おすすめの一冊
浄瑠璃坂の仇討ち


著者:高橋義夫
文藝春秋
2,381円+税

  忠臣蔵の赤穂浪士たちが討入りの際に参考にしたのが、その30年前に起こった「浄瑠璃坂の仇討ち」である。市谷浄瑠璃坂の奥平隼人の屋敷に、奥平源八に率いられた四十数名が討入った事件だ。この事件はスケールもあり新鮮な題材なのだが、敵も味方も殿様も奥平姓ばかりで描きにくいのか、小説になることは少なかった。藩主の死から始まる対立、両陣営の血で血を洗う抗争、そしてクライマックスへ。作者は江戸前期を代表する集団討入り劇を描くばかりでなく、源八方に属する剣士生駒尚平を主人公に据え、彼の青春をも描いている。奥山流の剣技の研鑚、許婚との別れ、敵味方に分かれてしまった友への愛と憎しみ…。敵討ち小説と青春小説の2冊分の面白さが満喫できる読み味の好い時代小説だ。
1998.09.02

♪初めての書評で、右も左もわからない状態で、制限字数にまとめるのにとても苦労した記憶がある。大河ドラマによる忠臣蔵ブームの中だったので、逆に忠臣蔵ものだけは扱いたくなかった。そこで、少しひねって選らんだのがこの作品だった。 (小林理流)

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