時代小説によく出る用語集

【十村】
とむら


『銭五の海』(南原幹雄著・新潮文庫)は、“海の百万石”といわれ、江戸後期に活躍した加賀の豪商・銭屋五兵衛の半生を描いた長編である。保守的な風土で、武士の権力が強い加賀という国で、いかにして五兵衛が成り上がっていったかが明らかにされていき、興味深い。

銭屋五兵衞は、加賀藩の執政・奥村栄実に招かれ、御用金を引き受ける代わりに、御手船裁許(おてぶねさいきょ=加賀藩の官船の主宰を務めること)と永代渡海免許(えいたいとかいめんきょ=1年ごとの免許を受けなくて済むために、他港で越年しても加賀に帰らなくてよい)を受ける。あわせて十村に任じられ、苗字帯刀を許されることになる。

十村とは、江戸時代、加賀藩における地方(じかた)役人の職名。郡奉行、改作奉行(かいさくぶぎょう)の下位で、村胆煎の上位に位置する。10カ村程度を一区画とし、道場坊主や地侍出身の扶持百姓が十村胆煎に任命され、民政をつかさどった。他藩の大庄屋にあたる。

五兵衛は、十村になったことにより、三人扶持を受け、清水五兵衛という名乗りを許されることになる。(00/07/09)


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