時代小説によく出る用語集

【周の春】
しゅうのはる


「転時」の能力をもつ現代人が江戸を体験する、石川英輔さんの『大江戸』シリーズは、江戸のことをいろいろ教えてくれる教科書。『大江戸仙女暦』(講談社文庫)では、歌舞伎の顔見世を取り上げている。

現代の歌舞伎では、演目は毎月替わるが、江戸では、年に四、五回替わるのが普通。この当時、中村座、市村座、森田座の三座では、役者は一年間その芝居小屋で出演するが、毎年十月十七日に入れ替わりになり、十一月一日から新しい顔ぶれによる興行を始める慣習になっていた。

したがって、十一月は顔見世の月といい、古代中国の周では十一月が正月だったという言い伝えにしたがって、この月を芝居国の正月とし、一日を初日として華やかに開演した。そのため、しゃれて“周の春”、“周の正月”と呼ぶ場合もある。(99/01/17)


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