新・極楽の読書録
2001年1月・睦月の巻

龍馬の恋人 維新の女密偵 by 信原潤一郎
夢狂いに候 by 羽山信樹
刺客 用心棒日月抄 by 藤沢周平
鬼 by 高橋克彦
百助嘘八百物語 by 佐藤雅美
奥羽の二人 by 松本清張
死神幻十郎 冥府の刺客 by 黒崎裕一郎
おぼろ隠密記 妖し小町 by 六道慧
自鳴琴からくり人形 江戸職人綺譚 by 佐江衆一



自鳴琴からくり人形 江戸職人綺譚
(じめいきんからくりにんぎょう・えどしょくにんきたん)

佐江衆一
(さえしゅういち)
[市井]
★★★★☆☆

装画・挿画:高橋勲
装幀:新潮社装幀室
時代:「江戸鍛冶注文帳」嘉永三年。「自鳴琴からくり人形」安政二年。「闇溜りの花」明治二年。「装腰綺譚」文政三年。
場所:「一椀の汁」柳橋、「江戸鍛冶注文帳」厩の渡し。「自鳴琴からくり人形」浅草西仲町。「風の匂い」高砂町、深川三間町。「急須の源七」道灌山。「闇溜りの花」両国橋。「亀に乗る」日本橋通り一丁目。
(新潮社・1,600円・00/12/20第1刷・293P)
購入日:00/12/28
読破日:01/01/31

Amazon.co.jpで購入 [文庫あり=『続・江戸職人綺譚』]

自鳴琴からくり人形 江戸職人綺譚 江戸の町を舞台に、技に生きる職人たちの世界を哀歓を込めて描いた名品「江戸職人綺譚」の第2弾。「装腰綺譚」は、『子づれ兵法者』(講談社文庫)に収録された作品で、江戸職人ものの記念すべき第一作。
今回も胸に染み入るような哀歓溢れる佳品ぞろいである。綿密な取材の元に描かれた職人の世界のディテールが興味深く、作品に深みを与えている。とくに『亀に乗る』は、鼈甲細工で張型(女性用の悦具)を作る職人の話であるが、キワモノになりそうな題材を扱いながら、淫らがましい感じを与えず、誠実で滑稽でどこか哀しい作品に仕上がっている。

物語●「一椀の汁」柳橋の料理茶屋・川長に奉公する梅吉は、1尾の値が二両一分という高価な初鰹を親方愛用の庖丁を使って、料理する機会を与えられた…。「江戸鍛冶注文帳」道具鍛冶の定吉は、芝神明の大工の棟梁・安五郎から大鉋の注文を受けた…。「自鳴琴からくり人形」鎰役同心の黒田三右衛門は、手鎖の鍵をふところに、からくり師庄助の長屋を訪ねた…。「風の匂い」団扇師の店に奉公して間もなく丸四年になる安吉は、今度の薮入りを心待ちにしていた…。「急須の源七」鍛金師として、急須をつくらせたら右に出る者はいないといわれ、“急須の源七”と呼ばれている還暦を迎える職人源七は、家を飛び出し行方知れずの長男のことを思っていた…。「闇溜りの花」川開きの花火の上がる中で、役人が心臓を一突きされて死んだ…。「亀に乗る」鼈甲職人の夫の細工台を片付けていた女房のおしずは、抽出の奥におさめられていた、紫縮緬の袱紗に包まれた、長さ六寸ほどのものを見つけた…。「装腰綺譚」深川の小料理屋の女中・お仙は、新大橋で六尺近い巨躯の侍が、雪の中で川に向けて剣術道具一式を放り投げることころ見かけた…。

目次■一椀の汁 庖丁人・梅吉|江戸鍛冶注文帳 道具鍛冶・定吉|自鳴琴からくり人形 からくり師・庄助|風の匂い 団扇師・安吉|急須の源七 銀師・源七|闇溜りの花 花火師・新吉|亀に乗る 鼈甲師・文次|装腰綺譚 根付師・月虫|あとがき

ここから始まる本のリンク▼『江戸職人綺譚』(佐江衆一著・新潮文庫)

おぼろ隠密記 妖し小町
(おぼろおんみつき・あやかしこまち)

六道慧
(りくどうけい)
[伝奇]
★★★☆

カバーイラスト:皇名月
時代:天明元年(1781)二月
場所:吉原、日本橋、尾張家上屋敷、小石川養生所、薬研堀ほか
(光文社文庫・552円・00/08/20第1刷・338P)
購入日:01/01/13
読破日:01/01/30

Amazon.co.jpで購入

おぼろ隠密記 妖し小町 和菓子屋の看板娘が隠密だったという設定で、田沼時代を描く新感覚時代小説。ストイックなかつての時代小説の主人公たちとはかなりかけ離れた主人公が登場する。コミックに近くなんでもあり、怖いものなしといった感じで、時代小説のまさにニューウェーブ。いい意味で裏切ってくれる。
主人公はうら若き女性三人組(和菓子屋の一人娘華月、宮本武蔵を信奉する男装の剣士・宮本暁良、平賀源内の姪でからくり師の平賀拓海)が、個性的でありながら、極めて現代風。そして、三人以上に異彩を放つのが、華月の母千万子である。超人気者狂で、流行物や旬のもの、人気作家や人気役者に目がないという設定で、物語を面白くしてくれる。

物語●吉原で花魁が殺された。十日前の事件と同様に血まみれのむごたらしい姿で発見されたという。日本橋和菓子屋「華月堂」の一人娘・華月は、事件を伝えるかわら版を求めた。実は華月は、幕府の隠密で、不思議な陰陽術の遣い手であった。そして、この猟奇的な事件の謎の究明に乗り出した…。

目次■序章/第一章 幻身/第二章 幸福の箱庭/第三章 陽の爻と陰の爻/第四章 朧花魁/第五章 雌蛇/第六章 夫婦八卦の呪/あとがき

ここから始まる本のリンク▼『京伝怪異帖』(高橋克彦著・中央公論新社)

死神幻十郎  冥府の刺客
(しにがみげんじゅうろう・めいふのしかく)

黒崎裕一郎
(くろさきゆういちろう)
[伝奇]
★★★★

カバーイラスト:柳澤達朗
カバーデザイン:秋山法子
解説:染宮進
時代:文政六年
場所:小伝馬町牢屋敷、八丁堀鍛冶町通り、築地・浴恩園、蠣殻町、浜町河岸、吉原、日本橋堀留町、薬研堀、深川門前仲町ほか
(徳間文庫・533円・01/01/15第1刷・325P)
購入日:01/01/14
読破日:01/01/20

Amazon.co.jpで購入

死神幻十郎 冥府の刺客 見覚えのあるタイトルと思っていたら、『冥府の刺客』と言う題で廣済堂文庫から出ていた。未読だから、まあいいか。
著者は、中村勝行名義で書いた、『蘭と狗』で時代小説大賞を受賞している 『蘭と狗』(講談社文庫)で時代小説大賞を受賞した、中村勝行さんの、別名義での作品。
主人公・死神幻十郎(元南町奉行所定町廻り同心・神山源十郎)の設定がユニークで巧い。また、狂言回しとして、楽翁(隠退した元老中・松平定信)という大物を配したのも見事。
江戸の風物や用語について、簡潔な説明がついていて読者に親切である。
作者は、「必殺仕掛人」や「太陽にほえろ!」、「木枯し紋次郎」のシナリオライターだったということもあり、物語の一場面一場面が映像的である。この作品を映画化すると、バイオレンス度が高く、ちょっとHなので、R指定が付いてしまうかも。

物語●南町奉行所同心・神山源十郎が、勤めから帰宅すると、妻の織絵が、同じ南町の隠密廻り同心・吉見伝四郎に凌辱されているのに遭遇し、吉見を斬り捨ててしまう。このとき、織絵は自害していた。この事件により、源十郎は、小伝馬町の牢屋敷の揚屋に収監され、異例の裁決で、斬罪に決まった…。

目次■第一章 刑場の露/第二章 黄昏の少将/第三章 羅生門河岸/第四章 四つ目屋鬼八/第五章 伏魔殿/第六章 暗闘/第七章 飢狼の牙/第八章 死に花/第九章 冥府の刺客/解説 染宮進

ここから始まる本のリンク▼『闇の傀儡師』上・下(藤沢周平著・文春文庫)

奥羽の二人
(おううのふたり)

松本清張
(まつもとせいちょう)
[短編]
★★★★

カバー装画:倉橋三郎
時代:「背伸び」元亀二年。「三位入道」元亀三年。「細川幽斎」天文十五年。「奥羽の二人」天正十八年。「群疑」天正十一年。「英雄愚心」文禄四年。「転変」慶長五年。「武将不信」天正十八年。「脱出」正保三年。「葛」宝永年間
(講談社文庫・495円・86/11/15第1刷・99/07/30第22刷・259P)
購入日:01/01/06
読破日:01/01/17

Amazon.co.jpで購入

奥羽の二人 通勤読書用に、薄めの短篇集が欲しくて、松本清張作品に目が留まる。松本清張さんというと、社会派推理小説のイメージが強く、なかなか作品を読む機会がなかった。本書の巻末の年譜をみると、初期の頃は、むしろ時代小説(歴史小説)を中心に書いていたのがわかった。
今まで描かれることが少なかった、日向の戦国大名・伊東義祐の話(「三位入道」)が新鮮。そのほかでは、秀吉の許に奔った家康の重臣・石川数正の話や最上義光を襲った悲劇など、興味深いエピソードが綴られている。殉死をテーマ(古田騒動)にした「脱出」、賄賂を扱った「葛」など、松本さんの史観が表出されている。
今後は積極的に松本さんの歴史ものを読んでいきたいと思う。

物語●安国寺恵瓊(「背伸び」)、伊東義祐(「三位入道」)、細川幽斎(「細川幽斎」)、伊達政宗と蒲生氏郷(「奥羽の二人」)、石川数正(「群疑」)、太閤秀吉(「英雄愚心」)、福島正則(「転変」)、最上義光(「武将不信」)らの戦国武将を描いた8篇の短編と江戸初期の大名家を舞台にした短編2篇を収録。

目次■背伸び|三位入道|細川幽斎|奥羽の二人|群疑|英雄愚心|転変|武将不信|脱出|葛|年譜

ここから始まる本のリンク▼『天保図録』上・中・下(松本清張著・朝日文庫)

百助嘘八百物語
(ひゃくすけうそはっぴゃくものがたり)

佐藤雅美
(さとうまさよし)
[ピカレスク]
★★★☆☆☆

装画:熊田正男
装幀:緒方修一
時代:明記されず
場所:深川入船町、花川戸、大川端、海賊橋、蔵前、番町、門前仲町ほか
(講談社・1,700円・00/12/06第1刷・299P)
購入日:00/12/09
読破日:01/01/11

Amazon.co.jpで購入

百助嘘八百物語 天才詐欺師・百助の痛快な活躍を描く、時代“コン・ゲーム”。経済+捕物時代小説でヒットを飛ばす佐藤さんらしい作品。百助の詐欺師ぶり、知恵者ぶりが面白い一編。
前半の重要な場面として描かれる取退き無尽(とりのきむじん)とは、当った者から順に抜ける無尽のことで、富のように射幸性が高いことから、お上から禁じられていた。頭取と宿(博打でいう筒元と場所を提供した人)は遠島。手を出した者は家財家蔵の取り上げ、家財のない者は3貫文から5貫文くらいの過料ということになっている。
この取退き無尽はじめ、いろいろな金儲けの方法が紹介されていく。その展開にハラハラドキドキする。

物語●真夏の普請場で、鳶の人足の辰次は、病に苦しむ上方訛りの爺さん・百助の面倒をみる。その百助から取退き無尽という一種のばくちに誘われた。鳶の頭・勘兵衛などを巻き込み、取退き無尽はまんまと成功する。やがて、辰次は百助と親分子分の間柄になり、うさん臭い世界に引きずりこまれていく…。

目次■第一章 いかさま師の正体/第二章 千軍万馬の闇将軍/第三章 御国替銀札一件/第四章 命なりけり/第五章 一白天狗の脅迫状/第六章 初めての恋/第七章 小六の心境/第八章 福の神


(おに)

高橋克彦
(たかはしかつひこ)
[平安]
★★★☆☆☆

装画:建石修志
装幀:芦澤泰偉
解説:縄田一男
(ハルキ文庫・476円・99/05/18第1刷・205P)
購入日:00/11/03
読破日:01/01/10

Amazon.co.jpで購入

鬼 高橋さんの作品には、『白妖鬼』など、鬼をテーマにしたものが多くみられる。超人的な存在を“鬼”になぞらえているケースもある。この作品集では、平安時代の鬼が登場する5つの短編を時代順に掲載している。陰陽師たちの系譜が分かって興味深い。
「髑髏鬼」は、時代を貞観八年(866)に置き、滋丘川人と弓削是雄が登場。「絞鬼」は、元慶六年(882)の弓削是雄を描く。「夜光鬼」では、延長八年(930)の賀茂忠行が主人公に。「魅鬼」は、天慶三年(940)の賀茂忠行と息子・賀茂保憲、弟子の安倍晴明の活躍を。「視鬼」では、永祚元年(989)の安倍晴明を描いている。
それぞれ印象的な話だが、やはり作者が目をかけている弓削是雄が活躍する「髑髏鬼」と「絞鬼」がいい。

物語●「髑髏鬼」弓削是雄は、陰陽寮の権助で伝説的な陰陽師・滋丘川人から深夜に呼び出された…。「絞鬼」陸奥の鎮守府将軍・小野春風は、都から派遣された陰陽師・弓削是雄を苦々しく思っていた…。「夜光鬼」都では菅原道真の操る鬼が群盗を率いているという噂で震撼させられていた…。「魅鬼」平将門が討ち取られてその首が京の東市で晒されていた。賀茂保憲は父親の忠行と見物にでかけ、そこで見たものは…。「視鬼」箒星が出現し、都では怪異が起こり、夜盗が徘徊し人々は不安にかられていた。安倍晴明は、都安堵の呪法を行うべく、華頂山の将軍塚の様子を確かめにいった…。

目次■髑髏鬼(どくろき)|絞鬼(こうき)|夜光鬼(やこうき)|魅鬼(もこ)|視鬼(しき)|単行本あとがき|解説 縄田一男

ここから始まる本のリンク▼『白妖鬼』(高橋克彦著・講談社文庫)

刺客 用心棒日月抄
(しかく・ようじんぼうじつげつしょう)

藤沢周平
(ふじさわしゅうへい)
[政争]
★★★★
[再読]

カバー:村上豊
解説:常盤新平
時代:宝永元年(1704)初秋
場所:橋本町、寿松院裏、若松町、六間堀、北本所、番場町、伊勢町、橘町ほか
(新潮文庫・514円・87/02/25第1刷・00/09/15第43刷・347P)
購入日:00/12/31
読破日:01/01/07

Amazon.co.jpで購入

刺客 用心棒日月抄 正月を実家で迎えるべく帰省した際に、入手した一冊。年末年始というと、なぜか藤沢さんの本が無性に読みたくなる。
シリーズ第3作目。今回は、とくに嗅足組の女頭領・佐知(さち)と又八郎の妻・由亀(ゆき)の対比が見事に描かれている。抑制が利いたなかで、又八郎とのきめこまかな情愛が、少しくたびれたサラリーマンには快い。ともに「幸」を連想させる名前になっているが、物語中で、それぞれの形で幸せを掴んでくれるのがうれしい。
常盤新平さんの解説で、チラッと触れているが、十年後に又八郎と佐知は再会することになる。その作品が完結作『凶刃』である。

物語●青江又八郎は、かつて執政を務めた元家老・谷口権七郎から相談を持ちかけられた。藩士の非違をさぐる陰の集団「嗅足組(かぎあしぐみ)」を抹殺するため、お家乗っ取りを狙う、藩主の伯父・寿庵保方(じゅあんやすかた)の策謀により、五人の刺客が江戸へ放たれたという。谷口は、又八郎に三度脱藩し、嗅足組の女頭領・佐知を助けるように命じる…。

目次■陰の頭領/再会/番場町別宅/襲撃/梅雨の音/隠れ蓑/薄暮の決闘/黒幕の死/解説 常盤新平

ここから始まる本のリンク▼『用心棒日月抄』、『孤剣 用心棒日月抄』(藤沢周平著・新潮文庫)

夢狂いに候
(ゆめぐるいにそうろう)

羽山信樹
(はやまのぶき)
[伝奇]
★★★★

カバーデザイン:横山明
カバーイラスト:門田博
解説:細谷正充
時代:元和五年(1619)、天正九年(1581)
場所:マカオ、鴨川河原、洛東・吉田神社、安土、長浜、敦賀ほか
(小学館文庫・657円・00/10/01第1刷・326P)
購入日:00/09/09
読破日:01/01/02

Amazon.co.jpで購入

夢狂いに候 明智光秀がなぞ信長を殺したのか、の謎に迫る信長もの。惜しまれつつ絶版となった富士見時代小説文庫収録作品(1994刊)が装いも新たに登場。
羽山さんは、いろいろな叙述パターンで物語を作られているのが凄い。今回は、安土にあるナバラ会の修道院(カーザ)で、通辞と下男を務める日系人の又次郎が語り役となり、明智光秀がなぜ信長を殺したのかという謎を明らかにして行く。
この又次郎は、フランシスコ・ザビエルに従っていたヤジロウの息子という設定になっていて、ディスチプリナと呼ばれる、修行用の紐の鞭を武器に使うのが興味深かった。
重要な役回りで、出雲の阿国も登場するが、いっしょに現れる糸縒伝介(いとよりでんすけ)と呼ばれる若者も印象的だった。

物語●1619年(元和五年)六月、マカオのメレンデス神父は、その男と出会った。高齢で死相が表われた、泥と垢にまみれた日本人然とした男は、ポルトガルの言葉で、告悔をしたいと申し出て、途切れ途切れに語り始めた。
男の話は、四十年近く前の織田信長の「お馬揃え」から始まった…。

目次■序章/第一章 夢のうちなる夢なれや/第二章 夢の世をうつつ顔して/第三章 よしなの人の心や/第四章 一期は夢よ、ただ狂へ/第五章 思ひ覚せば夢候よ/終章/あとがき/解説 細谷正充

ここから始まる本のリンク▼『乱世が好き』上・下(岳宏一郎著・毎日新聞社)

龍馬の恋人 維新の女密偵
(りょうまのこいびと・いしんのおんなみってい)

信原潤一郎
(のぶはらじゅんいちろう)
[幕末]
★★★☆☆☆

カバーイラスト:古賀政男
カバーデザイン:中原達治
時代:文久二年(1862)年三月
場所:下関、武庫川、伏見、三条神泉通六角、千本通御小人町、巨椋池、京町四丁目、田中村、高知ほか
(祥伝社文庫・657円・00/12/20第1刷・443P)
購入日:00/12/28
読破日:01/01/01

Amazon.co.jpで購入

龍馬の恋人 維新の女密偵 坂本龍馬に恋人で密偵を兼ねた女性がいたという設定が興味を引く。その女性は平井加尾(ひらいかお)で、京都の公家・三条家に仕えていたという。
龍馬の恋人と聞くと、おりょうさんや千葉貞吉の娘・さな子を思い出す。または、『竜馬がゆく』の田鶴(架空?)といったところだろうか。この物語で光が当てられた加尾もなかなか魅力的である。横恋慕する敵役の男・蒔田重蔵が登場するのがいい。目明しの文吉、三条実美、藤本鉄石、中山忠光らも出てくる。

物語●文久二年三月、坂本龍馬は、脱藩し、下関に向かう三百石船に乗っていた。国許の高知では、武市半平太が率いる土佐勤王党が活動していたが、前藩主・山内容堂の信任が厚い吉田東洋が執政筆頭として、佐幕色の濃い政治を行っていた。そんな折、青蓮院宮の令旨が下り、薩摩の島津久光が、一千余の精兵を率いて上洛するという情報が伝わっていた…。
高知時代の龍馬には、平井加尾(ひらいかお)という、恋人がいた。龍馬とは七つ違いで、その後、主君山内豊信の姻戚になる公家の三条家に、奥女中として仕えていた。兄は土佐勤王党の重鎮・平井収二郎であった。

目次■一 人生海峡/ニ 加尾という女/三 再会/四 おんな密偵/五 天誅問答/六 恋の迷路/七 謀略の都/八 無念の人/九 土佐の氷雨/十 長恨歌/十一 一炊の夢/あとがき

ここから始まる本のリンク▼『竜馬がゆく』(司馬遼太郎著・文春文庫)