新・極楽の読書録
2001年12月・師走の巻

刺客、江戸城に消ゆ by 風野真知雄
覇王の海 海将九鬼嘉隆 by 二宮隆雄
幕末浪漫剣 by 鳥羽亮



幕末浪漫剣
(ばくまつろうまんけん)

鳥羽亮
(とばりょう)
[剣豪]
★★★☆☆

カバー装画:西のぼる
解説:井家上隆幸
時代:文政十年
場所:柳原通り、神田お玉ヶ池、両国、本所、浅草鳥越、黒船町、柳橋ほか
(講談社文庫・629円・01/09/15第1刷・368P)
購入日:01/09/26
読破日:01/12/18

Amazon.co.jpで購入

幕末浪漫剣 勝海舟の父・勝小吉らと道場破りを繰り返す千葉周作門下の剣の遣い手・柘植恭之助が活躍する、幕末を舞台にした剣豪小説。明朗で爽快感がある作品。
神道無念流撃剣館で当代随一の腕と恐れられる秋山要助が、柘植恭之助のライバルとして登場しているのが興味深い。二人の剣の立ち会いが凄い。
柘植恭之介と勝小吉が介入する、伊勢の小藩・尾島藩のお家騒動をめぐる闘いが読みどころ。傀儡組などの異能の集団も登場し、伝奇ファンにも楽しめる。

物語●柘植恭之介は、柳原通りで、五人の若侍と喧嘩する勝小吉を見かけ、助太刀することになり、親交を結ぶことになった。柘植恭之介は、「お玉ヶ池の鬼柘植」と呼ばれる千葉周作門下の剣の逸材。一方、勝小吉は勝海舟の父で、直心影流の団野真帆斎の門に入り、十八歳で免許を取っている。腕も確かだったが、遊蕩無頼な男で道場破りや喧嘩三昧に明け暮れ、凄味のある剣技を身につけていた。この二人が組んで、道場を開くことを夢見た…。

目次■第一章 出会い/第二章 道場破り/第三章 大道芸人の群れ/第四章 剣鬼啾々/第五章 二人の女/第六章 決戦/第七章 余燼/解説 井家上隆幸

ここから始まる本のリンク▼ 『天保剣鬼伝 首売り』(鳥羽亮著・幻冬舎文庫)

覇王の海  海将九鬼嘉隆
(はおうのうみ・かいしょうくきよしたか)

二宮隆雄
(にのみやたかお)
[海洋]
★★★★☆

絵:九鬼公釜山海船柵之図
カバー:菊地信義
時代:永禄八年(1565)七月一四日
場所:鳥羽、熱田湊、小牧山城、国友村、大湊、二見ヶ浦、伊勢倉田山ほか
(角川文庫・667円・01/11/25第1刷・431P)
購入日:01/11/23
読破日:01/12/14

Amazon.co.jpで購入

覇王の海  海将九鬼嘉隆 伊勢・志摩地方に旅行することになり、この本が読みたくなった。九鬼嘉隆というと、白石一郎さんの『戦鬼たちの海』も思い出される。
織田信長のもとで、水軍の将として活躍する九鬼嘉隆、その半生を海洋時代小説の名手がダイナミックに描いている。
近江国国友村の鉄砲鍛冶に長鉄砲を戦船に搭載したり、巨大鉄張り軍船で、三万五千石の大名にのしあがる信長時代の嘉隆。朝鮮出兵の蹉跌を経験する秀吉時代の嘉隆。関ヶ原の合戦に最後の勝負にでる家康時代の嘉隆。嘉隆を通して、戦国という時代が鮮やかに切り取られた快作。

物語●伊勢海を、九鬼水軍の戦船「竜神丸」が長い櫓先をうねりにたわませ、力強く波を切っていく。戦船の舳先には、海賊用の煉革胴具足を身につけた若者・九鬼嘉隆が仁王立ちしていた。波切大王の海城を志摩地頭軍に追われての敗走である。生まれ故郷の志摩国を逃げ捨てた嘉隆は、伊勢海をへだてた尾張国の当主―三十一歳の織田信長のもとに走るのだった…。

目次■第一章 志摩海賊衆/第二章 熱田の杜/第三章 小牧山城/第四章 長鉄砲/第五章 織田水軍/第六章 女長者/第七章 志摩平定/第八章 鉄張り軍船/第九章 海王丸/第十章 日本丸/第十一章 船出/解説 井家上隆幸

ここから始まる本のリンク▼『戦鬼たちの海 織田水軍の将・九鬼嘉隆』(白石一郎著・文春文庫)

刺客、江戸城に消ゆ
(しかく、えどじょうにきえゆ)

風野真知雄
(かぜのまちお)
[忍者]
★★★★

カバーイラスト:毛利彰
カバーデザイン:桜井勝志
時代:寛延三年(1750)春
場所:半蔵門外麹町、伊賀・赤目、亀山、品川、江戸城ほか
(廣済堂文庫・552円・01/10/01第1刷・273P)
購入日:01/11/03
読破日:01/12/10

Amazon.co.jpで購入

刺客、江戸城に消ゆ 八代将軍吉宗時代を舞台に、お庭番と同心伊賀衆の抗争を描く、伝奇小説。
伊賀・赤目出身の若者・コノハズクの魅力が圧倒的。伊賀の四天王との対決や、江戸城内でのサバイバル術など興味深い。

物語●大事な任務はお庭番に奪われ、大奥の警備をする伊賀同心たちは、無用の物として女たちにも馬鹿にされていた。このていたらくぶりを憤り、四人の伊賀者(水の伊平、屋根の余四郎、手裏剣儀助、走りの喜三太)は、伊賀者の価値を知らしめる秘策を練り上げた。
走りの喜三太は、伊賀・赤目の里に、作戦の鍵を握る若い男を探しに来た。この里でいちばんに有力な忍び・門林甚佐は、猟をして生計をたてているコノハズクという若者を薦めた…。

目次■なし