時代小説によく出る用語集

【浪人】
ろうにん


『浪人列伝』(柴田錬三郎著・講談社文庫)は、浪人たちの生き様と死に様、矜持を列伝形式で描いた作品集だ。作者が浪人について、定義している個所がある。

それによると、浪人は、そのむかしは、牢人という文字が使われていたが、陰惨なイメージを与えるので、浮浪、流浪の浪の文字にかえられた。主家を離れたばかりの士は、浪人とよばれるのを嫌い、浪士と呼ばれるのを好んだ。浪士とは、主家を離れても、士としてのプライドをもち、仕事に就かないものを指し、浪人とは、親代々の浪人暮らしで、いつの間にか、生活の糧を得る手段をもち、一定の住所をもつ者をいう。

同じ浪人でも、戦国から江戸初期の浪人と、元禄以後の浪人では、その暮らしぶり、性根のもち方に雲泥の差があった。この作品集では、さまざまなタイプの浪人像を通してその時代を知ることができる作品集でもある。(99/10/11)


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