「黒く塗れ」伊三次は、箸屋の主、翁屋八兵衛から、妻のおつなが店の金を持ち出し、寺に運んでいるのではないかという悩みを打ち明けられ、探ってみることにした…。「慈雨」不破家の掛りつけの医者松浦桂庵の母親が深川不動のご開帳に出かけてそのまま行方不明になったという。伊三次は不破に依頼されて、行方を捜すことに…。 目次■蓮華往生|畏れ入谷の|夢おぼろ|月に霞はどでごんす|黒く塗れ|慈雨 ここから始まる本のリンク▼『御宿かわせみ 源太郎の初恋』(平岩弓枝著・文春文庫) |
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続巷説百物語 (ぞくこうせつひゃくものがたり)
京極夏彦
造形製作:荒井良 |
♪小悪党小股潜りの又市、山猫廻しのおぎん、考物の先生こと山岡百介らが活躍する『巷説百物語』の続編。第130回直木賞受賞作品でもある。最近、寝る前に30分ほど読み続けていた、京極夏彦さんの『続巷説百物語』を読了した。文庫版とはいえ、760ページ余りの分厚い本なので、布団の中で読むのには適しているとはいえない。しかも、妖怪をモチーフにしているので、就寝前の読書向けとはいえないが、面白くて途中で読むのを止めるのが苦しかった。 第130回直木賞受賞作品だが、続編で賞を取ること自体はきわめてまれなことではないだろうか。前作『巷説百物語』ももちろん面白かったが、さらにスケールがアップして、主要キャラクターについても深く描き込まれていた。前作はプレリュード(序章)で、すべてはこの続編のためにあったといえる。謎・怪異の部分がすべて明らかになり、独立して描かれていた物語が、収斂していく京極作品特有のカタルシスが満喫できる。もちろん、『続巷説百物語』から読んでも大いに楽しめる。 [訂正]勘違いしていました。直木賞受賞作は第3作目の『後巷説百物語』でした。ごめんなさん。 http://www.kadokawa.co.jp/sp/200401-07/index.html 物語●野鉄砲」考物の先生こと、山岡百介は、実兄で八王子千人同心の山岡軍八郎に呼び出されて、八王子に向った…。「孤者異」山岡百介は、小塚原の仕置場を目指したが、躊躇してなかなか真直ぐ向えなかった。その途中で、山猫廻しのおぎんと出会った…。「飛縁魔」山岡百介は、神田鍛冶町の貸本屋平八の店を訪れ、平八から丹後と若狭の間にある北林藩で起こった怪異な事件の話を聞いた…。「船幽霊」山岡百介は、おぎんを伴って讃岐国に足を踏み入れた…。「死神 或は七人みさき」山岡百介は加賀国小塩ヶ浦から、事触れの治平と四玉の徳次郎の二人と一緒に江戸へ戻ってきた。事触れの治平は元盗賊で、徳次郎は呑馬術なる奇異な妙技を体得した放下師だった…。「老人火」山岡百介は、事件以来六年ぶりに北林藩領内を訪れた…。 目次■野鉄砲(のでっぽう)|孤者異(こわい)|飛縁魔(ひのえんま)|船幽霊(ふなゆうれい)|死神 或は七人みさき|老人火(ろうじんのひ)|解説 恩田陸 ここから始まる本のリンク▼『巷説百物語』(京極夏彦著・角川文庫) |
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御町見役うずら伝右衛門・町あるき (おまちみやくうずらでんえもん・まちあるき)
東郷隆
カバー装画:深井国 |
♪尾張藩主徳川宗春の同腹の弟で、藩の隠密御用を務める、「うずら伝右衛門」こと、志摩銀之丞が活躍するシリーズ第2弾。今回の宗春と将軍吉宗の対立ぶりをどのように描くか興味津々。「町あるき」と題されていたので、のほほんとしたお話ばかりかと思っていたら、当時の武家や庶民の姿を活写した話を収録。中でも、「小便組の女」というドッキリするタイトルで、おねしょをする妾の話で興味深かった。確か『銭形平次』にも、同じような題材が描かれていたのを思い出した。「不典」とは、不作法のこと。 尾張藩主徳川宗春と八代将軍吉宗の対立を描く時代小説は多いが、このシリーズはどちらかが一方的に悪いという形になっていないので、気持ち読める。各話の最初にある、深井国さんの扉絵が素敵。 物語●「不典にて候」市ヶ谷の尾張藩江戸上屋敷に、一人の浪人が系図を持って仕官願ってやってきたが、追い返された末に、屋敷の近くで自害した…。「小便組の女」伝右衛門は、旗本高木左京亮の屋敷の賭場で、吾妻周南という風貌の怪しい医者と知り合いとなった…。「河獺」公用で一月ぶりに江戸に戻った伝右衛門は、旧知の山伏・仙覚院から、堀浚い、井戸掻いの者が化物を怖がっているという話を聞いた…。「はやり神始末」氷室御祝儀の日に当る六月一日、小日向加仁川田圃の小川で男が一人、溺れ死んでいるのが見つかった。調べていくと、川の上流と下流一町の間に細引きが一筋、水草の間に引かれていた…。「次郎太刀の行方」将軍吉宗は、姉川の合戦の軍談を聞き、朝倉家の勇士・真柄十郎左衛門の息子十郎三郎の太刀「次郎太刀」に強い関心を持った。そしてその太刀が尾張家に所蔵されているということを知り、尾張家に見せるように求めたが…。 目次■不典にて候/小便組の女/河獺/はやり神始末/次郎太刀の行方/解説 細谷正充
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城盗り藤吉郎 (しろとりとうきちろう)
岡田秀文
装幀:芹澤泰偉 |
♪『秀吉暗殺』など、戦国時代を題材にした時代小説で快作を飛ばす、岡田さんの最新文庫。晩年の醜悪さが苦手なせいか、秀吉を主人公とした作品を今まで敬遠してきた。今回は、秀吉の青春時代を描いた作品ということで、新出のエピソードも多くて、興味深く読めた。秀吉の持つ強運さ、明朗さ、粗雑感が巧みに描かれていて、竹中直人さんが秀吉を演じた大河ドラマを思い出した。 佐々内蔵介成政や竹中半兵衛の描かれ方が、今までのステレオタイプのものと少し違っていて新鮮。登場人物で一番印象に残ったのは、秀吉を付け狙う、斎藤龍興の馬廻衆、長井忠左衛門の存在だ。 物語●永禄六年夏、美濃攻略に向けて、織田信長は居城を清洲から小牧へ移した。足軽組頭へ出世したばかりの木下藤吉郎(秀吉)と若妻ねねも小牧城下に引越した。藤吉郎は美濃征伐の一番手柄を上げるべく、土砂降りの雨の中、木曾川に舟を出して、木曾川流域に盤踞する川並衆の有力者である坪内氏を織田方につけるための調略に向った…。 目次■第一章/第二章/第三章/第四章/第五章/第六章/第七章/第八章/第九章/第十章 ここから始まる本のリンク▼『秀吉暗殺』(岡田秀文著・光文社文庫) |
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銀のなえし 鎌倉河岸捕物控 (ぎんのなえし・かまくらがしとりものひかえ)
佐伯泰英
装画:浅野隆広 |
♪しほが働く鎌倉河岸の名代の酒問屋豊島屋は現存し、豊島屋本店として、現在も名物の白酒をはじめ、酒造業を営まれている。専務の吉村さんは、この作品を通じて、佐伯さんとも親しく交流されるようになったそうだ。この本が刊行されることは吉村さんから教えていただき、楽しみにしていた。金座裏の宗五郎とおみつの養子となり、若親分として新たなスタートを切った政次。「鎌倉河岸捕物控」も大きな転換期を迎えた。 今回は、まさに政次の颯爽とした活躍振りがまぶしい一作。序章で道場破りを退け、第一話で手柄を立てて、その御礼でトレードマークとなる、「銀のなえし」を手に入れることに。「なえし」は、「なやし」とか「萎し」とも呼ばれたり書かれたりする打物隠しの武器で、敵の手なり腕なりを打って萎えさせるところから、その名は由来した。政次に新しく贈られたなえしは、一尺七寸余の鈎のない八角の十手のようなもので、銀製の柄は鹿のなめし革で包まれ、柄頭には銀環がついていた。柄と本体には鈎も鍔もなかったが、八角の輪が二つを隔てるように嵌められていた。凝った造りで、宗五郎の金流しの十手と遂になる金座裏の新名物。 銀のなえしを武器に大活躍の政次だが、捕物ばかりか、剣の方でも目覚しい腕の冴えを見せ、ファンにはたまらないところ。そういえば、佐伯作品のヒーローたちは、言い意味で読者の予想を裏切るスーパーぶりを見せてくれて、読んでいて何とも気持ちがいい。 物語●政次が朝稽古に通う赤坂田町の神谷道場に、道場破りが現れた。かつて鳥取新田藩に仕えていた武術家渡辺堅三郎と名乗る浪人だった。政次が相手になり、袋竹刀で一本勝負の末に、渡辺は勝負に敗れた。渡辺はこの数日満足な食事をとらずに、腹に力が入らぬ状態での道場破りということを知り、道場主の神谷丈右衛門は道場に滞在するように申し出た…。 目次■第一話 荷足のすり替え/第二話 銀のなえし/第三話 唐獅子の鏡次/第四話 巾着切り/第五話 八つ山勝負 |