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2001年10月・神無月の巻 |
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空っ風 (からっかぜ)
諸田玲子
カバー装画:西口司郎 |
♪宇江佐真理さんと並んで、時代小説の分野でその活躍ぶりが顕著な諸田さんの2冊目の文庫。清水次郎長一家のバイプレーヤー・小政の渡世人人生を描いた、股旅物。TVや映画の影響からか、小政については、大政と並んで、片腕的な存在だと思っていたが、年勘定やその位置付けがずいぶん違って描かれていて面白かった。次郎長中心の物語に少し胡散臭さを感じていただけに新鮮だった。物語●浜松宿新町で魚行商人の子として育った冬吉(後の小政)は、病いがちな娘てると仲良くなった。ある日、清水の次郎長の子分、石松は酔っ払って薄汚れた老犬の腹を蹴り上げた。その時、石松に立ち向かっていたのは、冬吉だった。酩酊した石松を倒した冬吉は、次郎長の関心を引き、引き取られることになった…。 目次■空っ風/解説 縄田一男 ここから始まる本のリンク▼『からくり乱れ蝶』(諸田玲子著・徳間書店) |
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四ツ目屋闇草紙 (よつめややみぞうし)
磐紀一郎
カバーイラスト:安里英晴 |
♪歴史シミュレーションもので特異な位置にある学研M文庫で、時代小説シリーズが創刊された。その第1弾のラインナップの中で、もっとも気になるには、『吉宗影御用』などで知られる磐さんの久々の作品。プロフィールによると、作者は1938年、福島県いわき市生まれで、「虫プロダクション」文芸部を経て、作家生活に入り、『吉宗影御用』『江戸城大変』『老虎大難』のシリーズ三部作や『元禄豺狼伝おぼろ』などで活躍されている時代小説作家。 物語は、長崎留学帰りの貴種の息子が、四ツ目屋(大人のおもちゃ店)の紙屋えろす堂を開くところが意外性がある。今回はお披露目といったところか。 真田幸貫(さなだゆきつら)や佐久間象山、林肥後守忠英、鳥居耀蔵ら有名人が登場するので今後の展開が楽しみだ。 物語●長旅帰りの両国屋薬研堀の薬種商、紙屋小三郎は、高輪大木戸で、芝浦の五蔵に御用の人改めを受け、難渋しているところを若侍水野藤四郎に助けられた。小三郎は、二年前まで長崎の「鳴滝塾」でシーボルトに学んでいた。小三郎は、紙屋の当主の孫というのは、世を忍ぶ仮の姿で、実は奥州・白河藩主・松平定信の血縁のものであった…。 目次■高輪大木戸/信濃の伏龍/追跡者/新装紙十/燿蔵惷動/珍客到来/四ツ目屋作法/再会/血脈の翳/万の男/手掛かり/緒戦/目付の思惑/銀次不覚/ねずみの災難/対峙/決断/衝撃の夜/逃避行/落合村/真田の宴/天下の逸材/余談 ここから始まる本のリンク▼『眼鏡屋直次郎』(ねじめ正一著・集英社) |
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忠直卿御座船 (ただなおきょうござぶね)
安部龍太郎
カバーデザイン:鈴木一誌 |
♪ようやく新居への引越しが完了し、本が購入できるようになった。『難風』というタイトルで、1998年に講談社から刊行された歴史小説集。「佐和山炎上」に描かれている八十島庄次郎の父が、関ヶ原の戦いで、三成の使い番として島津義弘の陣所におもむき、兵を動かすように要請したが、下馬の礼を取らなかったために島津の将士の怒りを買った、八十島助左衛門という登場人物設定が興味深かった。 岡田以蔵を描いた「斬奸刀」は、安部さんの幕末観がうかがえて面白い。ぜひ、同じテーマで長篇を書いてほしい。 「玉かんざし」の伝奇的な魅力。「難風」とは、英語でワイルド・ウインドで、船を危うくする嵐のことで水夫の言葉。 物語●「峻烈」姉川の戦いで浅井、朝倉の連合軍を破った織田信長は、二条城で将軍義昭と対面した…。「玉のかんざし」伊奈正吉は釜山の倭館に妻子を残して、名護屋城の普請場で、石工として、働いていた…。「伏見城恋歌」石田三成が挙兵したという噂が日増しに強くなる中、伏見城を守る木下勝俊は、松の丸(豊臣秀吉の側室・京極竜子)の訪問を受けた…。「佐和山炎上」東西の激突を目前に控えたとき、石田三成に仕える八十島庄次郎は、三成の三男八郎の教育係を務めていた…。「忠直卿御座船」松平忠直の守役・清水丹波守秀綱は、二ヵ月かけて薄氷を踏む思いで、天龍丸に乗せて、忠直を大坂まで連れてきた…。「魅入られた男」越前から出てきたばかりで餓えに苦しむ出家僧が、〈武芸の心得がある平家物語に堪能な出家僧を求める。謝礼は乞うに任す〉の張り紙をした問丸を訪ねた…。「雷電曼陀羅」春場所の三日目、雷電は友千鳥と対戦した…。「斬奸刀」土佐の岡田以蔵は、手足に手甲脚絆を巻き、六尺ふんどしひとつで夜な夜な糺河原で、手当たり次第に犬を斬った…。「難風」駐日イギリス公使ラザフォード・オールコックの通訳を務める丸一伝吉が大型蒸気船サンプソン号で江戸湾へやってきた…。 目次■峻烈|玉のかんざし|伏見城恋歌|佐和山炎上|忠直卿御座船|魅入られた男|雷電曼陀羅|斬奸刀|難風|解説 島内景二 |