時代小説によく出る用語集

【定府】
じょうふ


南原幹雄さんには、徳川家の権力抗争を描いた一連の作品群がある。『徳川御三卿』(角川文庫)もその一つである。時代小説で御三卿というと、一橋治済(家斉の父)や松平定信(田安家出身)がらみの政争劇がよく取り上げられるが、この作品では、御三卿創設時(作品の最初では、清水家はできていないので、御両卿)の頃を描いている。

御三卿の創設により、その地位を下げていったのが御三家であり、そこに御三家vs.御三卿の図式が生まれることになる。

さて、水戸家は、尾張家や紀州家に比べ禄高は少ないが、水戸家には他家が持たない特権を持っている。定府といい、藩主は参勤交代をしなくていいのである。藩主は江戸の上屋敷に常住し、もし江戸城の将軍に危機が訪れたときは、将軍を補佐する役目である。御三家創立のときに、家康が定めた。

この役目があるために、水戸藩主は、“副将軍”の地位を持つと巷間伝えられている。

水戸家の上屋敷は小石川御門外にあり、十万坪の敷地を持つほか、目白と駒込に大きな中屋敷があり、小梅には下屋敷がある。これは、藩主が定府で常に江戸にいるために、藩の政治機構はほとんど江戸におき、藩士たちの多くを上屋敷に住ませているのである。(99/06/20)


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