純情ももいろ日記と中田雅喜さんのこと

『純情ももいろ日記』

中田雅喜(Aki Nakata)
廣済堂出版 アテール文庫
600円+税


今回は、時代小説でも時代マンガでもありませんが、「月形龍之介HP」の作者で、マンガ家の中田雅喜(なかたあき)さんが、コミックエッセーを刊行されたので紹介します。この本を読むまで、迂闊なことにこの本のこと、知らなかったんです。「ももいろ日記」は、1985年〜90年にかけて『リイドコミック』の巻末を飾り、90年に単行本になり、当時、女の子がごく自然体でそ の日その日に感じたことを日記風に綴ったHマンガということで、ずいぶん話題になったそうです。(カマトトぶっているわけではないのですが、少年マガジン一辺倒で、青年誌を全く読まなかったので。)読者の方がモキモキモッキリのさつまいもを編集部に送りつけられたり、テレビのワイドショーに出られたりと…。で、その伝説の本が、当時、一読者だった編集者によって今回、文庫化されたんだそうです。

そんなわけで、いよいよ本と初体面となるわけですが、夜遅くにしか自宅に帰らないので、会社で 本を受取ることにしました。スキあらば、空き時間にでも読もうと目論んだわけです。が、しかし、仕事場のデスクの前で、ももいろの表紙を開いて唖然、パラパラとページをめくって、あたりをキョロキョロ見まわして、サッとカバンにしまいこみました。(あとで、作者に「ほんとにね。会社に送れなんて、度胸あると思ってた」と言われてしまいました)

そして、期待しつつ、家に帰って、早速、じっくり読みました。

「女性にも性欲はある」という女性のホンネが、開けっぴろげに、関西人特有の「面白く生き る」ためのエッセンス=笑いとサービス精神を交えて描かれています。同棲中の方や結婚を控えている方、妊娠中のカップルにはとくにおすすめ。うんうんってうなずきたくなるエピソードがあります。青年誌に連載されたので、Hなシーン(お約束)も多いのですが、登場人物たちが個性的でおもしろい。(とくに作者のご両親がいい味を出しています、思わず、田舎の母を思い出しました)。絵が親しみやすくて読みやすいせいか、イヤラシイ感じがなく、楽しい語り口とあいまって読了感はよかったです。

京都出身の作者が描く、京都人の暮らしぶり、生態も興味深かった。以前に、土方歳三を描いた、北原亞以子さんの短編小説『降りしきる』(講談社文庫)を読んでいて、うまくイメージできなかった、「おけら火」で新年の雑煮をつくるというシーンが、『純情ももいろ日記』にも描かれていて、やっと解決しました。京都育ちって、時代小説(コミックも)を書く上でも、時代劇をつくる上でも大きなアドバンテージだなって思いました。作者の中田さんは、今、月形龍之介と坂東妻三郎を中心に映画創成期の人々の物語をマンガ化するべく、奔走中とのこと。『純情ももいろ日記』を読んで、ますます作者の夢が一日も早く実現することを願う次第です。と、同時に制作日記もぜひお願いします。

1999/10/18
◎月形龍之介HP http://homepage1.nifty.com/bikenshi/