おすすめの一冊
怒涛のごとく(上・下)


著者:白石一郎
毎日新聞社
各1,500円+税

  1624年、平戸の浜で夕日を全身に浴びて一人の子が生を享けた。物語は、この日中の混血児で、後に国姓爺(こくせんや=皇族の姓を許された人物を指す)と呼ばれる、鄭成功の誕生シーンから始まる。三百年近い治世の間に屋台骨がボロボロになった明国、朱印船貿易から鎖国への転換期を迎える徳川政権、オランダ人に占領されつつある台湾、北方の草原には女真族の国(清の前身)が勃興し、“怒涛のごとく”激動する東アジア。「夕日の子」たる運命を負い、黄昏の明王朝を独り守る孤高の海将の誇り高き生き方をドラマチックに描く、現代に甦る国姓爺合戦。海賊たちが実に生き生きと活躍し、海戦シーンが圧巻で、海洋時代小説としても大いに楽しめる大満足の一冊。
1999.01.22

♪時代小説が最初にいいなあと思い、池波正太郎さん、藤沢周平さんの主な作品を読み尽くして、途方に暮れていたときに出会ったのが白石一郎さんの一連の海洋時代小説だった。この人の本を読まなかったら、これほど時代小説にハマることはなかったかもしれない。そんな恩人の渾身の一作を紹介することができて、書評子冥利に尽きる。 (小林理流)

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