新・極楽の読書録
2002年2月・如月の巻

沖田総司・獣王剣 by 加野厚志
幕末剣客伝 by 津本陽



幕末剣客伝
(ばくまつけんかくでん)

津本陽
(つもとよう)
[剣豪]
★★★★☆

カバーイラストレーション:村上豊
カバーデザイン:岸顯樹郎
解説:清原康正
時代:明治五年(1872)旧暦三月
場所:浜松、京、板橋宿、箱館、下谷車坂、横浜ほか
(講談社文庫・563円・94/09/15第1刷・96/08/28第3刷・357P)
購入日:98/10/18
読破日:02/02/13

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幕末剣客伝 『千葉周作』(角川文庫)が面白かったので、Get!
新選組隊士で、明治以後も生きた隊士というと、斎藤一や永倉新八の名をよく聞くが、中島登の名はあまり聞かなかっただけに、興味深く読めた。
本書によると、中島登が新選組に参加したのは元治元年正月であったが、隠密探索に従事し、密偵役をつとめていたために、隊士職制に名を連ねたのは、三年後の戊辰戦争直前の慶応三年秋だった。江戸を脱走し、箱館で降伏し、明治五年にいたるまで、新選組での過去を隠しつづけていた。八王子の出身で、天然理心流と北辰一刀流の遣い手でもある。剣での立ち会いシーンが随所に描かれていて迫力満点である。
その中島の幕末維新の回想と明治の新時代での生き様がバランスよく描かれて面白かった。

物語●明治五年、東海道浜松宿の貸座敷で、白須賀一家のごろつきたちが暴れていた。灯油がはいったブリキ缶を持ってきて火をつけると脅していた。集まってきた野次馬の中から背の高い士族が歩み出て、ごろつきたちを懲らしめた。その士族は元新選組の中島登だった。その騒ぎで、中島は元彰義隊士で、会津地蔵堂の戦で命を救った大島清慎と再会した。浜松で代書屋をしている大島のすすめで、中島は浜松宿に腰を落ち着けることになった…。

目次■勇士のめぐりあい/武士の商法/ちぎれ雲/解説 清原康正/年譜 磯貝勝太郎

ここから始まる本のリンク▼『空っ風』(諸田玲子著・講談社文庫)

沖田総司・獣王剣
(おきたそうじ・じゅうおうけん)

加野厚志
(かのあつし)
[新選組]
★★★☆☆☆

カバーイラストレーション:毛利彰
カバーデザイン:長谷川正治
解説:武田秀雄
編集協力:万有社
時代:元治元年(1864)五月
場所:鳥辺野、清水寺、下河原門跡、壬生郷、四条上ル新町、山科、出町柳ほか
(廣済堂文庫・571円・01/12/30第1刷・328P)
購入日:02/01/08
読破日:02/02/01

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沖田総司・獣王剣 前作『沖田総司・魔道剣』で解説をさせていただいた、加野厚志さんの最新作。シリーズ4作目。
ますます好調の総司と龍子のコンビ。東男に京女、典型的なこの二人の掛合いが楽しい。常々、京という都における新選組の異質感が気になっていたが、こてこての京女を登場させることで、東男ぶりが鮮やかに描かれている。
今回の舞台設定は、池田屋騒動。加野さん流の一味違う、描き方に注目したい。

物語●清水寺で若い娘が、「ダイショウグン!」と呪文めいた烈声を放って大舞台から跳躍した。沖田総司と烏丸神社の女主・龍子は、木の枝で落下の衝撃をやわらげ、一命をとりとめた娘・お千代を助けた。お千代は大恩ある主人、大楽検校の長命を祈って立願のための行為だったのだ…。
おりしも、京の町には、昨年八月の政変で禁裏守護の職を解かれた長州系の尊攘過激派が続々と潜入していた…。

目次■亡骸は鳥辺山の空に舞う/暗夜行路に鵺が啼く/修羅の風が頬を打つ/烈士は夜の河を渡る/四条河原に紅花が散る/奈落で祇園囃子を聞け/三条小橋に血飛沫が舞う/阿片窟に泰山木の花を見た/大将軍の影を踏む/解説 武田秀雄