新・極楽の読書録
2001年2月・如月の巻

刺客 密命・残月剣 by 佐伯泰英
沖田総司・非情剣 by 加野厚志
「半七捕物帳」大江戸歳事記 by 今井金吾
長人鬼 by 高橋克彦
密約 物書同心居眠り紋蔵 by 佐藤雅美
邪恋寺 非道人別帳 [三] by 森村誠一
ゲルマン紙幣一億円 by 渡辺房男
必殺剣「二胴」 by 鳥羽亮
御隠居忍法 by 高橋義夫



御隠居忍法
(ごいんきょにんぽう)

高橋義夫
(たかはしよしお)
[伝奇]
★★★★☆

カバー画:西のぼる
解説:大野由美子
時代:明記せず(天明以降)
場所:奥州笹野藩、五合桝村、天狗角力山、大黒湊、桑折宿ほか
(中公文庫・686円・01/02/25第1刷・294P)
購入日:01/02/23
読破日:01/02/26

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御隠居忍法 伊賀者の子孫で家督を子に譲り、草深い奥州に住みつく御隠居・鹿間狸斎(しかまりさい)が奇怪な事件を次々解決する連作小説。前から読みたかった作品が遂に文庫になった。
主人公の御隠居・鹿間狸斎の、『剣客商売』の秋山小兵衛を思わせる、飄逸で世慣れた、武芸の達人ぶりが楽しい。若い飯炊きの下女に手をつけてしまい弱みを持っているところまで似ている。
この御隠居が、奇怪な事件を次々に解決していくうちに、笹野藩の御家騒動に巻き込まれながら、よそ者(江戸者)から地元に融けこんでいく、ストーリー展開が見事。この後、『続・御隠居忍法 黄金谷秘録』、『御隠居忍法 鬼切丸』と続く、御隠居の活躍ぶりが楽しみ。

物語●元御広敷伊賀者、御庭番・鹿間狸斎(しかまりさい)は、御隠居とはいえ、まだ四十六で、武芸百般に通じた達人。娘の奈々江が奥州笹野藩の馬廻役の家に嫁ぐのに便乗して、笹野藩の領内に住みついていた。その狸斎のもとに、笹野藩の目明し、五合桝の文次が江戸を荒らし回った火付強盗が領内に逃げ込んできたと伝えた…。

目次■御庭番・鹿間狸斎|見世物小屋の剣客|霊薬妓王光の玉|謙信の首|不死身の男|黒手組|冬人夏草|解説 大野由美子

ここから始まる本のリンク▼『剣客商売』(池波正太郎著・新潮文庫)

必殺剣「二胴」
(ひっさつけん・ふたつどう)

鳥羽亮
(とばりょう)
[剣豪]
★★★☆☆☆

カバー画:安岡旦
カバーデザイン:芹澤泰偉
解説:菊池仁
時代:享保十九年(1734)二月
場所:本所相生町、海辺大工町、黒江町、仙台堀、森下町、北本所番場町ほか
(祥伝社文庫・562円・01/02/20第1刷・326P)
購入日:01/02/11
読破日:01/02/22

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必殺剣「二胴」 主人公の小野寺佐内の剣客ぶりが一皮剥けた感じ。作者の創り出した今までのヒーローたちより凄味を感じる。富田流居合術の小さな道場を維持するために、何のためらいも持たずに人斬りをするドライさ、腹部を両断する必殺剣「二胴」を打ち破るために、女を斬ることも厭わない鬼気迫る剣豪ぶりに、新しさを感じた。
正体がわからない「二胴」の遣い手の謎や、蓑田藩の激烈な藩内抗争、そして物語にアクセントをつける二人の女性(満枝とおしま)など、最後まで一気に読ませるツボを抑えた時代活劇。

物語●富田流居合術の遣い手、小野寺佐内は、蓑田藩士・萩原左馬之輔を小名木川沿いの人目のない場所で、殺害した。口入れ屋をしている益子屋新蔵に、三月の期限で、左馬之輔の殺しの依頼を受けていたのだった。その数日後、左馬之輔殺しの依頼人で、蓑田藩江戸留守居役の用人が、一太刀で腹を両断されて死体で見つかった。
佐内の父もかつて、富田流居合術指南の道場を維持するために、刺客の仕事をしていた。そして五年前、蓑田藩のがらみの仕事中に、用人と同じように、一太刀で腹を斬られて殺されたのだった…。

目次■第一章 江戸の刺客/第二章 鬼気迫る/第三章 蔓と狗/第四章 鬼剣一拍子/第五章 狼走の太刀/第六章 霞返/解説 菊池仁

ここから始まる本のリンク▼『妖し陽炎の剣』(鳥羽亮著・祥伝社文庫)

ゲルマン紙幣一億円
(げるまんしへいいちおくえん)

渡辺房男
(わたなべふさお)
[明治]
★★★★☆☆

写真提供:日本銀行金融研究所紙幣博物館
装幀:川島進(スタジオ・ギブ)
時代:明治三年(1870)六月二日
場所:大蔵省、品川、外桜田、駿河町、木挽町、上州・安中、本両替町、皇城、大垣、八重洲河岸、岐阜・笠松、小伝馬町、本所ほか
(講談社・1,800円・00/10/20第1刷・331P)
購入日:00/12/16
読破日:01/02/18

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ゲルマン紙幣一億円 明治の初め、日本初の「円紙幣」をめぐる新感覚時代小説。作者は『桜田門外十万坪』(新人物往来社)で第23回歴史文学賞受賞。
明治初期の流通貨幣の混乱を背景に、お金に命を張った人々の物語。両から円への切り換えと廃藩置県がリンクしていたとは知らなかった。興味深い話がいっぱい詰まっていてハラハラドキドキする経済小説でもある。作者の着眼点のよさの勝利である。
主人公の小太郎と同様に、お金の換算が苦手で、読みながら苦労したが…。

物語●大蔵大輔(たいふ)、大隈重信は、新政府の発行する新しい紙幣「明治通宝」(俗称・ゲルマン紙幣)に思いをめぐらしていた。同じ頃、品川宿の旅籠、相模屋で、広島藩会計局少承事の野島小太郎は、勘定を払おうとして四枚の二分金を番頭に渡した。番頭の隣には、真剣な目付きで贋二分金が出まわっているために本物かどうかを調べる正体不明の男・吉兵衛がいた。これが、小太郎と元金座職人・吉兵衛の出会いであった…。

目次■序章/第一章 品川宿/第二章 外桜田/第三章 駿河町界隈/第四章 木挽町/第五章 上州・安中/第六章 本両替町/第七章 皇城/第八章 品川・相模屋/第九章 大垣/第十章 八重洲河岸/第十一章 岐阜・笠松/第十ニ章 小伝馬町/第十三章 本所/第十四章 高崎/終章

邪恋寺 非道人別帳 [三]
(じゃれんでら・ひどうにんべつちょう3)

森村誠一
(もりむらせいいち)
[捕物]
★★★☆☆☆

イラスト:鴇田幹
AD:石崎健太郎
時代:明記されず
場所:日本橋南詰、両国橋、湯島天神坂下、駒形の渡、四谷御門外西御箪笥町、本石町四丁目、猿楽町、小塚原、上野新黒門町ほか
(文春文庫・448円・01/02/10第1刷・280P)
購入日:01/02/11
読破日:01/02/15

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邪恋寺 非道人別帳 [三] はみだし同心・祖式弦一郎と、半兵衛、茂平次が、江戸の悪に立ち向かうシリーズ第3弾。社会派の森村さんらしい、切れ味の鋭さが鬱屈した気分を晴らしてくれる。
いじめや愛欲のもつれ、動物虐待、汚職など、事件の元凶が現代にも通じるところが、社会派推理小説家でもある、森村さんらしいところか。理詰めで、わかりやすい語り口で、陰惨な事件の割に読後がすっきりとする。
主人公の魅力もさることながら、脇役たちがキャラクターがはっきりしていて楽しめる。とくに火附盗賊改の胡麻所金十郎(凄い名前だ)やその配下の百足の長六、古参同心・古町権左衛門など、その役割を心得ていていい。

物語●「水の楯」無頼の者たちにからまれていた若い娘を助け、無頼漢を斬った若侍は、桐の間御番衆であったが、町のごろつきと喧嘩し数人を傷害したということで、不心得として御役御免になってしまった。それから三年後…。「猿刑」湯島天神の坂下で、足駄職人の美人女房が、首筋に半弓の矢を射られて殺された…。「邪恋寺」家具問屋の、常陸から出てきたばかりの丁稚が得意先へ使いに出たまま戻らない事件が起こった。五日後、その丁稚が日本橋南詰の高札場に晒されているところを発見された…。「臥煙忠臣蔵」お目付の屋敷で、屋敷の主が中間を無礼の廉で手討ちにした。それから十日後、中間の無頼の仲間が、目付の役宅に押し入って、主人ほか三名を殺傷する事件が起こった…。「魔矢」江戸の町に、路上の犬や猫に吹矢を射かける者が出没した…。「怨み染料」浅草大護院境内で相撲興行が行われたなかで、力士と町火消の喧嘩が起こった…。

目次■水の楯|猿刑|邪恋寺|臥煙忠臣蔵|魔矢|怨み染料

ここから始まる本のリンク▼『八丁堀同心 加田三七』(村上元三著・徳間文庫)

密約 物書同心居眠り紋蔵
(みつやく・ものかきどうしんいねむりもんぞう)

佐藤雅美
(さとうまさよし)
[捕物]
★★★★☆

カバー装画:村上豊
カバーデザイン:柳川昭治
解説:長谷部史親
時代:文政九年(1826)頃か
場所:南町奉行所、向土橋、南新堀二丁目、飯田町、坂本町、瀬戸物町、永代橋橋詰、大川端町、百本杭、浅草福井町ほか
(講談社文庫・629円・01/01/15第1刷・381P)
購入日:01/01/20
読破日:01/02/13

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密約 物書同心居眠り紋蔵 窓際同心で、時と場所を選ばず不意に眠り込んでしまう奇病をもつ、藤木紋蔵が活躍する連作捕物シリーズ第3弾。
過去2作と同様に連作形式で毎回、紋蔵が事件を解決する形式をとりながらも、作品全体を通じて、紋蔵の父の死の謎に迫るという趣向で、歳後まで一気に読ませる痛快作。
嫁に行った長女稲や養子に出た長男・紋太郎の代わりに、紋蔵ファミリーに新しく、いたずら坊主文吉が加わる。また、紋蔵に思いを寄せる女性が登場したり、幕府の要人が現れたりと、サービス満点の作品。

物語●紋蔵は、上司から無礼討ちに関する先例を調べるように命じられた。貧乏旗本の用人・遠藤庄助が女郎屋の親父を無礼討ちにするという事件が起こった。しかし、無条件に無礼討ちが見とめられるわけではなく、無礼討ちの目撃者がいない場合、遠島になるという。この事件を通じて、紋蔵は、庄助の息子でいたずらっ子の文吉を引きとって育てることになる…。

目次■貰いっ子/へのへのもへじ/女軍師/盗っ人宿の置き手紙/お民の復讐/夜鷹の自訴/漆黒の闇/黒幕の黒幕/解説 長谷部史親

ここから始まる本のリンク▼『損料屋喜八郎始末控え』(山本一力著・文藝春秋)

長人鬼
(ちょうじんき)

高橋克彦
(たかはしかつひこ)
[平安]
★★★☆☆

装画:建石修志
装幀:芦澤泰偉
時代:仁和三年(887)
場所:京、淡路、化野、明石ほか
(ハルキ・ホラー文庫・419円・00/08/28第1刷・214P)
購入日:00/11/02
読破日:01/02/10

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長人鬼 2000年11月1日、アマゾン・ドットコムの日本での営業がスタートしたので、試しに注文した。20時間弱で届けられた。
陰陽寮の頭、弓削是雄が活躍する、“鬼”シリーズの一つ。 『白妖鬼』に続く、陰陽師、弓削是雄が活躍する長篇(短篇集には『鬼』がある。)。彼を助ける個性的な脇役たちが魅力だ。
ただ、作者があちこち(出版社)に《鬼=弓削是雄もの》を書いているせいか、どういう順に読んだらいいのかちょっと困ってしまう。
ちなみに作品の舞台は光孝帝の頃で、関白太政大臣を藤原基経が、菅原道真が讃岐守を務めている。

物語●陰陽寮の頭、弓削是雄は当代一の術士。彼の下には陰陽師の紀温史、蝦夷の淡麻呂、陸奥の山賊の女頭目・芙蓉など、多士済々のものたちを配下に従え、多忙な日々を送っていた。そんな折、羅城門に人の倍以上も背丈のある鬼“長人鬼”が現れた。一方で、是雄は関白から、凶事が増えている中で、「淡路」行きを命じられる…。

目次■目次なし

ここから始まる本のリンク▼『鬼』(高橋克彦著・ハルキ文庫)

「半七捕物帳」大江戸歳事記
(はんしちとりものちょう・おおえどさいじき)

今井金吾
(いまいきんご)
[江戸学]

カバー写真:林明彦
カバーデザイン:間村俊一
解説:縄田一男
(ちくま文庫・760円・01/01/10第1刷・310P)
購入日:01/01/14
読破日:01/02/05

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「半七捕物帳」大江戸歳事記 『江戸っ子の春夏秋冬』(1991年、河出書房新社)を改題したもの。著者は『半七は実在した』で第4回大衆文学研究賞を受賞。江戸の入門書として役に立ちそう。
随所に、『半七捕物帳』からの引用があり、作品に親近感が持てるとともに、いかに物語の中に巧みに江戸の風物を織り込んでいるかがわかる楽しい一冊。時代小説(とくに捕物帳)の魅力の一つは、いかに江戸情緒を感じさせてくれるかであることがよくわかる。
『半七捕物帳』を最初から読んでみたくなった。

読みどころ●岡本綺堂の『半七捕物帳』をテキストに、春(正月・二月・三月)、夏(四月、五月、六月)、秋(七月、八月、九月)、冬(十月、十一月、十二月)の行事や風習を暦順に紹介する江戸ガイドブック。

目次■はじめに 一 江戸の暦/ニ 季節を知らせる二十四節季/三 江戸の時刻|春 正月(初日の出、初詣で 諸大名の御礼登城(年賀) 凧揚げ 年始廻りや門松・屠蘇 万歳や獅子舞い 書初め 歌留多会 六日年越し 七草(七日正月) 蔵開き 十四日年越しと小正月 薮入り 二十日正月と恵比寿講 初大師 鷽替え 春の雪・霰蕎麦・葱鮪 梅見)/二月(初午 お事納めと針供養 春の彼岸 雛市 オランダ使節の江戸入府 彼岸桜や椿)/三月 花見 静かだった上野の花見 芸人の多かった飛鳥山 味も楽しめた向島 いまは失われた御殿山 遠出は小金井の桜 明治の花の名所 桜湯 烏凧 雛祭りと桃の湯 潮干狩 奉公人の出替わり日 三社祭 相撲の春場所 開帳 葉桜の頃)|夏 四月(初鰹 衣更え 雷・雷除け・夕立 蚊帳 藤の花 五月人形の売出し 苗屋や金魚売り)/五月(梅雨と五月晴れ 端午の節句 菖蒲酒や菖蒲湯・菖蒲打ち 府中の闇祭り 単衣 夕涼み 両国の川開き 富士講 稗蒔売り 水出し)/六月(小富士巡り 手習い師匠への入門日 河童天王の祭り 山王祭 氷川神社の祭礼 土用と半七大好物の“鰻” 大山参り 朝顔 甘酒や定斎屋・燈籠売り 半七好みの“きりぎりす”)|秋 七月(虫干し 七夕前夜 七夕の大清書 井戸浚い 銀座の地獄の縁日 四万六千日 草市 お盆 お中元 後の薮入り 二十六夜待ち 虫聞きなど)/八月(八朔 十五夜 深川八幡の祭り 松茸献上 秋の彼岸 深まる秋)/九月(忙しい衣更え 菊人形 十三夜(後の月見) 神田明神の祭礼 芝神明のだらだら祭り 大宮八幡宮の正雪の絵馬 もう眼の前は冬)|冬 十月(炉びらき お十夜 お会式 会式桜 大相撲の冬場所 寒さも厳しい十月末)/十一月(猿若三座の顔見世狂言 酉の市 鞴祭り 素読吟味 七五三 亀戸天神のお火焚き 寒詣り 枯野見や雪見 秩父颪も厳しい十一月末)/十二月(煤掃き 歳の市 節季師走 歳暮 節分 年忘れの催し 御用仕舞い 餅搗き 門松の飾りつけ 才蔵市 師走の江戸の町々 火伏せの橙 大晦日と年越し蕎麦 大晦日の江戸の町)|あとがき――付・江戸の夜――真に暗闇だった江戸の夜/苦労した暗闇のなかの捕物/必需品だった提灯/江戸とあまり変わらぬ明治の夜/終わりに|解説 縄田一男

ここから始まる本のリンク▼『雑学「大江戸庶民事情」』(石川英輔著・講談社文庫)

沖田総司・非情剣
(おきたそうじ・ひじょうけん)

加野厚志
(かのあつし)
[新選組]
★★★☆☆☆

カバーイラスト:毛利彰
カバーデザイン:長谷川正治
解説:伊賀洋昭
企画・編集協力:万有社
時代:文久三年夏、祇園祭の頃
場所:烏丸神社、壬生、中立売御門、高山寺、島原、下京・七条新地、鞍馬山ほか
(廣済堂文庫・552円・01/02/01第1刷・282P)
購入日:01/01/20
読破日:01/02/04

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沖田総司・非情剣 沖田総司と烏丸神社の謎の姫巫女・龍子が活躍する異色の新選組もの第2弾。
東男と京女の対比が面白い好評シリーズ、今回は、芹沢鴨の暗殺事件に焦点が当てられている。そして、沖田総司の弟分で烏丸神社に預けられている孤児のサブの父親探しが物語に織り込まれていて、作品全体にミステリー色を与えている。
解説を担当されている伊賀さんは、臨済宗のお寺の住職さんで、加野さんの高校時代の恩師(当時は国語教師)ということで、学生時代の加野さんが紹介されていて、ファンにはうれしいところ。

物語●新選組筆頭局長芹沢鴨の大砲発射事件が京の都人を震撼させ、新選組は蛇蝎の如く嫌われていた。烏丸神社の女主・烏丸龍子は、氏子の一人沖田総司に託宣を残した。「……見えます。秋雨の夜に、草深い壬生郷において、赤ら顔の壮漢が血にそまって倒れるさまが。そばには梅の小枝が折られて」…。

目次■朱雀大路の邪鬼/山水蒙からの脱出/壬生郷に鴨が啼く/奈落に蠢く悪鬼/地獄の子守歌/狂女が吠える鞍馬山/六波羅密寺の凶方位/解説 伊賀洋昭(臨済宗瑞陽禅寺住職)

ここから始まる本のリンク▼『降りしきる』(北原亞以子著・講談社文庫)

刺客 密命・斬月剣
(しかく・みつめい・ざんげつけん)

佐伯泰英
(さえきやすひで)
[剣豪]
★★★☆☆☆

カバーデザイン:中原達治
時代:享保三年(1718)五月
場所:京・上賀茂神社、二条通り、四条河原町、蝉丸神社、大川端稲荷河岸、南八丁堀、滝野川村、芝七軒町、鈴鹿峠田村神社、亀山宿ほか
(祥伝社文庫・590円・01/01/20第1刷・338P)
購入日:01/01/14
読破日:01/02/02

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刺客 密命・斬月剣 直心影流の遣い手で寒月霞斬りの金杉惣三郎が活躍する『密命』シリーズ第4弾。今度は東海道で異能の七剣士と対決するらしい。 佐伯さんの時代小説を読むたびに、翻訳ものの冒険小説を思い出す。そのスピード感、スケール感、ヒーロー像などからだろうか。この「密命」シリーズのヒーロー金杉惣三郎を見ていると、ハリソン・フォードの顔が頭に浮かんでくる。彼の演じるFBI捜査官から大統領になったジャック・ライアンみたいだ。
荒唐無稽といってしまうと身も蓋もないが、その超人的な事件処理能力は呼んでいてカタルシスを覚える。
今回は、東海道を下りながら、将軍吉宗を狙う七人の剣士たち(日置流弓と陰流の剣の橘重籐、無住心剣流の西三条実里、薩摩示現流の堀内権太左衛門、宝蔵院流槍術の孤月斎牛房、富田流の鐘巻治左衛門、棒術の古蜘蛛暗軒、尾張柳生の巨瀬大学頭守義)と対決するのだが、対決の連続で息をつかせない展開が見どころ。

物語●乗馬の名手で、京都所司代の与力が、葵祭りの競馬会(くらべうまえ)の神事中に射殺される事件が起きた。
しのと結婚し、豊後相良藩の禄を離れて幕府に出向し、南町奉行大岡越前守忠相の下で働くことになった金杉惣三郎は、清之助、みわ、結衣の三人の子どもたちの子育てで悩みを抱えていた…。
京で幕府方の役人が殺される事件が事件はその後も続いた。そして、惣三郎に密命が下った…。

目次■序章/第一章 王城暗雲/第二章 一息三射/第三章 風車変幻/第四章 血雨桑名/第五章 高遠悲恋/第六章 諏訪乱戦/終章

ここから始まる本のリンク▼『女陰陽師』(加野厚志著・祥伝社文庫)